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【No.131】問題の背景には何が?

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問題の背景には何が?
JIメールニュースNo.131  2004.1.23
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■■ 目次 ■■
1.《問題の背景には何が?》
2.《第78回「J.I. フォーラム」の報告》
3.《第79回「J.I. フォーラム」のご案内》

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1.《問題の背景には何が?》
構想日本 政策スタッフ
金野 桂子
新年早々、医療事故のニュースが続いています。たとえば、1月7日
付の新聞記事には、腸の手術を受けた女性が手術直後に死亡、医療ミス
の可能性があるとして捜査をしているとありました。また同日夕刊には、
人工透析を受けるため通院していた男性に、薬剤師が薬の名前を間違え
て渡したため、男性が一時意識不明に陥っていたとありました。
昨年は、医療ミスを起こした病院の関係者たちが記者会見で頭を下げ
る姿をテレビで何度も見ました。あまりにも相次ぐ医療事故。「なぜ」
と、ため息が出ると同時に、「自分にも」と不安になります。
医療事故の実態すら把握していないと批判された厚生労働省は、昨年
末、ようやく「厚生労働大臣医療事故緊急アピール」を公表し、今後、
医療機関(病院や診療所など)が安全対策を向上するような誘導政策を
強化していくことを示しました。
具体的には、(1) 医療ミスを繰り返す医師の再教育など「ひと」に関す
る対策、(2)手術室や集中治療室などハイリスク施設・部署での安全ガイ
ドラインづくりなど「施設」に関する対策、(3)医薬品・医療機器・情報
など「もの」に関する対策の強化です。
これらの誘導政策は、医療現場に大きな変革をもたらすものでしょう
か? 実際に起こっている数多くの医療事故の事例を見ていると、これ
らの誘導政策だけでは、医療事故が減っていく結果にはつながらないよ
うにも見えます。
医療事故は、事故を起こした医療提供者本人の知識不足・技術不足だ
けが原因となって起こるものばかりではありません。医療行為に必要な
人材が不足しているため生じる事故は、昼夜を問わず少なくありません。
特に、医師は夜間の当直を研修医だけとなっているため、重篤な患者の
治療ができないこともあります。また、医師や看護師など医療スタッフ
の確認不足から、患者の取り違えや患者の体内へガーゼや手術用具の置
き忘れなどの単純な医療ミスも多くあります。
これらの事故は、医療機関の経営にも問題がある可能性もありますが、
一方で、人材不足の原因の一つとして、診療報酬を指摘する声も多くあ
ります。たとえば、医療の単価である診療報酬が薬価や検査等に比べ人
の価格評価(技術や診療行為等)が低く設定されていることです。その
ため、必要な人を増やしても価格に反映されないので増やせない、増や
せないから限られた人数で煩雑な業務をこなすしかない、一人の患者に
かける時間を短くするなどが医療現場で起こっています。さらにそのよ
うな状況は、研修医が臨床研修を行う病院(医学を履修する課程を置く
大学病院又は厚生労働大臣の指定する病院)でも同じです。研修医を指
導する医師に時間はなく、研修期間でありながら、研修医自身も他の医
師と同じよう一人の医師として働いています。このことは、研修医が臨
床研修に専念し、習熟すべき事柄を学ぶ場とはなっておらず、研修効果
や医療の安全面でも問題です。
このように診療報酬や医療提供体制、さらには医学教育の問題などが
複雑に絡み合っています。複雑な医療制度のなかで、医療提供者は「患
者の身体や心を治癒に導く」という基本的な医療を行うことが難しくな
りつつあるのではないでしょうか。

何がこのような医療事故を招いているのか、できるだけその複雑な因
果関係を整理し、そのうえで、「ツボ」を抑えることが必要です。目に
見える「現象」ばかりにとらわれていては、問題の本質に迫ることがで
きません。むしろ、これまで目に見えてなかったことに大きな原因があ
るのかもしれません。
医療事故の根本原因を探る視点から医療制度の改革に取り組むことは、
これまであまりなされてきませんでした。構想日本の医療プロジェクト
では、今後、これまで繰り返し起こっている医療事故の原因とその背景
から真正面から取組み、現在の医療制度を見直し、問題意識を共有する
方々と議論し、国民(患者)が安心していつでも医療サービスを受けら
れるよう制度提言を行っていきます。
みなさんも是非、病院で治療受けて、または医療について思っている
ことなどご意見をお寄せ下さい。
(文責:「医療」プロジェクト担当 金野)

<加藤秀樹から一言>
医療の質の向上や医療財政問題など、医療制度改革は重要な政策課題で
す。しかし、医療の問題は教育、病院経営、保険制度などどこから手を
つけていいかわからないくらい複雑に絡み合っています。医療事故の多
さは日本の医療制度のほころびを物語っています。
構想日本は、「事故」はなぜ起こるかを解きほぐすことから、その背後
にある様々な問題を明らかにして、医療制度改革につなげていきたいと
考えています。この問題に詳しい方、是非議論に参加して下さい。
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2.《第78回「J.I. フォーラム」の報告》
―政治家の「活動」と「カネ」をチェックする仕組みを考える―
2004年の総選挙であれほど注目を浴びた「マニフェスト」。今や、マス
コミなどでとりあげられる機会もほとんどありません。一時もてはやすの
ではなく、所詮言葉の遊びと斜に構えるのでもなく、政治をよくしていく
ための一つの手立てとできないか。
半年後の参議院選挙もにらみながらの企画です。
「今までの選挙では、国民が選挙のときに政策を選ぶというような次元に
まで至っていなかった。(それが)政策が前面にでることによって政策の
選択をする(ようになる)。1回の選挙で変わるものでもないが、だんだん
変わっていくということが大切だと思う。」(衆議院議員 福島 豊氏)
「現職議員のホームページをみると、大半は『私の政策』を載せているが、
中には、『自分の党のマニフェストを見てください』というのがある。自
分は、本来2大政党制の方向であれば、後者の方が正しいと思う。」(衆議
院議員 田嶋 要氏)
「今の制度の下では、候補者が選挙の際に政策を伝えていくのにいろいろ
な制約があるのではないかというのが実感。選挙中もインターネットを活
用して自分たちの政策を訴えられるようにできれば、有権者との間の距離
を縮め、候補者の実像を伝えるという点で非常に大きいメリットを生むの
ではないか。」(衆議院議員 村越 祐民氏)
「政治とカネの問題が、政治の信頼性、つまり政策の元となる信頼性を損
なう大きな原因だった。そこに、公開という基準を与えることで、あるい
は説明責任を示すことによって、契約の中身についての信頼性をしっかり
担保していく、(今回の選挙で主権者と契約した)この4点で勝負してい
きたい。」(衆議院議員 原口 一博氏)
「今回、政党が大きな形をなして、そして、一つの答えを出してそれがマ
ニフェスト=政党の政策として有権者に提示できたことは、有権者の側か
らみると、一票入れてみる実効性というものを感じることができたのでは
ないか。」(衆議院議員 寺田 学氏)
「マニフェストを単なるブームに終わらせず、政治改革のツールとして本
当に中身のあるものにしていくためには、そのチェックが欠かせない。チ
ェックの前提として不可欠なのが政治家の情報公開」(構想日本 冨永
朋義)
当日は、マニフェストを手に選挙を闘った議員達が、政治家の情報公開
やそのあるべき将来像について真剣な議論を交わしました。「政策で政党/
政治家を評価する」ということを定着させるには、マニフェストがきちん
と実行されるかどうか有権者がチェックしやすくすることも不可欠です。
公職選挙法や政治資金規正法などの制度改革により、有権者が政治家をチ
ェックするための情報を十分に入手できるようになって初めて、真の「政
治改革」が実現するのです。
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3.《第79回「JIフォーラム」のご案内》
開発援助を通して考えた「人間の幸福」
- 何が先進国・何が開発途上国?-
日本をはじめいわゆる「先進国」は、「途上国」に毎年莫大な金額の開
発援助を行っています。その結果、インフラの整備、医療水準の向上ある
いは、経済成長など一定の「成果」は上がっています。一方で、為政者の
モラル低下、部族間紛争、環境問題など弊害も目立っています。これまで
の開発援助が本当に住民たちに幸せをもたらしたのでしょうか?
ケニアでの20数年の経験をふまえた岸田氏の話を中心に、援助のあり
方、ひいては私たち自身の生き方、そして本当の人間の幸せとは何かにつ
いて考えましょう。
日 時  :平成16年1月27日(火)
会 場   :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者  :岸田 袈裟(食物・栄養研究家・NGO「少年ケニアの友」
副会長)
五月女 光弘(外務省 特命全権大使(NGO担当))
重田 真義(京都大学大学院助教授)
コーディネーター :蟹瀬 誠一(ジャーナリスト)
主 催   :構想日本
定 員  :160名
参加費  :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
☆参加ご希望の方は1月26日まで下記にご記入の上、ファックスにてお申し
込み下さい。
返信宛先 構想日本FAX:03-5275-5605
お問い合せ 構想日本・西田 TEL:03-5275-5665

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*「読者の声」の掲載についてお知らせ
読者のみなさん、JIメールニュースに対したくさんのご意見をお寄せ頂
きありがとうございます。回を重ねるごとに、みなさんから頂くご意見が
増えています。そこで既にご案内の通り、今後、過去に頂いた分も含め、
ホームページ上のバックナンバーの「読者の声」でご覧頂くことにします。
< http://www.kosonippon.org/mailnews/log.html >
ご意見は1月26日(月)よりご覧頂けます。
不掲載をご希望の場合は、必ずその旨をご意見などのメールに明記下さい。
また、氏名、肩書きは、特にことわり書きがなければそのまま掲載します。
イニシャル、匿名、ハンドルネーム使用の場合は必ず明記下さい。
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週刊JIメールニュース  発行:構想日本 発行責任者:加藤秀樹
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