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【No.102】「現場」なくして「三位一体改革」なし

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「現場」なくして「三位一体改革」なし
JIメールニュースNo.102  2003.6.27
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■■ 目次 ■■
《地方制度改革》「現場」なくして「三位一体改革」なし
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《地方制度改革》「現場」なくして「三位一体改革」なし
構想日本 政策担当ディレクター 冨永朋義

●ようやくスタート地点に立った「三位一体改革」
「三位一体改革(補助金の見直し、税源の移譲、地方交付税制度の見直
し)」の内容がまとまりました。補助金削減と税源移譲が、具体的に数字
で示されたことは一歩前進ですが、地方交付税制度は手付かずであるなど、
今回の内容は「始まり」と位置付けることができるでしょう。(昨年6月
の閣議決定「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」P29参照
http://www5.cao.go.jp/shimon/2002/0625kakugikettei.pdf )。
そこで、この問題のポイントをおさらいします。この改革は、単なる
「国と地方間のカネの配分」の問題ではなく、「地方の再生=日本の再
生」が本当のターゲットです。明治以降、特に戦後の日本は、国全体の経
済効率を高めるため、国が、地方の特性を無視した一律底上げ的な国土開
発、産業振興を進めてきました。その手段が、補助金や交付税などのカネ
(合計約40兆円)とセットになった「地方に対するコントロール(基準や
規制など)」です。その結果全国すみずみに広まった、画一的な地域づく
りや行政依存型の産業振興が、結局、地域の魅力低下、地場産業の衰退な
どによる活力の低下につながったのです。地方の本当の自律と地域の再生
を実現するためにも、「三位一体改革」を、「これで終わり」ではなく、
「これが始まり」にしなければなりません。
この点につき、「国と地方の税制を考える会(16県の知事と構想日本か
らなる研究会、平成12年から活動)」の有志メンバーは、先週の20日、経
済財政諮問会議に対して緊急アピールを行いました。ポイントは、以下の
2つです。
(1)「骨太の方針」は改革の第一歩であり、今後も具体的な議論を続けるべ
き。
(2)今回の補助金改革にあたって、どの補助金を削減するかは、「現場」で
ある自治体の声を取り入れるべき。
当たり前のことですが、「具体的」な議論は、「現場」なくしてありえ
ません。

● 自治体の「現場」から、「国と地方のあり方」を見直す
この3月に、長野県で「事業の見直し作業」を行いました。これは、県
職員、県下市町村職員、他市職員など様々な自治体の「現場」職員が集ま
り、意見を闘わせながら、すべての事業を予算項目ごとに、“いる/いらな
い?”、“どこがやるべき?”と仕分けるものです(長野県を含め、これ
まで7県1市で同様の作業を実施。それらの作業結果をもとに、構想日本
は「三位一体改革」に関する提言を作成しました。くわしくは、
http://www.kosonippon.org/doc/?no=187 )。
そして、この作業結果をもとに、先月中旬、ディスカッションを開催し
ました。約200名が傍聴するなか、事業のあり方に関する県と市町村の考え
方の違いや、地方に対する国のコントロールの捉え方の違いなど、「現
場」ならではの議論が4時間近くにわたって行われました(議事録は、
http://www.pref.nagano.jp/keiei/zaiseit/kousou/roundtable.htm )。
以下は、参加者の感想です。
・ “財政力の大きい自治体と小さい自治体の職員との間で共通の認識を得
られない部分もあったが、一定のルールのもとで事業を仕分けるという機
会を得られたことは有益だった。これを、事業の見直しや地方分権のあり
方を考えるひとつの契機にしたい。”(討論者:長野県経営戦略局財政改
革チーム 中澤敏正さん)
・ “国は、法令にもとづいて国として最低限提供すべきサービス水準を示
し、県は、各地域の特性をふまえ県としての指針や基準を示し、市町村は、
国や県の示す基準を参考に具体的な事業を実施する、というのが基本的な
役割分担の姿。なお、国や都道府県が行う補助事業は、誘導策としての意
義があり、否定されるべきものではない。”(討論者:長野県林務部林政
課 中村嘉光さん)
・ “補助金をもらっても、その事業に国が関与しているという実感はない、
という長野県の市町村職員の発言に、補助金行政の歴史が作り出した現状
を垣間見た。例えば、健康相談室。これは、補助金で体育館をつくる場合
には置かねばならないが、ほとんど利用されないものだ。すべてを市町村
費でまかなうとしたら、この施設を作るだろうか?”(討論者:三浦市市
民部環境事業課 石渡秀朗さん)
・ “長野県職員も長野県の市町村の職員も、お金が足りないから交付税な
どでもらうしかない、と始めから決め込んでいる節があると感じた。自分
たちで集めた金のなかでまずはやりくりし、団体間の財源調整はその後で
考えるべき、という意識が薄いのではないか。”(傍聴者:長野県経営戦
略局行政改革チーム 鈴木 央さん)
立場が違えば、意見も違います。具体的な仕組みとして何がいいのかは、
これから考えていかねばなりません。ただ、確実に言えることは、このよ
うな「現場」からの具体的な問題提起や議論をもとに制度設計しなければ、
「地域の活性化」、そして「日本の再生」を目指す「三位一体改革」の実
現はありえない、ということです。いみじくも、ある市長がおっしゃって
いました…“私達は国を助けてあげなきゃいけない。だって、「現場」持
っていなんだから、国はさ”、と。
構想日本としては、改革の実現につながるさらなる制度提言を続けてい
く一方で、自治体事業の見直し作業やディスカッションの実施などを通じ
て、「現場」の声を世の中に送り出すお手伝いをさせていただきたいと考
えています。
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