【No.1047】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ第五十九弾 伊勢大神楽 2019・12・24」 |至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘氏|
2022.02.10

【No.1047】「note」で、伝えたい 「現代社会というシステムの中にいる人間」

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構想日本メールマガジン【No.1047】 2022.02.10 発行

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<目次>

【1】「note」で、伝えたい 構想日本

(1)現代社会というシステムの中にいる人間ー自分ごと化対談
(生命誌研究者 中村桂子氏×構想日本代表 加藤秀樹 )

Chapter2 現代社会というシステムの中にいる人間

(2)雑談ラジオ企画:脱線!どちて雑談

「健常者と障がい者の違い」

【2】《自分ごと化対談》第四弾

石坂産業株式会社 取締役社長 石坂典子氏×構想日本代表・加藤秀樹

「廃棄物は社会を映す鏡」~誰もが自分ごとにするには~

【3】お知らせ

(1) 「自治みらい塾2022」受講生 追加募集! 途中参加 歓迎!

オンライン×フィールドワーク研修で学ぶ「自治みらい塾2022」~現場から地域、日本を変えるための考え方、手法~

【4】巻末寄稿文

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ第五十九弾 伊勢大神楽 2019・12・24」

至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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【1】「note」で、伝えたい 構想日本

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(1)現代社会というシステムの中にいる人間ー自分ごと化対談(生命誌研究者 中村桂子氏×構想日本代表 加藤秀樹 )

【「命」か「経済」か? コロナ禍で明らかになった社会問題を『生き物としての人間』の観点で考える】をテーマに

中村桂子氏と対談した自分ごと化対談の様子を、ゲストからの加筆を含めチャプターごとにnoteに掲載しました。

動画とは一味違った内容になっています。是非ご覧ください。

<Chapter2> 現代社会というシステムの中にいる人間
こちらから → https://note.com/hi_kato/n/n692d796b436b

<Chapter1>「生き物としての人間」の視点から私たちが直面する問題を整理する
こちらから → https://note.com/hi_kato/n/n08df5c59b055

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(2)「障がい者」と「健常者」の違いって、なんだろう?ー脱線!どちて雑談

クリエイティブディレクター・谷野栄治×行動する構想家・加藤秀樹(構想日本代表)の雑談ラジオ。
世の中の出来事に対する”素朴な疑問”から話がはずむ、ゆかいな雑談です。

●パラリンピックで感じた違和感
●障がいとは何か?

など、世の中の動向や、社会の本質に迫ります!!

こちらから → https://note.com/hi_kato/n/n2c66c2c517b9

~どちて雑談とは~

アニメ番組『一休さん』に登場する、“どちて(どうして)ですか?”が口癖のキャラクター「どちて坊や」。
その「どちて坊や」の問いかけのように、世の中の出来事に対する”素朴な疑問”から話がはずむ、ゆかいな雑談です。

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【2】《自分ごと化対談》第四弾

石坂産業株式会社 取締役社長 石坂典子氏 × 構想日本代表・加藤秀樹

「廃棄物は社会を映す鏡」~誰もが自分ごとにするには~

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ごみから循環型社会を考える。

現代社会の縮図ともいえる産業廃棄物の現場から、人が人間らしく生きるために必要なこと、これからの目指すべき世界を考える対談になっています。

対談動画はこちらから → https://www.youtube.com/watch?v=3FCWYaxLFQM

【概要】
ごみ【塵/芥】とは、利用価値のない汚いもの。という概念を大きく覆し、工場の現場から、循環する未来(社会)を見つめます。
産業廃棄物、人としての生き方、里山と食育など、一見バラバラのように思えるパーツが一つに繋がり、集約されていきます。
人の五感に秘められた限りない可能性、ゲスト自身の体験談や加藤が体感した工場見学の様子など、話が弾んでいきます。是非ご覧ください。

【Chapter0】第4回自分ごと化対談 石坂産業株式会社 取締役社長 石坂典子氏と
【Chapter1】日常感覚を大事にする「五感経営」
【Chapter2】地球環境全体のバランスを配慮する視点を持つ
【Chapter3】産業廃棄物から見るツルツル世界とザラザラ世界
【Chapter4】自分の中で大切なことがちゃんとわかる生
【Chapter5】石坂典子氏が考える“ひとの幸せ”とは

※ゲストプロフィール※
石坂典子氏
石坂産業株式会社代表取締役。東京生まれ。米国留学後、石坂産業に入社。2002年取締役社長に就任。「自然と地域と共生する企業」を目指し、里山を保全した環境教育フィールドを運営。2012年日本生態系協会のJHEP(ハビタット評価認証制度)で最高ランクの「AAA」を取得。「2020年度 日本経営品質賞」、2021年「第37回 企業広報経営者賞」を受賞。

☆過去の対談☆
第一弾 JT生命誌研究館名誉館長・中村桂子氏
第二弾 プロ登山家・竹内洋岳氏
第三弾 小説家・平野啓一郎氏
こちらから → https://www.youtube.com/playlist?list=PL1kGdP-fDk3-GPkMkQsCiYupO4L9rS3fQ

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【3】お知らせ

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(1)「自治みらい塾2022」受講生 追加募集!

「現場から地域、日本を変えるための考え方、手法」

地方自治の先進事例を基に、多様なものの見方と実践的な知恵の出し方を学び合い、また同じ志を持つ横のつながりを作る場です。

■自治みらい塾 <3つのポイント>

・まちをどうしていくのか(福祉を軸にする? 観光に力を入れる? 何をやっていく?)
・まちの人たちの意思をどう反映していくのか
・財政はさらに厳しくなり国の支援も減る中で、どう自立していくのか

■日程

第2回:2月19日(土)10時~17時(予定)【現地&Zoomでのオンライン研修】※
2月20日(日)10時~15時(予定)【現地&Zoomでのオンライン研修】※
第3回:3月26日(土)13時~17時(予定)【Zoomでのオンライン研修】

※第2回は福岡県大刀洗町で、1泊2日(現地)
コロナ感染拡大の状況を鑑み、変更になる可能性があります。

■受講料:25,000円(税込)※別途:旅費・宿泊費・食費等は各自ご負担ください。
2回目からご参加の方は、第1回プログラムのアーカイブをご覧いただけます。

≪学生割引のご案内≫
現役学生の方は通常受講料「25,000円(税込)」のところ、学生料金「5,000円(税込)」でご参加いただけます。学生割引をご利用される方は、お申し込みの際、学生割引の利用について【通信欄】からお問合せください。

■応募方法・詳細はこちらから → https://www.kosonippon.org/wp-manager/jicjimirai2022/

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【4】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ第五十九弾 伊勢大神楽 2019・12・24」

至学館大学 コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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最近、大学教育が専門化しすぎて、個別分野ではどんどん深くなっているが、いわゆる一般教養が軽視されているという議論が出始めている。一般教養の典型は哲学であり、個別の知識ではなく、生き方の知恵を学ぶ学問であろう。

先日「リベラルアーツ(一般教養)の復権」というテーマのシンポジウムに参加し、哲学者たちの話に聞き入った。日本的哲学のパイオニアの一人である田辺元は「哲学とは源泉への絶えざる帰還」と言っている。

源泉への帰還といえば日本の祭を研究することも哲学=一般教養の一端になるだろうと考える。祭の研究は神社をめぐることでもある。そして、伊勢神宮は日本人にとって源泉への帰還である。

中京・関西の政治家には毎年正月に大型バスを連ね後援会ともども伊勢参拝をする人が多い。私もこの恒例行事を30年近く続けたし、20年に一度の式年遷宮はご神木が産土である針綱神社で一泊するということから地域挙げて取り組むが、2度にわたってこの式年遷宮に公職者として一役買うことができたから、伊勢神宮に対する思い入れは強い。

木曽川にダムができ、長野県上松で切り出されたご神木が陸送されるようになるまでは、木曽川の船頭たちが式年遷宮のご神木を筏にして運んだ。我が国の代表的な山岳信仰の御嶽から我が犬山市を経て伊勢神宮へ至る木曽川は、日本人の信仰の回廊と私は考えてきた。

伊勢神宮は縄文の神社ではなく弥生の神社である。哲学者梅原猛のイマジネーションは面白い。―列島の先住民族は弥生の渡来人に席巻される。その縄文の先住民族を祀ったのが出雲大社で、渡来人の先祖が天皇家を祀る伊勢神宮という。

古代史の中で、壬申の乱に最も注目する。大化の改新を経て、国家の基礎を作った天智天皇の死後、跡目を争った古代最大の内乱を制したのは天武天皇であった。この壬申の乱で当時の大海人皇子を助け、壬申の乱に活躍したのは尾張の熱田神宮を中心とする木曽三川を支配する尾張・美濃の部族たちであった。そして、第40代天武天皇が伊勢神宮を今日の天皇の祖とする伊勢神宮ワールドの日本史を作った。

さて、伊勢大神楽の話に入る。何度も伊勢神宮の拝殿でこの神楽を見ているが、神宮内で舞うだけではなく伊勢神宮の信仰を広めるために結成されたツアー(巡業)が伊勢大神楽である。江戸時代、はるばる伊勢まで来られない人にも出張して伊勢神宮のお札を届ける、いわば代参役を担う職である。代神楽とも太神楽ともいうが正式には「大」の字を使う。この代参チームのホームグラウンドが増田神社であり、12月24日が一年の巡業を収める祭り日。

増田神社をネットで調べたら、桑名市太夫155と出た。カーナビに入れて向かった。ほぼ近所まで行って土地の人に尋ねても、反応が鈍い。狭い登り道を何とか神社の前までたどり着いたが駐車場はないし、それを案内する人も記載もまるでない。後で知ったことだが、この祭は地域の祭というよりは、伊勢大神楽の講と呼ばれる職業集団が故郷へ帰ってきた報告みたいな行事なのであろう。彼らは年末年始を故郷で過ごすが、1月滋賀県下より開始され、三重県、福井県、京都府、大阪府、和歌山県、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、山口県、鳥取県、島根県の2府11県をほぼ1年中かけて巡業する。講は数組に分かれ、各組の構成人数、巡業地域は組ごとに多少異なるが、6~8人が各家々を一戸づつ訪問する。組は複数あり、リーダーを太夫と呼ぶ。―この事実知って、今更ながらこの国の奥底に流れる民族の通奏低音を聴いたような気がした。

神社からかなり離れた空き地に車を止め、坂道を上り、木立や畑地を抜け、注連縄が張られた山本源太夫の自宅をかすめ、古代から目印の様に聳え立つ大楠を仰ぎ見ながら、増田神社に達した。そこは日本中どこにでもあるような素朴でささやかな神社であったが、境内は今日の神楽治めを見に来た観光客で立錐の余地もなかった。偶然知り合いの京都の笛師・森田玲さんにお会いした。森田さんは笛師でもあるが京都大学大学院で日本音楽の研究をしておられる。紹介していただき、太夫にご挨拶した。山本源太夫は伊勢大神楽のいわばフィーチャー(顔)である。人品卑しからず、コミュニティのリーダーと呼ぶよりは部族の長(おさ)という雰囲気があり、もはや中世の日本史の中に浸ったような気分だ。

私もいろいろ祭は見聞したが、音曲に関しアマチュアは祭の時だけ演奏するので、伝統とか原則は崩れ、正直音楽としてのレベルは低くなる。今のご時世止むをえまい。が、この伊勢大神楽の音曲は違った!さすがプロ集団だけあって正統を受け継ぎ、段違いのレベルにある。実に瑞々しい笛の旋律が数百年前の日本人の情感を今に伝えてくれた。

伊勢大神楽の舞曲は、八つの獅子神楽と八つの放下芸(ほうかげい・一種の道化役)からなり、「八舞八曲」と呼ぶ。この「八舞八曲」を巧みに組み合わせ、見物客を退屈させることなく奉納を進めていく。全舞曲を奉納するにはおおよそ4時間ほど要した。

この舞曲を観察し、獅子舞が主体になっているような気がしたが、日本の祭と芸能に頻繁に登場する獅子という存在にはまことに不思議なものを感じる。日本ではイノシシやシカに変身したがシシのルーツは明らかにライオンである。なぜこの日本でライオンなのか?

京都の国立博物館で、「神像と獅子・狛犬」の展示を見た。正倉院に残る伎楽の装束には獅子頭が8個あるらしい。伎楽は推古帝の時代、百済からもたらされ、さらに遡れば呉から西域、ギリシャ、インド、インドシナなどルーツは深まる。日本の祭の細部をよく観察しイマジネーションを広げると、古代文化とつながった世界が見えてくる。伊勢大神楽を見学し、見失っていた日本文化の深さと広さを再発見した一日だった。

その後、寄席の名人鏡味仙三郎著「太神楽」を読んで大変参考になった。種々の日本の伝統芸能を楽しみに大衆は寄席に集まってくる。

そして伊勢大神楽は増田神社に大衆を引き付けた。

明治期「Society・ソサイアティ」という英語を「社会」と訳したのは福沢諭吉と聞くが、社(やしろ・神社)にて会うのが社会の語源と知ると、けだし名訳だと思う。

*参考文献

伊勢大神楽 伊勢大神楽探訪 鈴木武司
三重県の獅子舞 服部勝行
伊勢大神楽の神楽囃子研究 森田玲
太神楽 鏡味仙三郎

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石田 芳弘(いしだ よしひろ)

愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。
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(編集後記)

昨年、女性の自殺が2019年までの5年間平均と比べ、3割近く増加。
コロナの影響で、特に非正規の労働環境が悪化したことが原因の1つとか。
誰もが未来を悲観せず、安心して暮らしていける社会を目指したいですね。

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