【No.112】マニフェストも目が点! 公職選挙法がつくリ出す茶番
2003.09.05

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マニフェストも目が点! 公職選挙法がつくリ出す茶番
JIメールニュースNo.112  2003.9.5
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■■ 目次 ■■
1.《日本の選挙》マニフェストも目が点! 公職選挙法がつくリ出す茶番
2.《J.I. Action Summary》
3.《第75回「J.I. フォーラム」のご案内》

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1.《日本の選挙》マニフェストも目が点! 公職選挙法がつくリ出す茶番
構想日本 政策担当ディレクター
冨永 朋義

総選挙の前哨戦とも言われた「埼玉県知事選挙」が終わりました。ほと
んどの候補者が、「政権公約」、いわゆる”マニフェスト”(らしきも
の?)をつくり、埼玉県民に訴えかけていました(ちなみに、本場イギリ
スのマニフェストは、個人ではなく政党がつくるもので、各政策に、「数
値目標」、「財源」、「期限」の3点セットが示されているものです)。
そこで今日は、はるばるイギリスから日本にやってきたマニフェストが、
公職選挙法のおかげで”冷遇”されている実情を、埼玉県知事選挙を題材に
お伝えしたいと思います。その”冷遇”を一言で言うと、
「日本では、マニフェストをマニフェストとして、有権者に配布すること
ができない!」
ということです。
ある候補者の関係者から聞いたのですが、「マニフェストの配布は、公
選法第142条(文書図画の頒布)に列挙してある頒布物に該当しないから違
法」と県選挙管理委員会から言われたとのことです。その代わり、「確認
団体※による政策普及のためのパンフレットとしての配布を許可する。
ただし、候補者の名前及び候補者と思わせる表現はダメ!」とのこと。
※政党その他の政治団体は、原則として、選挙期間中(告示日から選挙当
日までの間)は、政治活動のうち一定の活動が禁止されている。しかし、
例外として、所属候補者又は支援候補者を有する政党その他の政治団体で、
県の選挙管理委員会から確認書の交付を受けた1つの団体については、選
挙期間中に禁止されている政治活動について一定の範囲内で活動が認めら
れている(衆議院小選挙区ごとに1回の「政談演説会の開催」、衆議院小
選挙区ごとに500枚の「ポスターの掲示」、選管に届け出た2種類に限
っての「ビラの頒布」など)。この確認書を受けた団体を「確認団体」と
言う。
具体的にどういうことかと言うと、例えば…
●配布するマニフェストに候補者名を書くことはできない。
もともと候補者自身の政策であるのに、確認団体がつくったものと”偽装
“しなければいけないのです。表紙には確認団体の名前だけ(「しがらみ一
掃、埼玉から新生日本をつくる会」、「美しい埼玉をとりもどす会」、な
ど)、文中に候補者の名前を入れることができないことはもちろん、本来
「私は…」というところを「私たちは…」と直さなくてはいけません。
● 配布するマニフェストに、政策の実行期限を入れることはできない。
確認団体が「こんな政策はどうですか」という内容のものですから、実
行のスケジュールはあってはならないわけです。有権者が知りたいマニフ
ェストに必要な「期限」を明示することができないのです。
● 知事選に向けての決意、知事のあり方に関する考え方を書いてはいけな
い。
まさに、埼玉県民が聞きたいことであるにも関わらず、配布物の主体は
確認団体ですから、ダメなわけです。
おかしいと思いませんか?ホント茶番です、これは。ちなみに、ホーム
ページ上に掲載するときも、上記のように”冷遇”されています。さらにお
かしいのは、記者会見では、候補者の名で完全なマニフェストを配ること
ができる、ということです(特定少数だからということなのでしょうが)。
でも、記者は候補者の政策すべてを、期限も含めて有権者に伝えるわけで
はありません。そもそも、記者会見のような、有権者に対して間接的な伝
達の場では「本人」の顔で、直接有権者に伝える時には「偽装」しなけれ
ばいけないなんて…ホント茶番です。
公選法については、他にもたくさんおかしいものがあります。選挙期間
中は、第三者が自由に公開討論会を開くことができない(同法第164条)、
選挙期間中のホームページの更新はできない(同法第142条、143条)…
等々。それらすべてが、候補者の情報を有権者が手軽に入手することを阻
んでいるのです。
マニフェストの中身の議論は必要です。それと同時に、有権者にとって
どう考えてもおかしい、世にも不思議な選挙運動の仕組みを変えなければ
いけません。いくらいいマニフェストをつくっても、今の仕組みのもとで
は、その効果は半減です。構想日本では、これまでも公選法改正のキャン
ペーンを行ってきましたが、今後も、候補者が一同に集まる合同演説会の
場などで、直接有権者に改正の必要性を訴えていきたいと考えています
(8/24:立川市長選挙公開討論会、8/27:埼玉県知事選挙合同個人
演説会で実施)。
長くなりましたが、最後にもうひとつ。8月27日に大宮ソニックシテ
ィーで行われた合同演説会で、参加したのは全候補者8名のうち7名。不
参加は、島津候補(元総務省事務次官)ただ一人でした。聞くところによ
ると、開催日の2日前までに参加の申出を選挙管理委員会にしなかったか
らとのこと。ちゃんと公選法にあるのです、第163条に。公選法の所管省庁
である総務省の元トップがその法律に邪魔された…皮肉な話ですね。
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の8月の主な活動状況■
(1)国と地方
●「国と地方の税制を考える会」第7回会合開催(8/5)
・当会の活動を、全国知事会の活動のフレームの中に位置付け、地
方六団体などと連携しながら進めていくことを確認
(当面、9月開催の「地方 自治確立対策委員会」の場で、地方
分権に関する当会の考え方を提示する予定)
●自治体の事業仕分け作業(そもそも必要?必要ならだれがやるべ
き?)
・8/20~22、新潟市で実施(9自治体目)。結果は近々公表。
●キャンペーン活動
・経済同友会、経済産業研究所などでの講演
(2)公職選挙法
●立川市長選、埼玉県知事選の合同演説会の場で、公選法改正の必要
性を有権者にアピール
・構想日本が従来より主張している、「第三者による公開討論会の
自由開催」、「インターネットの利用」の実現など
●キャンペーン活動
・経済同友会、経済産業研究所などでの講演
(3)政治資金
●有権者にとってわかりやすい、個人ベースの政治資金収支報告書の
フォーマットづくり
・現在の団体別収支(政党支部、政治団体、資金管理団体の3つ)
を「連結」させ、一覧性をもたせる
●キャンペーン活動
・経済同友会、経済産業研究所などでの講演
(4)金融
●中小企業金融のあり方を中心にした、中小企業政策に関する提言を
作成中
(5)エネルギー戦略
●「エネルギー基本計画(案)」の対案を提出(8/28)
・柔軟な政策形成の仕組み、国民の声を取り入れる仕組み等を要求
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=196
(6)公益法人制度
●「非営利活動法人制度」の抜本的な改革に向けたキャンペーン
・第7回info-netニュース(制度改革に関する情報を発信)
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=194

上記のほか、「年金制度改革」、「教育制度改革」などの政策プロジェク
トが進行中。
詳しくは、 https://www.kosonippon.org/wp-manager まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)
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3.第75回「J.I. フォーラム」のご案内

「住民基本台帳ネットワーク」
-本当に便利? 管理システムに組み込まれる?-
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8月25日から住民基本台帳ネットワークが「本格稼働」しました。全
国の市町村ではICカード(住民基本台帳カード)も発行されはじめまし
た。このカードがあれば、全国どこでも住民票の交付が可能になります。
一方で、コストがかかるばかりで住民への利便は小さいなどの理由でネッ
トワークに参加しない自治体もあります。個人情報保護の視点から自治体
の参加に疑問を投げかけるNPOの声もあります。
ネットワークの様々な問題を指摘しつづけている櫻井氏、行政の第一線
で関わっている山田氏と江原氏、情報通信分野の技術者である安田氏を招
いて、以前からこの問題について取材を重ねてきた高成田氏に全体を取り
まとめていただき、住民の視点から何を考えなければならないかの議論を
して戴きます。
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日 時  :平成15年9月30日(火)
会 場  :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者  :櫻井 よしこ(ジャーナリスト)
山田 宏(東京都杉並区長)
江原 昇(東京都練馬区職員/練馬区改正住基法問題研究
会)
その他
コーディネーター:高成田 享(朝日新聞論説委員)
主 催  :構想日本
定 員  :160名
参加費  :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが9月29日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)

*シンクネット・構想日本の会員は8月からフォーラム参加費は無料
になっています。申込が必要ですのでご注意ください。また、申込
の際は会員番号をお知らせ下さい。
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◆メールをお待ちしています!
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