【No.137】地域活性化の必要条件とは
2004.03.05

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地域活性化の必要条件とは
JIメールニュースNo.137  2004.3.5
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■■ 目次 ■■
1.《日本の税制》地域活性化の必要条件とは
2.《J.I. Action Summary》
3.《第81回「J.I. フォーラム」のご案内》
4.《お知らせ》

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1.《日本の税制》地域活性化の必要条件とは
構想日本 政策アナリスト
近藤 学

来年度の税制改正項目が、国会で審議されつつある。今回も相変わ
らずの内容だというのが私の率直な感想だ。相変わらずという意味は、
住宅・土地税制、中小企業・ベンチャー支援税制、農林漁業税制、
金融・証券税制等、ほとんどすべての分野について、細かな項目が
これでもかこれでもかと盛りこまれているという意味だ。
何が最大の問題か?私は、国があらゆる分野にわたって決めており、
都道府県や市町村が各地域の実情にあわせて税制を自由に設計でき
ないことだと思う。
例えば、住宅税制では今回、年間50万円を上限に10年間で最大500
万円の税額控除を受けられる住宅ローン減税が延長された。それ以外
にもさまざまな措置が盛りこまれており、評価できるとの声が多い。
しかし、そもそも、地価や住宅価格、住宅事情は地域ごとに異なるの
だから、それに関する税制を国が一律に細かく仕組むべきではない。
このことは中小企業・ベンチャー支援税制などにも当てはまると思う。
実は、都道府県や市町村が課税自主権を持っているはずの地方税
でも、各自治体が自由に決められないという例が多い。例えば今回の
改正では、市町村民税のうち世帯ごとに支払う均等割が、全国一律に
年額3,000円で統一される予定である。しかし、この水準は各市町村
が行政サービスの多寡に応じて自由に決めればいいではないか。
また、市町村税の大きな柱である固定資産税では、平成6年以降、
評価額を決める仕組みが全国画一的になったため、それ以前には
多少はあった市町村の裁量がほとんどなくなってしまった。これに
ついても税率を完全自由化すべきである。
がんじがらめの背後には、税制を決めるという絶大な権限を国が
手放したくないということがもちろんあるが、私はそれ以外にも、
地方が税制を自分で決めるという意欲に欠けているのだと思えて
ならない。
均等割の統一化も、固定資産税の評価方法の固定化も、実態は
増税である。地方自治体は、増税を国に実現してもらっているの
ではないか?自らの言葉で増税を語れないのなら、国からの税源の
移譲など求めない方がいい。課税権を持つのは厳しいことだと思う。
地域の住民や企業と対峙して、彼らを説得する力がなくてはならない。
そのためには、まず、住民や企業が受ける受益(行政サービス)を
自治体がきちんと示した上で、その対価としての地方税を負担して
もらうのが本筋であろう。
魅力的な中小企業を多く抱え、地域が元気なイタリアでは、
政策立案に当たって地方自治体の果たす役割が大きいと言われて
いる。日本でも地域の強みを生かすために、自治体が覚悟をもって
税制をできるだけ自由に設計すること、それが地域再生のカギでは
なかろうか。
<ひとこと>
「三位一体改革」でいう税財源の地方への移譲とは、実質的には
自治体が自分の判断で増税をする、あるいは増税をしないかわりに
行政サービスを切りつめる(歳出削減)ことを意味している。国の
コントロールと地方の依存はニワトリと卵の関係だが、自治体の
側からも依存を断ち切るような試みが不可欠だ。構想日本では
いくつかの自治体のそのような試みを支援しているので、参考に
していただければ幸いだ。
(加藤)
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2.《J.I. Action Summary》

■構想日本の2月の主な活動状況■
(1)年金制度改革
●抜本的な制度改革の議論を実現するためのキャンペーン
・構想日本の主張(年金の空洞化、世代間/世代内の不公平感、積立金運用
の問題等について検討する旨法案に盛り込む)に対する意見募集
・「共同アピール」に向け、経済団体や研究者などに呼びかけ
(2)国と地方
●真の「三位一体」改革を推進するためのキャンペーン
・2/20:日経『経済新聞』に、「地方自治法の改正不可欠」を掲載
・2/24-25:岐阜県多治見市で「事業仕分け」を実施-必要かどうか?だれ
がやるべきか?(11自治体目)
(3)国会議員アンケート
●第12回アンケート実施中:「参議院選挙に向け、有権者にお答え下さ
い」(2/23配布、結果公表は3月末)
・「公選法」と「政治資金規正法」の改正について(質問事項は、
http://db.kosonippon.org/question/question.php?id=24 )
(4)公益法人制度改革
●「非営利活動法人制度」の抜本的な改革に向けたキャンペーン
・2/11:第11回info-netニュース(「民間法制・税制調査会」発足につい
て)
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=204
(5)公教育制度改革
●公立義務教育の制度改革に関する提言を作成中(近々公表)
・「現場(学校、地域、市町村など)」に権限/責任、財源を移すための仕
組みづくり
上記のほか、「特殊法人改革-道路公団」、「医療制度改革」などの政策
プロジェクトが進行中。
詳しくは、 https://www.kosonippon.org/wp-manager まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)
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3.《第81回「JIフォーラム」のご案内》
外国人から見た日本の政治
-時代の変わり目を迎えている日本の取組みを外からの目で語る-
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構造改革が叫ばれる社会システムの劣化、少子高齢化、イラクへの自衛隊
派遣。21世紀初頭の日本は、「時代の転換点だった」と後世、語られる
のではないでしょうか。そんな日本社会を、外国人はどう見ているのでし
ょうか。そして、これまでの日本の憲法、外交などのあり方や経済の枠組
みの変わり目、そして私たちの暮らしぶりを、どう見ているのでしょうか。
日本で暮らし、この国をよく知っている外国人ジャーナリストやビジネ
スマンのジェームス・ワグナー氏、ジョナサン・ルイス氏、ピーター・D・
ピーダーセン氏、スベンドリニ・カクチ氏をお迎えし、日本の政治や日本
人を語っていただきます。
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日 時  :平成16年3月30日(火)
会 場   :銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  :午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者  :ジェームス・ワグナー(米)
ジョナサン・ルイス(イギリス)
ピーター・D・ピーダーセン(デンマーク)
スベンドリニ・カクチ(スリランカ) 他
コーディネーター :山田厚史(朝日新聞社経済部・アエラ編集部)

主 催   :構想日本
定 員  :160名
参加費  :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが3月29日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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4.《お知らせ》
●「新潮45」3月号(新潮社)
ジャーナリズムを否定する「猪瀬直樹の作法」 櫻井よしこ
2月号の「猪瀬直樹の仮面を剥ぐ」で道路公団改革の政府案の決定プロセ
スを克明にレポートしたジャーナリストの櫻井よしこさんが、引き続き、
政府の「民営化推進委員会」の議論過程を鋭く追及しています。政府の
「委員」のあり方、ジャーナリズムの姿勢を問う記事でもあります。
一方、猪瀬氏は同号で、櫻井氏の記事に対し反論しています。氏の反論は
果たして「論破」したことになっているのか、2月号と合わせ、ぜひご覧
下さい。

●シンポジウム開催「道路関係四公団民営化問題を考える」
と   き : 平成16年3月8日(月)  15:00~17:30
と こ ろ: 日本財団ビル2階 大会議室(港区赤坂1-2-2・特許庁前)
地下鉄最寄り駅
溜池山王駅  9番出口(南北線・銀座線)
虎ノ門駅   3番出口 (銀座線)
パネリスト: 日本道路公団 総裁         近藤   剛 氏
道路関係四公団民営化推進委員会 元委員長代理
田中  一昭 氏
同 委員会 委員 川本  裕子 氏
(社)経済同友会 代表幹事 北城 恪太郎 氏
西日本旅客鉄道(株) 取締役相談役 井手  正敬 氏
日本経済新聞社 論説委員  吉野 源太郎 氏
(順不同)
司会・進行 : 日本再建のため行革を推進する700人委員会
道路公団民営化問題 小委員会 委員長 水野 清
主   催 : 日本再建のため行革を推進する700人委員会
千代田区平河町1-8-9 半蔵門KDビル6F
TEL&FAX 03‐3234‐2882
後   援 : 東京財団・日本経済新聞社・(社)共同通信社・東洋経済
新報社・ダイヤモンド社
入   場 : 無料  定員200名 (定員になり次第、締め切らせてい
ただきます。)
お申し込みは、ご芳名、所属、ご連絡先とともにシンポジウム「道路関
係四公団民営化問題を考える」に参加希望と明記の上、日本再建のため行
革を推進する700人委員会へ FAXでお願いします(このメールに返信されて
もお申し込みは受付できません)。
FAX 03‐3234‐2882
* これは、構想日本が日本再建のため行革を推進する700人委員会・道路
公団民営化問題小委員会のメンバーとしてお送りするものです。お申し込
み、お問い合わせは「日本再建のため行革を推進する700人委員会」
(TEL&FAX 03‐3234‐2882)へお願いします。
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