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【No.109】思考は環境で規定される?

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思考は環境で規定される?
JIメールニュースNo.109  2003.8.15
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■■ 目次 ■■
1.《寄稿》思考は環境で規定される?
総務省総合通信基盤局国際部
国際機関室課長補佐
近藤 勝則(こんどうまさのり)
2.《読者の声》

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1.《寄稿》思考は環境で規定される?

総務省総合通信基盤局国際部
国際機関室課長補佐
近藤 勝則(こんどうまさのり)

先日、自分で考えながら、なかなか的を得ているかもしれないと思った
ことがあります。
1.フランス・エビアンでのG8サミットへの出張の帰途、パリでのトラ
ンジットの時間を利用して知人に紹介してもらったフランス人(Cさん)
と昼食を食べながらICT(情報通信技術)がもたらす情報社会像につい
て意見交換しました。彼は、2000年の沖縄G7サミットに端を発して
形成され、昨年のカナダ・カナナスキス・サミットまで活動していたドッ
ト・フォースと呼ばれるグループのメンバーでした。このドット・フォー
スは、情報通信技術(ICT)の発達に伴って直面する情報社会の進展を
踏まえ、そこで生じる課題を検討するために、G7各国から、政府、民間
企業、NGOの代表者が集まったグループです。
G7という政治的な場において、世界的な社会問題としてデジタル・デ
ィバイド(情報格差)が取り上げられたことは画期的な出来事でしたが、
同時に各国政府のみならず、民間企業やNGOの代表が平等な立場で直接
意思決定・合意形成過程に関与することになったのは、時代の潮流を読み
取る上で非常に興味深いことがらだと思います。
Cさんは、フランス政府の代表者としてドット・フォースに参加してき
たのですが、この経験を契機に、「デジタル・ディバイドのようなグロー
バルな取り組みが必要な課題(例えば環境問題)は、単に1国家が取組む
だけでは解決に結びつかず、また政府だけで解決できる問題でもない。当
該分野で専門性を持つNGOや、推進母体となる民間企業の協力は不可欠
である。」と考えたそうで、今後グローバルな課題への取組における
NGOの重要性と将来性に賭けて官僚を辞し、現在は自らNGOを組織し、
国連行事として本年12月にジュネーブで開催される世界情報社会サミッ
ト(WSIS)に向けて積極的な活動をしています。
2.さて、Cさんとの話の中で、私は、一方でNGOの重要性と政策形成
における関与は不可欠であるとしつつ、他方で、国家の政策形成における
意思決定過程での正当性(あるいは民主主義)をどのように位置付けるの
か、と議論を振ってみました。その後2人の議論は、民主主義は固定化し
た概念ではなく、自己統治(self governance)のあり方について、社
会・文化・技術等を踏まえて同時代的に再構築していくものだ、というよ
うに抽象化していきました。
3.昼食場所はセーヌ川の対岸にサンジェルマン・デ・プレを見下ろすデ
パートの屋上で、Cさん曰く「隠れた名所」。遠くモンパルナスの高層ビ
ルやエッフェル塔が望める。ここで、ツナサンドをかじりながら、そのよ
うな議論をしていたわけですが、ふと頭によぎったのは、「こうした議論
は、日常の業務時間中にはやらないなぁ」ということ。なぜでしょうか。
考えてみると、いま、ここにいること、が重要なのではないか、というこ
とでした。いってみれば、日本を遠く離れた場所で、地上数十メートルと
いう高い場所から街を見下ろしていることで、自分の普段の思考パターン
から抜け出しているからこそ、すんなりと抽象論が口に出る。逆にいうと、
私たちの思考は、現在置かれている環境に依存、あるいは拘束されがちで
ある、ということ。緯度と経度と標高。つまりは環境が思考を規定してし
まっている。これは、ずっと職場で多忙な1日を過ごしていれば思考がワ
ンパターン化しがちであることにもつながる。いや、おそろしい。
高いところでは遠方を眺めて景色の良さに感嘆することになりますが、
足元を見下ろすと高所恐怖症でなくても思わずめまいがしてしまいます。
かといって街中を歩いていると、車とビルと犬の糞やタバコの吸殻ばかり
目についてしまうことにもなりかねません。よくビジネスマン向けのノウ
ハウ本では多様なものの見方に触れ、アイデアを豊富にするためには社外
にネットワークをつくるように、などと書いてありますが、3次元での物
理的な行動範囲を広げることがはじめの一歩かもしれません。「書を捨て、
街に出よう。」そして旅をしよう。
さて、この考え、果たして的を得ているでしょうか。
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2.《読者の声》
JIメールニュースNo.107(2003.8.1発行)教育の中央集権無責任体制
について、外交政策研究会主宰 北上リグ様より以下のようなご意見を頂
きました。
*      *      *      *
説得力がある古山さんの記事、大変興味深く拝見しました。
私は東京にあるフランス人学校に通っておりましたが、弁当問題に限っ
て言えば、そもそも給食は親の負担を軽減するためにあるので、弁当を持
たせるのは親の自由でした。フランスでは多様な民族・宗教の家庭がある
ので、給食ではなく弁当を選ぶ家庭は少数派ですが存在します。その場合
は給食代を払わずにすみます。
子供は他の子供が給食を食べる食堂にて弁当を広げることができました。
また、高校生になると、学校の外で飲食することが認められ、私も毎日近
所の飲食店に通っておりました。
また、生徒の身なりに関して言えば、服装や髪型は自由で、もちろん制
服などはありません。私も高校生になってからパーマをかけたりしました
し、服装も派手なものを着ておりました。欧米人はそもそも生まれた時か
ら髪の色や縮れ毛・直毛など様々であり、すべて統一しようなどという考
え方がありません。服装に関してもそれは個々の子供・親の感性の問題で
あるので、学校が立ち入る事柄ではないという考え方があります。私の知
る限り、フランスでは公立私立を問わず制服を導入している学校は存在し
ません。
そんなフランスでも現在、日本と同じように学級崩壊や、学力低下、非
行、不登校、教師の威信の低下などに悩まされています。フランスでは愛
国教育や公民教育が施されていますから、日本の教育基本法にそのような
ものを盛り込んでも問題が改善されないことは明らかです。フランスは日
本にも増して中央集権的な国なので、問題の根幹は、やはり制度自体にあ
るといえるでしょう。日本の教育改革を考える時、フランスとの比較研究
が役に立つのではないでしょうか。
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