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【No.126】模擬投票をした生徒から教えられること

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模擬投票をした生徒から教えられること
JIメールニュースNo.126  2003.12.12
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■■ 目次 ■■
1.《総選挙》模擬投票をした生徒から教えられること
新潟市立五十嵐中学校教諭 後藤雅彦
2.《第77回「J.I. フォーラム」の報告》
3.《第78回「J.I. フォーラム」のご案内》

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1.《総選挙》模擬投票をした生徒から教えられること
新潟市立五十嵐中学校教諭 後藤雅彦

●低投票率に注目していた生徒
私が中学社会科・公民的分野の授業の中で8年前から始めた模擬投票は、
今回の総選挙で4回目となる。国政選挙に合わせて政治学習を進め、選挙
や国の政治のしくみを学び、投票日直前に模擬投票を試みる。教科書に沿
った社会科学習の内容を教えながら、模擬投票前後に調べた生徒の政治意
識の変化にも着目する。投票後は、模擬投票結果と実際との結果を対比さ
せ、その違いについても生徒と考えてきた。
戦後2番目の低投票率となった今回の総選挙。実はその開票前、その投
票率が気になったのは、他でもない模擬投票を済ませた本校の中学3年生
だった。
11月6日、模擬投票を終えた生徒の反応をアンケート調査した。「まも
なく行われる実際の選挙結果、どんな点が気になりますか。」自分が投票
した立候補者の本当の当落に注目する生徒が多かった中で、何人かが「選
挙に来ない人がたくさん出ること。」とあった。それを読んだとき、私自
身大人として有権者として一瞬強い衝撃を受け、同時にいまの世の中を生
徒に見抜かれていることを改めて感じ寂しくもなった。
●マニフェストを比較した今回の授業
今回の総選挙は、「政権選択選挙」「マニフェスト選挙」とも言われ、
話題がなかったわけではない。私は授業の中でインターネットを使い、生
徒が選択したテーマに基づく「マニフェスト比較表」を作らせた。そして、
比較することで何が分かったのか発表させた。「自衛隊」「雇用」「中小
企業」「税制」「年金」「憲法」「教育」など、様々なテーマで生徒はマ
ニフェストを調べた。そして例えば、自衛隊派遣に対する各党の違いが分
かり、派遣に反対の立場を表した生徒。目標失業率に対する各党の数値の
違いから、ある政党の数値設定の甘さ(理想的すぎる)を感じた生徒。環境
税を提案した政党に共鳴した生徒。将来の年金不安にどの党も改革案を示
し、そのことに納得した生徒。憲法改正に対する各党の違いの中で、改め
て第9条に対する自分の考えを深くした生徒など、大人顔負けだった。も
ちろん、調べてもよく分からなかった生徒もいた。しかし、大切なことは
分からないなりに学習を進めながら、少しでも投票の判断材料を得ること
だと言ってきた。「政治はよく分からない」「政治は難しい」のは、政治
家のせいにもできるが、有権者のせいでもあると考えるからだ。
●学習前からあるシニカルな政治意識
若者の選挙・政治離れが指摘されて久しい。こうした生徒の政治意識も、
模擬投票前すでに出来上がっている。2クラスでの今回の集計結果でも、
政治家の印象が「あてにならない」が46%で一番を占め、次いで「いばっ
ている」が17%と続く。「国会議員が国民のためによくやっているか。」
では、「そうは思わない」が78%と、「よくやっている」の22%で、とて
も比較にならない。前回行った模擬投票授業での調査結果(3年前)と比較
しても、その政治意識はほとんど変わっていない。また、そのときの有権
者との政治意識とも一致している。このまま選挙権を得たとしても、恐ら
く若者の政治離れ、若者の民主主義への敬遠が加速していく気がする。そ
して、こうした事態が日本の将来にとってよくないことに気付いているの
は、他でもない生徒たち自身でもある。
●有権者トレーニングとしての成果
模擬投票後の手ごたえは、いつもある。「私が家族と選挙の話をするな
んて今までになかったことで、自分でもかなり驚いた。」「今回の授業を
通して選挙や政治のことに関心が持てるようになったし、選挙や政治は身
近にあること、その大切さが分かりました。」などである。もちろん、「
今の政治にはキラリと輝くものがない。」などもいくつかある。模擬投票
を取り入れた社会科授業を通して、生徒が一票の意味について考える機会
になっている。生徒は大人たちが繰り広げる政治を鋭く見ている。そして、
政治への期待を少し覗かせていることを授業者として感じる。
最後に、今回の模擬投票授業から拾った生徒の声を届けたい。
「政治に興味がないというのは、有権者の責任を果たしていないと思
う。」
生徒から教えられることは、少なくない。
<プロフィール>
1961年、新潟県能生町出身。地元の高校を卒業後、東京都渋谷区役所に11
年勤務。その間夜間大学で教員資格を得る。その後、新潟に戻り中学校の
社会科教員として13年目、現在新潟市立五十嵐中学校に勤務。
実践論文「模擬投票を取り入れた公民的分野の授業効果」(日本公民教育学
会「公民教育研究」Vol.8 2000年)他。
電子メール: goti@ecatv.home.ne.jp
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2.《第77回「J.I. フォーラム」の報告》
年金制度は不安でいっぱい?!
– どのような制度を目指すのか?-
私たちの老後を支える年金制度。11月に行われた衆議院総選挙でも、こ
の問題が大きな争点となりました。最初に、東洋大学助教授駒村氏から年
金改革の課題や改革の視点などを整理した「2004年年金改革とその評価」
について解説がありました。
「政府の年金制度改革は、どういう『形』を作ってから『重さ』(保険料
率は20%、給付水準は平均賃金の50%など)をどうするのかという順序でな
く、『形』を決めないで先に『重さ』の議論をしている。」
その後のディスカッションで交わされた意見を大別すると、(1)年金財政
の観点から現行制度を見直すべき、(2)年金制度自体を根本から議論すべき、
となります。
(1)の立場からは、
「自分は、厚生労働省案が一番現実的で公平な案だと思う。スウェーデン
方式の使えるところは使って、もちろん問題がないわけではないが、これ
以外にいい方法がない。」(放送大学教授 神代氏)
「年金問題は、簡単にいうと『給付と負担のバランスをどうとるか』、こ
の1点につきると思う。すべて情報公開して具体案を出し、国民がどのレベ
ルのバランスのあり方を選択するかという議論だと思う。」(衆議院議員
根本氏)
(2)の立場からは、
「現行制度は破綻していると、みんな思っている。その信用できない制度
のどこかをいじってこれならどうにかなるというような議論をしている限
り信用されず、ますます破綻に近づく。」(衆議院議員 古川氏)
「今の年金制度は破綻している。だから、4年前に受給年齢を65歳にくり
上げた。今度は、保険料を引き上げ、給付を減らすといい、その上、(制
度に対する)信頼がなくなったから(支払うか支払わないかを)選択でき
る人は40%も”棄権”している。」(経済同友会副代表幹事・専務理事 渡辺
氏)
という意見でした。
構想日本が行った年金制度アンケートによると、設問「現行制度につい
て何が問題か」に対して、6割が「国民年金の未払いの増加」「世代間不
公平」をあげています。
2004年は、5年に1度行われる年金制度改正の年。保険料率や給付水準な
ど財政の問題だけでなく、私たちがどのような年金制度を目指すのか、ど
のような制度なら国民の信頼が回復できるのか、基本的な問題を議論する
ことが大切です。
<講 師>
駒村 康平(東洋大学助教授)
<討論者>
神代 和俊(放送大学教授)
渡辺 正太郎(経済同友会 副代表幹事・専務理事)
根本 匠(衆議院議員)
古川 元久(衆議院議員)
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3.《第78回「J.I. フォーラム」のご案内》
マニフェストを活かすには
– 政治家の「活動」と「カネ」をチェックする仕組みを考える-
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みなさん、
● 先の総選挙で、候補者の考えを十分に知ることができましたか?
● みなさんの選挙区の議員が、どのようにお金を集めて何に使っているか
ご存知で
すか?
「NO」という方、是非お越し下さい!
なぜ?、どうすべき?…みなさんの疑問を議員にぶつけてください。
今回は、みなさんとのQ&Aを中心に進めます。
早速会員の方々から、今回のフォーラムに寄せる期待の声が届いています。
“政策論議も大事ですが、選挙制度や政治資金の問題点を議論することが、
民主的で自由な政治を可能にするための根本的な問題点かなとも感じてお
ります。”
2003年の政治を語る上で重要な「マニフェスト」、今年のしめくくりに、
「マニフェスト」を活かす仕組みについて大いに議論しませんか?
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日 時  :平成15年12月17日(水)
会 場   :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者  :衆/参国会議員複数
加藤 秀樹(構想日本 代表)
コーディネーター :丹治 幹雄(構想日本 政策委員)
主 催   :構想日本
定 員  :160名
参加費  :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが12月16日までに出欠の是非をお知らせ
願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)

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週刊JIメールニュース  発行:構想日本 発行責任者:加藤秀樹
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