メールマガジン

【No.976】「事業仕分け」を傍聴して(後編)|片桐幸雄氏|

■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

構想日本メールマガジン【No.976】 2020.09.10 発行

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■
<目次>

【1】各地からの現場レポート

  提案書を作成「第7回清水ミライ自分ごと化会議」北海道清水町(8/31)

【2】今後の活動予定

 (1) 「かもがわ市民会議 第3回」9月12日(土)13:00~ 千葉県鴨川市

  (2) 清水のミライを考えるまちづくりセミナー 9月13日(日)13:30~ 北海道清水町

【3】お知らせ

(1) ~傍聴と記者会見~ 9月15日(火)福島県内「農地の原状回復訴訟」

 (2) ポケモンと考える『現実世界と仮想世界をより豊かにする方法』 宇都宮崇人氏×伊藤伸対談の様子(アーカイブ)

【4】巻末寄稿文

「事業仕分け」を傍聴して(後編)  片桐 幸雄

□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □

【1】各地からの現場レポート
——————————————————
提案書を作成「第7回清水ミライ自分ごと化会議」北海道清水町(8/31)

第7回は、これまで6回の議論を振り返りながら、提案書にまとめる回でした。

これまで議論したテーマ
『食と農業』 『文化とスポーツ』 『立地と交通アクセス』 『少子高齢化』 『情報発信』

町の現状や今後について改善提案できることなど、自分に・地域に・行政にできることといった、それぞれの役割について考え議論しました。

~意見抜粋~
◯他の人が今どんな事を考えて、悩んでるのかがわかり、町の課題が身近に思えた。
◯「いい町だよ」と、人に言える項目が増えた。
◯積極的に、町内会や町のイベントに参加しようと思うようになった。
◯意識的に町の広報、行政問題に目を通し、様々な角度から物事を考えるようになった。
◯自分の事として町の事を考えた時「自分は何ができるか」を具体的に考えるようになった。
◯「町のため」と大上段に構えなくなり、すべて「自分のため」と思うようになり一歩が踏み出しやすくなった。退職後も清水に住みたいと思う。

詳細はこちら →  http://www.kosonippon.org/2020_shimizu7/

清水町HPはこちら →   http://www.town.shimizu.hokkaido.jp/town/council/details/7-3.html

You Tubeで ご覧いただけます →  https://www.youtube.com/watch?v=9HsroFchev0&feature=emb_logo
(43m~農業に関して委員から発言 55m~文化・スポーツに関して 1:17~立地・交通アクセスに関して ほか)

■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■

【2】今後の活動予定
———————————————————
(1) 「かもがわ市民会議 第3回」 9月12日(土) 13:00~

総合計画の策定を目的に鴨川市で【かもがわ市民会議(住民協議会)】第3回 開催

無作為に選ばれた市民3,000人にアンケートを送付。その回答結果から下記の4つ議論のテーマを設定。

【テーマ】「働きがいのある仕事づくり」「生活を支える交通」「子育て子育ち環境づくり」「みんなで考える防災対策」

総合計画を、上記3,000人の中から応募のあった多様な市民が中心になって作る。
鴨川市史上初めての試みです。

【日 時】9月12日(土) 13:00~16:00(予定)

【会 場】鴨川市役所(千葉県鴨川市横渚1450)

※新型コロナウイルス感染症対策のため、見学者が多数の場合、モニター中継のある別室へご案内することがあります。
☆会場に関する問い合わせ先 経営企画部経営企画課(電話:04-7093-7827)

詳細は下記をご覧ください。

詳細はこちら →  http://www.kosonippon.org/kamogawa_2020/

鴨川市HP →   http://www.city.kamogawa.lg.jp/soshiki_ichiran/hisyokouhouka/info/shinokeikaku_sesaku/sougou_keikaku/5kei/1597641236851.html

———————————————————
(2) 清水のミライを考えるまちづくりセミナー 9月13日(日) 北海道清水町

清水町の総合計画に、生活者視点の多様な意見を反映させるため、無作為で選ばれた町民による「清水ミライ自分ごと化会議」。その会議の集大成である「20の提案書」を町長に提出、自分ごと化会議の意義について講演、ワークショップを行います。

【日 時】9月13日(日)13:30~16:00(予定)

【開催内容】
〇講演会
「無作為に選ばれた住民による議論を行った清水のミライ」
講師:伊藤 伸(一般社団法人構想日本総括ディレクター)
〇町長への「20の提案書」提出セレモニー
〇ワークショップ
テーマ:「10年後の清水町のための総計のキャッチフレーズを考えよう」
ワークショップ終了後、清水町長との意見交換

【会 場】清水町文化センター(北海道上川郡清水町南3条3丁目1)
※会場に関するお問い合わせ 清水町役場企画課(0156-62-2114)

【参加方法】
▼会場へ直接のご参加 (受付中)
※ 氏名・住所・電話番号を企画課政策企画係までご連絡ください。
企画課政策企画係の問い合わせ先 TEL: 0156-62-2114 Email:  kikaku@town.shimizu.hokkaido.jp
☆新型コロナ感染拡大対策のため、会場の参加者を100名までに限定しています。

▼オンラインでの視聴(YouTube)・オンラインでの参加(Zoom)
視聴: Youtubeライブ配信のURLへアクセス  →  https://youtu.be/iLYy0irDlIA
参加: 当日質疑応答の際に、コメントが出来るよう、Zoom(オンライン会議ツール)を利用しての参加を準備中です。上記のYoutubeライブのURLにアクセスし、説明欄に記載されているZoomのURLからご参加ください。

イベントの詳細はこちら( https://www.facebook.com/events/666437013985541/
これまでの清水ミライ自分ごと化会議についてはこちら( http://www.kosonippon.org/tag/%e6%b8%85%e6%b0%b4%e7%94%ba/

【お問合せ】
構想日本 伊藤/川岸  TEL:03-5275-5607 MAIL :  shiwake@kosonippon.org

■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■
【3】お知らせ
———————————————————
(1) ~傍聴と記者会見~ 9月15日(火)福島県内「農地の原状回復訴訟」 ~差戻審控訴審 判決~

『原発事故による放射性物質であるとしても、土地と同化しているので、(放射性物質は)農家の所有物』(一審判決抜粋)

「放射能で汚染される前の農地に戻してほしい」という至極真っ当な願いは、一審では退けられた。今回は、どういった判決がくだされるのか、一人でも多くの方に見守ってほしい。

福島の中通りは、補償の対象外かつ風評(実際の)被害も大きい地域です。

そうした福島中通りにある農家の方が、今戦っています。
「原発事故前の農地に戻すこと」を求めた訴訟

<傍 聴>

【日 程】 2020年9月15日(火) 13時15分~(予定)通常は30分前から入場可能

【場 所】 仙台高等裁判所 401号法廷(予定)

 http://www.courts.go.jp/sendai-h/about/syozai/sendaimain/index.html
住所:〒980-8638 宮城県仙台市青葉区片平1-6-1  電話: 022-222-6111(代表)

☆どなたでも傍聴可能です

<記者会見>

原告らは、控訴審判決を踏まえ、14時15分ころから記者会見の予定です。

一人でも多くの方にご参加いただければと思います。

【日 程】 2020年9月15日(火) 14時15分~(予定)

【場 所】 仙台青葉カルチャーセンター (青葉区一番町2-3-10)

 https://www.culture.gr.jp/detail/sendai/index.html

———————————————————
(2)ポケモンと考える『現実世界と仮想世界をより豊かにする方法』 宇都宮崇人氏×伊藤伸対談の様子(アーカイブ)

全国に「ポケふた」(ポケモンを描いたマンホールの蓋)を設置し、地域活性化として自治体からも注目を集めています。
これからの日本をより豊かにするまちおこしのススメや課題などについて伺いました。

You Tubeにて、ご覧いただけます →  https://youtu.be/WKVybmDGYnQ

【概要】

・ポケモンGOの開発秘話
・ポケふた(マンホール)による自治体とのつながり
・世界にPR出来る、ポケモンたちがもつストーリー性ほか

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。■

【4】「事業仕分け」を傍聴して(後編)
片桐 幸雄
――――――――――――――――――――――――――
2 公共図書館の「成果」の把握

「無料で読める本があること、落ち着いた読書スペースがあること」の意味

仕分け人からは「無料で読める本があること、落ち着いた読書スペースがあること」だけでは図書館の意義はないとする発言があったが、これは間違いではないか。

「無料で読める本があること、落ち着いた読書スペースがあること」を実現できなかったら、他にどのような活動をしようと公共図書館の存在意義はない。この二つは公共図書館の最低限の役割であり、公共図書館のすべての活動の根幹になるものと言える。

「図書館の自由に関する宣言」が、その冒頭で「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする」と謳っているのも、そのことに理由がある※3。

※3 「自殺したくなったらともかく(公共)図書館に来てみて」というポスターがアメリカにあったという記憶がある。それは入館無料でかつ閲覧無料の施設で、一切の金銭的負担をすることなく、のんびりと本を読んでいるうちに心が落ち着くこと、そのことによって自殺を思いとどまることが期待できると考えられたからであろう。しかしこれは同時に、公共図書館が提供するべきものは何か、ということも示している。

白井市立図書館に対する個人的評価

積極面:公共図書館の本来の役割に関しては、相当の努力をしているのではないか

公共図書館の本来の役割1:市民の欲する情報を「無料で」提供すること

1)市民の欲する情報のうち、公共図書館が提供できるものには制約があり、予算の関係ですべての需要に応えるのは無理である。いわば制約された予算の中で多様なニーズに応えることになるが、この点に関しては、白井市立図書館は健闘しているといえるのではないか
2)隣接市に居住するある知人から、自市の図書館ではなく、専ら白井市立図書館を利用していると聞いたことがある。これは、白井市立図書館の保管する資料の多様さと豊富さを物語るものであろう
3)近隣各市の図書館の発行済み借り出しカードのうち、市外の居住者に発行したものの比率を市ごとに比較したら、興味深い結果が出るのではないか。

公共図書館の本来の役割2:市民に本を読みたくなる空間を提供すること

市立の公共図書館としては、近隣の三市(印西、鎌ヶ谷、船橋)の図書館を利用した経験があるが、図書館での閲覧環境(閲覧スペース、閲覧条件)は、その使い勝手の良さという点から、白井市立図書館がもっとも優れていると言える。
なお、居眠りする閲覧者が多くなるのは、閲覧環境の良好な結果であって、やむを得ないことである。居眠りを防ぐために、閲覧環境を厳しくすることは本末転倒であろう。

消極面:要望、もしくは提案

開館時間の繰り上げ

開館時刻は9時半ではなく、近隣市と同様に、9時にしてもらいたい。(閉館時刻を午後7時とするのは理解できるが、開館時刻を9時半としているのは、理解に苦しむ)

一斉休館の解消

本館、各センターの図書室とも一斉に月曜日に閉館する必然性はない。各センターが、センターの他の機能との兼ね合いから月曜日休館にせざるをえないとしたら、本館だけは閉館日をずらして、たとえば火曜日を休館にすることもできるのではないか。

業務を限定したサービスの実施

東京への通勤者の利用が便利な駅前のセンター(白井、西白井)では、(インターネットで)予約した図書等の受け取り業務だけでも、両センター全体の閉館時刻(午後9時)まで延長してほしい。そうすることによって、図書館の図書等を利用する人は相当数増えるのではないか。

3 事業仕分けにおける質疑応答に関して

キチンとしたプレゼンを行った説明者ほどたたかれるということ

1)仕分け人は議論のし甲斐のあると思った説明者にはより積極的に説明を求め、かつ、批判を行う。
2)したがって、仕分け人から叩かれるということは、それだけ説明者の説明能力が高かった証左であると考えればいい。

説明者は事業仕分けから何を学ぶか

1)市民(判定人と傍聴人)の前で、非友好的(?)姿勢で臨んでいる相手をどう説得するか、あるいは、その言いがかり(?)をどう切り返すかという訓練のための絶好の機会だと思えばいい。※
2)仕分け人は、自分では思いもしなかった観点を提示してくれるかもしれない。そういう新しい観点から見た場合の新たな課題の発掘の場所を提供してくれるかもしれない。一緒に業務の課題と改善点を考えてくれると考えればいい。折角の機会を積極的に利用しない手はない。

上記の「個人的評価」の要望にかかる多くは、事業仕分けを傍聴するなかで浮かんできたものである。

※仕分け人も市民から選んだらどうかという意見もあるかもしれないが、これには次の理由から賛成できない。

1、市民として身近に接している事業である場合は、どうしても「身内の仕事」に対する甘さが出てきて、客観的判断が困難になる可能性がある。
2、市民としてある程度熟知した事業である場合は、既成観念で物事を考えてしまいがちである。
3、市民として自らが受益者となっている事業である場合は、評価にバイアスがかかる恐れが強い。

(おわり)
--------------------------

片桐 幸雄(かたぎり さちお)

元道路関係四公団民営化推進委員会事務局次長。1948年生まれ。73年に日本道路公団に入社。主に料金設定や経営企画を担当し、2000年に総務部次長。02年から民営化推進委員会に入る。

――――――――――――――――――――――――
*みなさんのご意見をお待ちしています。(800字以内でお願いします)     info@kosonippon.org
いただいたご意見はバックナンバーと共に「読者の声」として以下に掲載しています。メルマガにて抜粋掲載をさせていただくこともございます。

*不掲載をご希望の場合は必ずその旨を明記してください。氏名、肩書きは、特にご指示がなければそのまま掲載します。匿名、ハンドルネームをご希望の場合は必ず明記してください。なお、盗作、名誉毀損、人権侵害、差別的な記述などの投稿は禁止いたします。
――――――――――――――――――――――――――
(編集後記)

自分の身近に降りかかった災害でなければ、日々、被災の記憶も薄れている気がします。
毎年のように起きる自然災害に、少し神経が麻痺してしまっている気がして怖いです。
福島は今も3万人弱の方が県外避難。放射能の土壌汚染も自分ごととして考えたいと思います。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◆J.I.メールマガジンは、構想日本の活動情報などをお届けする無料のメールマガジンです。1.代表及びスタッフが名刺交換させていただいた方、2.ホームページで直接申し込まれた方に配信しています。
◆登録・配信停止・アドレス変更は、    news@kosonippon.org へご連絡ください。
◆みなさんの個人情報は構想日本が厳重に管理し、構想日本の活動に関わるご案内をお送りする以外、使用することはありません。
◆転載をご希望の場合は、ご一報ください。
構想日本会員・寄付は、随時募集しております。
□■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
発行 : 構想日本、発行責任者 : 加藤秀樹
Copyright(C) 1999-2020 –構想日本– All rights reserved.
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□