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【No.107】教育の中央集権無責任体制

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教育の中央集権無責任体制
JIメールニュースNo.107  2003.8.1
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■■ 目次 ■■

1.《どこかおかしい!?》教育の中央集権無責任体制
「古山塾」主宰 古山 明男
2.《J.I. Action Summary》
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1.《どこかおかしい!?》教育の中央集権無責任体制
「古山塾」主宰 古山 明男

私は、十年余り私塾をしている。補習、受験、不登校生徒の援助、遊
び、子育て相談、その他需要に応じて、なんでもやった。やっているう
ちに、制度の限界が見えてくる。
●「お弁当」から見えてくる無責任体制
こんな例があった。ある小学生の子どもを持つお母さんが、子どもに
給食ではなくお弁当を持たせたかった。それを担任に尋ねた。
担任は「私の一存では決められません」と言い、校長にきいてほしい
と言った。
校長は「教育委員会に尋ねてみないと....」
教育委員会に行くと「それは、文部省に尋ねてみてください」
文部省に電話すると「そういうことは、個々の教育委員会のご判断な
さることで....」
で、けっきょく、その件はうやむやになった。
官僚制度特有のたらい回しに見える。しかし、教育の場合、担当者の
恣意ではない。これが制度化されているのである。
担任は、校長の指揮下にある。とてものことに、一人で判断できない。
勝手にやると、あとで校長に何を言われるかわからない。
校長も、教育委員会の指揮下にある。給食を食べさせることは、決まっ
ている。特例を作るとなると、よほどの覚悟が必要だ。
教育委員会にとっても、これは一存でできない。「学校給食は当該学校
に在学するすべての児童生徒に実施する」という文部省告示が存在する。
ところが、文部省は、教育委員会に対して指導助言しかできない立場
である。文部省が判断を示したら、越権行為である。文部省は「それは、
それぞれの教育委員会がお決めになることで...」となる。
●「地方教育行政法」の問題点
昭和31年の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(通称
「地方教育行政法」)がこのような無責任体制を作りあげた。教員組合排
除のために作ったような法律で、 教育を上からの任命と上意下達で固
めてしまったのである。
この法律は、名目権限を教育委員会に残し、実質権限を文部省が取っ
た。問題が起こったとき、教育委員会は施策の理由をほんとうには理解
していないから対応できない。文部省は、「オレが決めた」と名乗り出
るわけにいかない。けっきょく誰も責任を取れない。
現在の教育制度は、民主主義原則を欠いている。教員、学校、教育委
員会、文科省のラインのどこにも選挙される役職はない。すべて、上か
らの任命制である。いっぽう、首長も地方議会も、「教育と一般行政の
分離」という大原則に従い、教育のことを指揮できない仕組みになって
いる。
ほんとうの当事者である、教師、生徒、親には、発言権の制度保障が無
い。これでは、当事者たちが諦めるか、攻撃的になるかしてしまう。問題
が噴出して解決できないのは、当然である。
●教育行政のあるべき姿とは
「教育と一般行政の分離」は、教育が政治潮流や利権に左右されない
ための大事な原則であり、崩すべきではない。教育制度の内部に、当事
者の意見を反映する道を作るべきである。
学校教育は、教員と親と生徒の信頼関係がすべてである。この3者に
正式な権限と発言権をもたせて拮抗させ、官僚機構は学校を指揮せずに条
件整備に徹するのが筋であろう。欧米諸国の学校制度は、おおむねそのよ
うな形になっている。
今、中教審は、上記の「地方教育行政法」体制を取り上げずに、教育
基本法改正を言い出している。文科省主導システムをさらに強化し、精
神論で乗り切ろうとしているのである。これには、危ういものを感じる。
中教審は文科省内の機関である。文科省が運営している制度を、どう
して文科省が評価できるのだ。教育問題に関しては、すべての人が指摘
し意見し、積極的に提言していくべきである。
<プロフィール>
1949年生まれ。京都大学理学部卒。出版社で雑誌編集に携わった後、15
年間に渡り、民間で私塾を主宰。補習、受験指導、自主性涵養、不登校
児童生徒の援助、フリースクールの運営、保護者からの教育相談など、
地域の需要に応じた様々な教育活動に従事。著書:「教育への権利」
(伊藤美好氏との共訳と解説)、「国民から市民への途-21世紀日本の
教育革命の入口を探す!!-」(小貫大輔氏との対談)
現在、「<教育の多様性>市民アライアンス」を中心に活動している。
http://www.forum3.com/projects/alt/index.htm
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の7月の主な活動状況■
(1)国と地方(税財政改革)
●「地域の活性化⇒日本の再生」につながる、「三位一体改革」の継
続的な実行に向けたキャンペーン
・東洋経済7/26号の特集「国はカネと権限で地方を縛るな」に、イ
ンタビュー記事掲載
「三位一体改革」に関する構想日本の提言は、以下をご覧ください。
http://www.kosonippon.org/doc/?no=187
(お知らせ)
・8月20~22日に、新潟市の「事業仕分け作業」を行います@新
潟市役所。
これまで、7県1市で実施、今回が9自治体目になります。今後も、
より多くの自治体に対して、実施を呼びかけていきます。

(2)国会議員アンケート
●「三位一体改革」に関するアンケートを実施中
・約9割の議員が、国の地方に対するコントロール(基準や規制な
ど)が、地方の経済的、社会的な自律性の低さをもたらしていると
考えている。
http://db.kosonippon.org/enq/question.phtml?policy_set_id=15

(3)公益法人
●「非営利活動法人制度」の抜本的な改革に向けたキャンペーン
・第6回info-netニュース
http://www.kosonippon.org/doc/?no=191
・寄付免税の充実に向けた署名募集(エンジン01文化戦略会議との
連携)
http://www.kosonippon.org/doc/?no=192
(4)金融
●中小企業金融に関する政策提言を作成中
・金融機関(地銀、信金など)、有識者などへのインタビューから実
態を把握、金融検査を含む、中小企業金融政策のあり方を見直す
上記のほか、「年金制度改革」、「教育制度改革」、「エネルギー戦略」
などの政策プロジェクトが進行中。
詳しくは、 http://www.kosonippon.org まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)
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