【No.1014】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ第五十四弾 日本の祭とSDGs(持続可能な開発目標)」 |至学館大学 コミュニケーション研究所長 石田 芳弘氏|  
2021.06.17

【No.1014】「今こそローカリズム 日本の祭とSDGs(持続可能な開発目標)」至学館大学 コミュニケーション研究所長 石田芳弘氏

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構想日本メールマガジン【No.1014】 2021.06.17 発行

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<目次>

【1】構想日本企画シリーズ

(1)「あなたの“うんざり”から社会を考える。」HPにも掲載中

(2) 『自分ごと化対談 ツルツル世界とザラザラ世界』
第一弾:JT生命誌研究館名誉館長・中村桂子×構想日本代表・加藤秀樹

(3) JIFアーカイブ「オリンピックはスポーツをダメにする?!」第243回2018/01/18開催済

【2】スタッフ通信 ~新規スタッフお披露目~  三人目

【3】ご紹介

(1) 自宅で楽しめるオンライン落語!「志ん輔と仲間たち」7/9開催

【4】巻末寄稿文

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ第五十四弾 日本の祭とSDGs(持続可能な開発目標)」

至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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【1】構想日本企画シリーズ

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(1)「あなたの“うんざり”から社会を考える。」HPにも掲載

構想日本ホームページでも皆さまからいただいた“うんざり”のご紹介をしています。
「五輪関連、身の回りのこと、コロナ対応」などなど項目別にまとめてご紹介しています。

こちらも是非御覧ください → https://www.kosonippon.org/wp-manager/unzari/

みなさま“うんざり”企画にご参加いただき、ありがとうございます。
一人一人の声が集まる事で、見えてくる未来があると思います。
出来ることを出来るだけ、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

~あなたの“うんざり”に共感します~

【うんざり壱】

・知らないふり/知ったかぶり/人のせいにする/をする「人(自分を含む)」に”うんざり”(Iさん)

<J.I.>

・「知ったかぶり」は何も生まない。「聞くは一生の得」ですね。

【うんざり弐】

・「断捨離」を日々心がけつつ、ついメルカリで他人が「断捨離」したものを購入して、結局以前より物が増えている現実に“うんざり”(匿名希望さん)

<J.I.>

・“断捨離(だんしゃら)”れたモノが、別の人の“断捨離(だんしゃろ)”うという決意の邪魔をする。便利な売買のしくみが、シンプルを求める生活の邪魔をする。
深く考えさせられる“うんざり”ですね。皆さんが選択する”しくみ”は、いったいどちらでしょうか?

【うんざり参】
・パンデミックの原因の一つに「人の移動」が挙げられているにも関わらず、人の移動の最たるものの「オリンピック」を強行しようとする政府と都知事に“うんざり”。でもいざ始まったら、テレビに噛り付いて興奮して観ているかもしれない自分にも“うんざり”。(匿名希望さん)

<J.I.>
・同感です。感染は防止したいけれど、観戦で興奮したい。今のオリンピックの“しくみ”がこのパンデミックで浮かび上がっちゃったんでしょうね。
アスリートが頂点を極める感動、観戦する皆の感動という”本来の価値”よりも、お金、地位、名誉など別のシステムで動いている”しくみ”を優先する人が多いのだと思います。
感染防止と観戦が両立する社会の”しくみ”ってないのでしょうかね?

今週の“うんざり”はいかがでしたでしょうか?

そして、今さらながら“うんざり”を辞書でひいてみました。
1 物事に飽きて、つくづくいやになるさま。2 期待が外れてがっかりするさま。げんなり。(デジタル大辞泉より)

皆さまも、身の回りに当てはまるものがあるのではないでしょうか。是非、ご参加ください。

#うんざり転じて福となる うんざりの背景にあるもの、またどうすればいいのか、一緒に考えていきたいと思います。
あなたの“うんざり”が社会を変えるきっかけになります。一歩づつ、一緒に変えていきましょう。

<参加方法>

1、本メールに「“うんざり”していること」「共感した“うんざり”に私からもひと言」を返信する
2、右記のURL先で「“うんざり”していること」を入力・回答する → https://forms.gle/PkFNDXgrvgadhnvb6
3、Twitter ハッシュタグ 「#うんざり転じて福となる」でツイートしてください

※皆さんからいただいた“うんざり”やコメントを、メールマガジンや構想日本HP、FB、Twitterなどで加工して公表することがありますのであらかじめご了承ください。
※氏名は任意です。ニックネームでもOKです。

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(2)『自分ごと化対談 ツルツル世界とザラザラ世界』

私たちはどう生きたいのか。私たち人間にとって幸せとは何か。

第一弾:JT生命誌研究館名誉館長・中村桂子×構想日本代表・加藤秀樹

「命」か「経済」か? 『生き物としての人間』の観点から
こちら →  https://youtu.be/5cEd33Vbp0I

生物学者として長年にわたり「生きもの」を研究し、ゲノム解析の中で明らかになった地球の生き物やウイルスの歴史をなぞりながら、いま起こっている様々な問題の解決への糸口について議論していきます。

第二弾は プロ登山家 竹内洋岳氏をお迎えし、お話を伺います。お楽しみに。

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(3) JIFアーカイブ「オリンピックはスポーツをダメにする?!」第243回2018/01/18開催済

最近、元ラグビー日本代表の平尾剛氏が、You Tubeの番組で東京五輪の問題点を指摘しています。

この動画がきっかけで、オリンピックのあり方やスポーツのあり方について、再度考えてみたいと思いました。

下記は3年前に開催した構想日本のフォーラムです。この機会に是非、ご視聴いただければと思います。

>>>概要>>>

今回のゲストのお一人、平尾剛さんがスポーツを愛する者だからこそと「反東京五輪宣言」を発表されました。

これは、2020年東京オリンピックの開催方法などについての批判にとどまらず、近年のオリンピックのあり方がスポーツの可能性を摘んでいるのではないかという、深い視点を含む問いかけです。日本の各地でスポーツが大きい事業になっているからこそ、また、オリンピックを2年後に控えるからこそ、じっくり考えたい。

オリンピックを成果のあるものにするには、ただ拍手をしていればよいものではないでしょう。

すべての日本人が向き合うべきテーマだと思います。

ゲスト:
河本 英夫(東洋大学 教授)
平尾 剛(元ラグビー日本代表、神戸親和女子大学 講師)
コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

>>>>>>

映像はこちらから → https://www.youtube.com/watch?v=MYQfX3ltl4Y&t=3758s

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【2】スタッフ通信 ~新規スタッフお披露目~

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構想日本では、4月から新規スタッフ1名と自治体から研修派遣スタッフ4名が加わりました。
先週に続いて3人目の自己紹介をさせていただきます。初めて群馬県富岡市からお出でいただいた石川喬弘(たかひろ)さんです。

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群馬県富岡市より参りました石川喬弘と申します。

大学卒業後、民間企業で6年間、自治体向けシステムエンジニアとして全国を飛び回っていました。
その後富岡市に入職し、企画課の情報化推進担当として、ICT技術を用いた新しい仕組みづくりに5年間従事してきました。

今回の派遣は1年間という短い期間ではありますが、構想日本のスタッフとして、これまで経験してきたものと違う立場で考え、貪欲に学び、しがみつきながら色々なことにチャレンジして行きたいと思います。

【富岡市の紹介】
世界遺産である「富岡製糸場」とその周辺の街並みが有名ですが、他にもさまざまな自然や歴史と触れることのできる名所があります。
・日本三大奇景で頭文字D聖地のひとつ「妙義山」
・動物と触れ合える「群馬サファリパーク」
・ハイクオリティななどのジオラマを楽しめる「群馬県立自然史博物館」
・マルシェなどのイベントやキッチンカー出店でにぎわう市役所前の広場「しるくるひろば」
…などなど、おひとりでも、家族・友人とみんなでも楽しめる場所がたくさんあります。ぜひ一度お立ち寄りください。

お写真はこちらから → https://www.facebook.com/kosonippon/posts/3961371553931962
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次回以降の自己紹介もお楽しみに!

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【3】ご紹介  構想日本が応援している活動に関するお知らせです

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(1)自宅で楽しめるオンライン落語!「志ん輔と仲間たち」

寄席とはひと味違ったオンライン落語会。自宅でくつろぎながらお楽しみいただけます。

古今亭志ん輔師匠の自宅から月に1回、オンラインで落語を配信しています。志ん輔師匠による落語2席のほか、ゲストとのトークあり、パフォーマンスあり、視聴者プレゼントありと盛りだくさん。どなたにでもお楽しみいただけます。ぜひお申込みください!

【開催日時】7月9日(金)19:00~20:00
【特別ゲスト】小林千寿六段(囲碁棋士)
【視聴料】1,500円(税込み)
【締切】7月5日(月)23:59
【お問い合わせ先】「志ん輔と仲間たち」事務局(株式会社毎日企画サービス内) shinsukenakama@mainichi-ks.co.jp
【お申込み・お支払い方法】
詳細はこちらから →  https://shinsukenakama.com/

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【4】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ第五十四弾 日本の祭とSDGs(持続可能な開発目標)」

至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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ふりかえれば、未来-歴史学者木村尚三郎の言葉である。過去は未来を暗示してくれるという意味か。日本の伝統的な祭と最近にわかに注目されだした国連の提唱するSDGsとについて、過去と未来の時間軸から考察することにする。

まず使う言葉から入る。日本の伝統的な祭に関して語る時、今や意味が分からなくなったり、ルビを振らなければ読めない漢字がたくさんある―禊(みそぎ)・神籬(ひもろぎ)・依代(よりしろ)等々。かたやSDGsについて語る時、好むと好まざるとにかかわらず横文字の連続になる―サステナブル・カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー等々。わが国固有の倫理観とグローバリズム文明とが交差する。まずは両者の間に水と油のような違和感は否定できない。

ところで、菅義偉総理が就任した最初の国会で所信表明演説を行い、SDGsの1指標である「グリーン社会」の実現を掲げた。―グリーン社会という言葉は「緑の社会」→「森の文化」→「縄文文化」と解釈できないだろうか。

2050年までにカーボンニュートラルすなわち脱炭素社会を目指すという。カーボンニュートラルとはCO₂の排出量を±0にするということ。地球は太陽からのエネルギーと大気圏の保温効果で人間を含む生き物にとって適度な気象が保たれているのだが、CO₂が増えすぎることにより保温効果が上昇し、いわゆる地球温暖化(気候変動)現象が生じる。CO₂の増加は森を破壊(グリーンの消失)することなどにより発生する。18世紀半ばから始まった産業革命が事の起こりである。

その後、第1次・第2次世界大戦を経て、地球上の人口は爆発の一途をたどり、人口増と食料のギャップに危機感が発生した。1972年スイスに本部を置く民間シンクタンクのローマクラブが「成長の限界」を発表。その流れを受けて、1992年リオ・デ・ジャネイロで国連環境開発会議(地球サミット)が開催され、サステナブル・ディベロプメント(持続的発展)やゼロ・エミッション(排出0)などのサーキュラーエコノミー(循環型経済)理念の登場である。

21世紀に入り、2002年ヨハネスブルグにおける持続可能な開発に関する世界首脳会議をへて2015年国連サミットで採択されたのが持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットであるSDGsである。

このSDGsは読んでみるとよくできているが精緻すぎて正直、難解。要はこのところ急速に進んだグローバリズム文明が地球規模でルールの変更を迫られているということだ。コペルニクス的パラダイムシフトという表現を使うと、まさに地動説から天動説に頭を切り替えろ、近代の資本主義を支える成長の原理を見直せということではないか。この度の新型コロナウイルスによるパンデミックも、あくなき経済成長を求め、自然破壊を続けたグローバリズム文明の反動と私は考える。

ここから祭の話に入る。2001年、文科省の委託を受けた社団法人資源協会の「資源の総合利用に関する調査」というレポートに千年持続学という提案が示され、日本の里山生態系が登場する。7割が森におおわれているという国土に住む日本人は、都市が発生するまで森の中にすべての生命体と共存しながら生きてきた。そして、山川草木に神が宿るという信仰を可視化する鎮守の森が千年持続学では例証される。

日本文化の岩盤には縄文の思想があるというのは哲学者梅原猛の持論であったが、日本の神霊は、森の大木や岩を依代に降りてきた。弥生時代に入り豊穣への祈りは稲作を中心に四季が正確に巡りくる1年という収穫の循環を祭祀として定着させた。すべての恩恵は自然から受け取り、享受したものはまた自然に返していくという日本人の循環型思考(サイクルエコノミー)は里山文化として構築され、一年に一度の祭祀の中に飛び石のように伝わってきた。

私が関係する犬山祭はほぼ400年前に始まったと郷土史には書かれているが、それは現在の様式が整った時点であって、その信仰の原点は縄文の森への信仰心、すなわちグリーン社会を岩盤にしている。

祭に登場する神輿や曳山などの構築物、またそれらを飾る装飾品はすべて木製あるいは紙、布などの自然由来である。祭にはつきもののお囃子の道具類あるいは祭人のわらじから衣装類、あるいは提灯の類まで、祭文化を成立させる素材はすべて自然の生態系から生まれ、大地に帰っていく循環型ゼロエミッションである。祭を動かすエネルギーは人力によるものであり一片の化石燃料も使用しない。一年という時間の循環に従って再生する自然の生態系原理、先祖や自然現象に畏敬の念を抱くローカルな信仰心が祭を駆動している。

SDGsは国連が2050年頃を想定し、宇宙船地球号が目指す南十字星のような位置付けではあるが、今さらそんな大げさに国連の発見、発明のように言われなくても、少し注意深く観察してみると、実は我々の足元にその目標は遺跡のごとく埋もれている。

地域コミュニティのエートス(習慣)は、近代の理念である民主主義や資本主義とは異質な風土に根差した価値観ではあるが、宇宙規模で持続してきた人類の営みであるのではないか。

ふり返れば未来!

今こそ祭とローカリズムへの帰還を叫びたい。

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石田 芳弘(いしだ よしひろ)

愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。

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(編集後記)

「緊急事態宣言」という言葉に、感覚が麻痺してしまっている気がしています。
閣僚の一人が「緊急事態『条項』新設に向けて絶好の契機」と述べたとか。
「緊急事態宣言」と「緊急事態条項」の違い、「せやろがいおじさん」の動画は目からウロコでした。

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