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【No.146】私的諮問機関の会議での委員発言は「プライバシー」なのか?

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私的諮問機関の会議での委員発言は「プライバシー」なのか?
JIメールニュースNo.146  2004.5.7
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■■ 目次 ■■
1.《私的諮問機関の会議での委員発言は「プライバシー」なのか?》
2.《お知らせ》
3.《J.I. Action Summary》
4.《第83回「J.I.フォーラム」のご案内》

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1.《私的諮問機関の会議での委員発言は「プライバシー」なのか?》
特定非営利活動法人 情報公開クリアリングハウス
室長 三木 由希子
■ことの発端は「発言者名」なしの議事録
ことの発端は少し前のことになります。2002年1月に設置された司法制度
改革推進本部にかかわる問題です。現在、この司法制度改革本部でなされ
た議論は大詰めを迎えています。その内容もさることながら、情報公開の
あり方が重要な問題をはらんでいたのです。
当初、推進本部では、課題ごとに10の検討会を設けていました。いず
れの検討会も第1回の会合で会議運営の方法を決めましたが、5つの検討会
が発言者名つきの議事録を、残りの5つは発言者名なしの議事録を作り、公
表するとしました。その結果、発言者名なしの議事録と決めた5つの検討会
に対して批判が上がりました。
検討会によってこのような違いがあることに合理的な理由があるとはお
もえないので、私は、何とかこの状況に問題提起をしたいと考えました。
そこで、5つの検討会の第1回の議論を録音したテープを、情報公開法を使
って公開請求しました。
■委員の発言内容は「個人情報」?
しかし、テープは全面非公開になったのです。主な理由は、委員個人
が識別される情報が含まれるため、非公開理由である「個人情報」に該当
する、というものでした。
みなさんは、この決定に違和感を感じませんか? 検討会の委員は、
司法制度改革という非常に重要な政策形成にかかわっており、その検討結
果を踏まえて法律や制度が作られます。それにもかかわらず、委員の会議
での発言は、情報公開法の下では「個人情報」として保護され、委員個人
が特定される形では公開されないのです。
■問題は、委員の不見識と情報公開法の欠陥
これには2つの問題があります。一つは、言うまでもなく、検討会の委員
が不見識で「発言者名なし」という意思決定を会議で行ったことです。も
う一つは、情報公開法の欠陥です。
情報公開法では、個人を識別する可能性のある情報は原則として非公開
とされています。しかし、(1) すでに公にされているもの、公にすること
が予定されている情報、(2)公務員の職、職務の内容については、個人
が識別されても公開されます。
公務員の場合、(2)で職務の内容については公開され、さらに市販さ
れている職員録などで氏名が公にされているものは、(1)が適用されて氏名
も公開されます。
審議会委員の場合、その審議会が法的な根拠のある場合は公務員となり
ます。委員名簿は公表されていますから、発言者が特定された情報を「個
人情報」として非公開にはできません。もし公開することに支障があれば、
別の理由で非公開としなければなりません。
しかし、情報公開法にいう「公務員」は、「法律上、公務員としての地
位のある者」とされています。そのため、検討会にはそうした根拠がない
ため、委員は「公務員」とはならず、(1)にも(2)にも当たらないので、
発言者名は公開を予定していない限り、個人情報として非公開にされるの
です。
情報公開クリアリングハウスでは、非公開決定を受けて、不服申立てを
し、並行して東京地裁に提訴しました。不服申立てでは、議事運営の検討
を行った部分以外は報道機関が傍聴していたことから、公にすることが予
定されていた情報として公開すべきとの判断が出され、テープが部分公開
されました。昨年12月には、東京地裁で残りの非公開部分の公開を求める
判決が出されました。(控訴され、係争中です。)
■ 私的諮問機関の情報公開への懸念
この一件は、国や自治体の私的諮問機関(有識者から意見を聴くための
会合)の審議過程の情報公開に、重大な問題を提起したと私は考えていま
す。ここで問題になった検討会が、まさにこの私的諮問機関と位置づけら
れるものだからです。
この検討会の例からわかるのは、私的諮問機関が会議公開や議事録の公
開を自ら決めなければ、情報公開法では、発言者名がわかる情報は「個人
情報」として非公開とされるということです。
私的諮問機関を設けて、民間の意見を反映させて政策形成していくこと
はよいことです。しかし、その結果、政策形成の公開度が下がるようでは
本末転倒です。
情報公開法の欠陥を直すことが必要だと痛感していますが、それがすぐ
には直らないだろうことを考えると、当面は私的諮問機関の情報公開には
注意が必要です。
<プロフィール>
特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス室長、特定非営利活動法
人市民活動支援・東京ランポ(Local Action NPO)理事、長野県情報公
開・個人情報保護審査会委員、東京都国立市情報公開・個人情報運営審議
会委員。共著に『岩波講座 自治体の構想5 自治』、『情報公開活用実践
マニュアル』など。「情報公開」(『月刊自治研』92年5月号より)、「実
況中継 情報公開」(『CAUSA』2002年1月より)連載中。
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2.《お知らせ》
●「新潮45」5月号(新潮社)
権力の道化師 「猪瀬直樹の『悲劇』」櫻井よしこ

2月号から道路公団改革の政府案の決定プロセスを克明にレポートして
きたジャーナリストの櫻井よしこさん。これまで、ジャーナリストとして
のその姿勢を様々な角度から批判してきた猪瀬氏を「権力に擦り寄りつつ
改革派を装い、同時に勝ち組につく」と断罪し、その「使い手」たる小泉
首相とともに「退場」を促しています。
改悪に他ならない政府案を出した「失敗」の責任は誰がとるべきか。シ
リーズ「完結扁」です、ぜひ、ご覧下さい。
●構想日本ではこのほど、インターネットによる募金システム
「募金やドットコム」 http://www.bokinya.com/ に加盟しました。
ヘッダーにある【団体名で募金さがし】をクッリクし、カ行の欄で
構想日本をご覧下さい。
ご自身はもとよりお知り合いの方々にもお声をかけて頂き、
ご協力をよろしくお願 い申し上げます。
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3.《J.I. Action Summary》
■構想日本の4月の主な活動状況■
(1)年金制度改革
●制度見直しの確約を年金法案の「附則」に盛り込むための「共同アピー
ル」
(4/1@厚生労働省記者クラブ、
http://www.kosonippon.org/doc/?no=207 )
・「年金の空洞化」、「世代間/世代内の不公平感」などの問題について
平成17年中に検討する旨の「附則」
(2)国と地方(三位一体改革)
●地域の自律を奪っている「国のコントロール(基準や規制)」を解消す
るための制度改正について、自治体の首長や職員と検討
・ちなみに、全国知事会は滋賀県の國松知事(構想日本と16県知事からな
る「国と地方の税制を考える会」メンバー)を座長に、「国の過剰関与等
撤廃研究会」を発足(12都府県が参加)
(3)特殊法人改革(道路公団)
●衆議員国土交通委員会で意見陳述(4/13)
・道路公団改革の問題の本質、民営化の意義、政府案の問題点など。
http://www.kosonippon.org/doc/?no=209
(4)公益法人制度改革
●「非営利活動法人制度」の抜本的な改革に向けたキャンペーン
・4/14:第12回info-netニュース(有識者会議が3/31に公表した「中間整
理」のポイント) http://www.kosonippon.org/doc/?no=208
(5)公教育制度改革
●「(公立)義務教育の制度改革」の提言のまとめ(5月中旬公表予定)
・「現場(学校、地域、市町村など)」の創意工夫が活かせ仕組み
(6)医療制度改革
●「医療の質」を高めるための制度改革案を作成中
・医療事故発生のメカニズム解明を切り口に検討

上記のほか、「政治改革(公職選挙法改正など)」、「中小企業金融政
策」などの政策プロジェクトが進行中。
詳しくは、 http://www.kosonippon.org まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)
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4.《第83回「JIフォーラム」のご案内》
なぜ「食べもの」が危なくなったのか?
-牛、鶏、野菜・・ ・大量生産・消費と地産地消-
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いまの日本人は食生活に関しては、世界一贅沢と言えるでしょう。世界中
の食料が手に入り、世界中の料理が味わえる。そして捨てられる食べもの
も世界一。
一方、鳥インフルエンザ、BSE、その他、農薬、添加物、遺伝子組替
え食品など、食べものを通した危険が私たちにせまっています。大量生産
が可能にしたぜいたくと危険が隣り合わせにあるのです。
そこで、『地産地消』をキーワードに、食べものについて、また農業の
あり方などについて現場を踏まえた議論をして頂きます。
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日 時  : 平成16年5月25日(火)
会 場   : 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者  : 川瀬 滋子(鳥取県地産地消推進室室長) ご依頼中
古野 隆雄(全国合鴨水稲会世話人)
山下 惣一(農民作家)

コーディネーター : 徳永 光俊 (大阪経済大学日本経済史研究所所長)

主 催   : 構想日本
定 員  : 160名
参加費  : 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが5月24日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)

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