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【No.133】わが国の次世代人材育成政策に期待するもの

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わが国の次世代人材育成政策に期待するもの
JIメールニュースNo.133  2004.2.6
窓口はこちら! info@kosonippon.org
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■■ 目次 ■■
1.《わが国の次世代人材育成政策に期待するもの》
2.《第80回「J.I. フォーラム」のご案内》
3.《J.I. Action Summary》
4.《お知らせ》

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1.《わが国の次世代人材育成政策に期待するもの》
東京大学大学院教育学研究科教授 汐見 稔幸
●少子化問題がようやく社会問題になり、「次世代育成」という耳慣れな
いことばが政治の世界に登場するようになってきました。でも多くの男性
にとって、この問題は日本の景気の回復や戦争参加という問題などに比べ
ると全く枝葉の問題あるいは「女性・子どもの問題」で、日本の将来に影
響を与える大問題だという認識はあまりないようです。私は、日本男性の
そうした認識状況にこそ時代の危機の根元があると感じています。
●育児を孤立した環境で行うことがどれだけ疲れ、ストレスフルなものな
のか、一日でも赤ちゃんの面倒を一人で見なければならなかったという男
性ならすぐわかります。それを果てしなくし続けなければならない女性は、
本当にたいへんです。人類史上子どもに「ちょっと外で遊んできて」とい
って放り出しながら育児をするということができない時期はありませんで
したし、誰かが絶えず顔を出して四方山話をしていってくれる環境で育児
をしなかった時期もありませんでした。こういう単純なことができず、そ
して必要なときに必要なアドバイスが得られないまま一人で意気込んで育
てなければならないのが今の育児なのです。この、子どもをいつでも外に
放り出してよいとか、ワイワイしながらするという「単純なこと」ができ
ないことが現代育児の最大の問題なのです。その上、社会の変化が激しす
ぎて、どのような力をもつ子どもに育てておけば安心できるのかさえわか
らない。
そんなことたいした問題ではないだろうという男性は、繰り返しますが、
一日でいいから幼い子の世話を誰の手も借りずにやってみて欲しい。
100%認識が変わるはずです。
●育児の負担感が強くなるということは、子どもが望ましく育たないとい
うことに直結しています。朝から晩まで子どもの側にいて面倒をみなけれ
ばならない母親は、育児はすべて私がするしかないものと半分あきらめて
いますが、それは、育児は母親次第というプレシャーに転化し、自分の人
物評価が育児の正否に出てくると感じつつ育児することになります。だか
ら、子どもに過剰期待と過剰干渉が当たり前になり、子どもは、自分は自
分の主人公と感じること(それが人間形成で最も大事なことのひとつ)が
十分できないまま、周囲からの期待に適応することを早くから強いられま
す。こうした問題の蓄積が思春期・青年期に出てきます。たとえば「引き
こもり」100万人という事態は、世界には全く類例がなく、わが国の育
児問題の象徴になっているのです。
●少子化は、こんな育てにくい社会では子どもを生む気がしないという
「社会の抱えた問題」の象徴ですが、同時に子どもがうまく育たたず、社
会の人材育成が失敗してきているということの兆候でもあります。単に子
供の数が減るという問題ではなく、このまま行けば、日本はどういう国に
なるか心配しないのがおかしいと思うのです。
●次世代育成のための施策は、したがって国家的な人材育成策になります。
そこで最大のテーマは親の育児の水準を上げることへの支援です。保育
の量ではなく、質こそが問題になってきているのです。保育所を増やすの
もいいのですが、そこでやすかろうまずかろう的な保育が行われたら、歴
史にとんでもない禍根を残すことになるでしょう。
<プロフィール>
東京大学大学院教育学研究科教授。専門は教育学、教育人間学、育児学。
教育人間学の立場から育児や保育をとらえ直すことを課題としている。臨
育児保育研究会、赤ちゃん保育研究会を主宰。現場の保育関係者と専門の
研究者が協働して臨床的な保育研究を進めることを目指している。最近の
著書に『「教育」からの脱皮』(ひとなる書房)『親子ストレス』(平凡
新書)『はじめて出会う育児の百科』(小学館)など。
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2.《第80回「JIフォーラム」のご案内》
保育所は「雇用」「女性」だけの問題か?
~“乳幼児教育”が日本の将来を致命的に左右する !!~
子どもの成長、教育の視点から「保育所」を考えたことがありますか?
それは、乳幼児が人として生涯の土台をつくる最初の社会、教育の原点で
す。これまで保育所は、縦割り行政のせいで雇用の面からしか語られてき
ませんでした。教育の視点がすっぽりと抜け落ちていてもよいのでしょう
か? 日本の将来に重大な事態を招くことにならないでしょうか? 第一
部・二部を通して徹底的に討論します。
上記《わが国の次世代人材育成政策に期待するもの》の執筆者である汐
見稔幸東京大学大学院教授は、第二部で討論者としてご参加頂きます。
★ 第一部 【16:00~18:00】 施設の民営化、幼保一元化など“量”を
確保するだけの施策をうけて、保育・育児現場 が抱える問題を、生々
しく語ります。
★ 第二部 【18:30~20:30】 乳幼児の“育ち”を軸とした改革なしに
社会の繁栄はありえません。“雇用”中心の次世代育成施策ではなく、
企業が何をなし得るかを含め議論します。
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日時: 平成16年 2 月25日(水)
会場: 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開演: <第1部> 16:00 ~ 18:00 (15:00開場)
司 会:小西行郎 (東京女子医科大学教授)
討論者:安藤哲男  (株式会社資生堂人事部課長、企業内保育
施設「カンガルーム」責任者)
大日向雅美(恵泉女学園大学教授)
遠山洋一 (バオバブ保育園小さな家園長)
新澤拓治 (江東区子ども家庭支援センターみずべ地域
ネットワーク主任)
普光院亜紀 (保育園を考える親の会代表)
<第2部> 18:30 ~ 20:30
司 会:小泉英明 (株式会社日立製作所参与・技師長)
討論者:本田和子 (お茶の水女子大学学長)
吉岡てつを(厚生労働省少子化対策室長)
汐見稔幸 (東京大学大学院教授)
山極清子 (株式会社資生堂経営改革室次長)

主催:構想日本  定員:160名(先着)
企画:七海 陽・小西行郎・汐見稔幸
参加費:2,000円(シンクネット構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが2月24日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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3.《J.I. Action Summary》
■構想日本の1月の主な活動状況(一部、昨年12月分含む)■
(1)年金制度改革
●緊急プレスリリース(12/17、1/22)
・年金の空洞化、世代間/世代内の不公平感、積立金運用の問題などに関す
る根本的な議論の必要性をアピール、年金改革法案に盛り込む附則(案)
を公表(基礎年金の位置付けや給付水準/要件のあり方について検討する旨
明記)
(2)国と地方
●『週刊ダイヤモンド新春合併号』-「国のコントロールを断ち地方主導
の日本再生を」(P37)にて、「三位一体改革」の真の目的を再アピール
●自治体の仕事に対する国のコントロールをなくすための法案作成
・「国と地方の税制を考える会(構想日本と16県知事で構成)」の次回会
合で議論の予定
(3)政治改革(公職選挙法改正、政治資金規正法改正)
●JIフォーラム開催(12/17):「マニフェスト」を活かすには-政治家
の「活動」と「カネ」をチェックする仕組みを考える-
http://www.kosonippon.org/forum/log.html?no=1094
(構想日本の提言は、http://www.kosonippon.org/doc/?no=200 )
(4)特殊法人改革(道路公団)
●「シャドー・コミティ(構想日本と「日本再生のための行革を推進する7
00人委員会」との協働)」による緊急アピール(1/16)
・「民営化推進委員会」の意見書にそった改革の実行を小泉首相に訴える
http://www.kosonippon.org/doc/?no=203
(5)公教育制度改革
●「公立小中学校」の制度改革に関する提言を作成(近々公表)
・「現場(学校、地域、市町村など)」に権限・責任、財源を移す
上記のほか、「中小企業政策」、「医療制度改革」などの政策プロジェク
トが進行中。
詳しくは、 http://www.kosonippon.org まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)
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4.《お知らせ》
ジャーナリストの櫻井よしこさんが道路公団改革の政府案の決定プロセス
における関係者の動きを、克明にレポートしています。政府委員である猪
瀬氏が自らのペンで「報告」することによって新しい「事実」が創り出さ
れるおそれ。それをほとんど指摘してこなかったTV、新聞、雑誌。
わが国のジャーナリズムのあり方に対する重大な問題提起です。
是非、ご覧下さい。
●「新潮45」2月号(新潮社)
「猪瀬直樹の仮面を剥ぐ」 櫻井よしこ
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◆寄せられたご意見は「読者の声」として以下に掲載しています。
http://www.kosonippon.org/mailnews/log.html
不掲載をご希望の場合は、必ずその旨をご意見などのメールに明記下さい。
また、氏名、肩書きは、特にことわり書きがなければそのまま掲載します。
イニシャル、匿名、ハンドルネーム使用の場合は必ず明記下さい。
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週刊JIメールニュース  発行:構想日本 発行責任者:加藤秀樹
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