【No.22】年金制度を考える・その1 現状どれくらい知ってますか?
2001.11.22

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年金制度を考える・その1 現状どれくらい知ってますか?
JIニュースNo.22  2001.11.22
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■■ 目次 ■■
1. 政策ラウンジ
2. メールBOX【読者の皆さんから】
3. お知らせ
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◆◆政策ラウンジ◆◆
年金制度を考える・その1――現状どれくらい知ってますか?――
ゆれ動く年金制度をめぐって、専門家や学者が、様々なシミュ
レーションを駆使して問題提起を行っています。現行制度は、
基本的に人口も経済も“右肩上がり”を前提としているシステムです。
高度成長期には問題ありませんでした。しかし、現代のように人口、
経済ともに成長が止まっている日本において、十分に機能していける
のか? この素朴な疑問から、この議論を始めたいと思います。
実際に公的年金制度は深刻な財政問題を抱えています。
厚生省の試算では、公的年金につき国民が負担する債務は、確定給付
ベースで「800兆円」となっています。60兆円程度といわれる不良債権
問題とはケタ違いの額です。
公的年金制度が財政問題を抱えるに至った原因は、どこにあるので
しょうか。現行制度の問題を要約すると次のようになります。
(1) 年金給付の総枠の中で給付額を調整する仕組みがなく、少子高齢
化等にともなって増えていく負担を先延ばしに。その結果コントロール
できないほど財政規模が肥大化。
(2) 高い利子率と人口増を前提に、年金給付額を設定。その後の経済
環境の変化(利子率・人口成長率の低下)によって財政が悪化する
仕組みになっていた。
現行制度そのものに、現在の深刻な財政問題をもたらす原因があった
といえます。
もっとも、こうした事態がすぐに制度の崩壊を招くわけではありま
せん。問題は、国が国民に対して実態をきちんと説明しないため、
国民の不安が募り、消費や投資行動など実態面にも影響が及んでいる
ことです。
どのような年金制度の下で老後を迎えるのが、一番いいのでしょうか。
これから生まれて来る世代に負担を負わせてまで、世代間の助け合い
を維持すべきなのでしょうか。
年金制度をめぐる問題は、国と国民一人一人が考えなけば解決
できません。今後このシリーズでは、年金制度の問題点と改革の
アイデア、諸外国の事例などを紹介していきます。皆さんとともに
議論していけたらと思います。
(JI政策スタッフ・大内発)
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●●メールBOX●●
【読者の皆さんの投稿を紹介するコーナーです。JI政策スタッフ
からも返信していきますので、ご意見・ご質問を気軽にお寄せ下さい。】
はじめまして、JI政策スタッフの山谷真名です。年金改革について
は上記のような抜本的な改革が必要ですが、前回その改革の出発点
として「第3号被保険者制度の廃止」を提案しました。嬉しいことに
読者の方からご意見いただきました。どうもありがとうございます。
▼長年勤務していた女性の年金受給者Oさん
「今は子供が独立しており私が子供の扶養家族だけれど・・・
受け取る年金の額を聞いて更に愕然としてます。専業主婦しか
したことのない未亡人になった友人より低額。専業主婦や地方
在住の日本人は 都会に住んで働く勤労主婦よりあきらかに
優遇されていますよ」
▼大学院で学位取得をめざしている専業主婦のSさん
「個人単位の世の中になるのは賛成です。でも、育児中の人に
だけ育児手当をあつくするのは疑問です。子供がいても働いて
いる女性はいるし、子供がいなくても、よりよい就職のために
学校に通って自分をみがいている人もいます」
現在は、厚生年金加入の夫が死亡すると、扶養されていた妻は
亡夫の厚生年金(報酬比例部分)の4分の3の遺族年金を受給
できる制度になっているからです。遺族年金も「サラリーマン
+専業主婦」世帯を前提とした制度ですが、その廃止は妻の
年金額が夫に比べて非常に低い現状を変えてからでないと
できないと思います。
ご意見のように、多様な生き方を選択できるようにするべき
だと思っています。児童手当など、子どものいる世帯に対する
補助については、働いているか働いていないかに関係のない
制度にするべきだと思います。
「第3号被保険者制度」については、認知度が低く、サラリー
マンやその配偶者の方の中には、配偶者の保険料もプラスして
支払っていると思っている方も多いです。また女性が育児や
介護を担うことが多いという現状を前提にして、現在の制度
を肯定する意見もあります。
ちなみに厚生労働相の諮問機関「女性の年金検討会」は16日に
報告書案をまとめました。専業主婦の保険料を免除している
第三号保険者制度は現状維持。年収基準だけを130万円から
65万円に引き下げる案になりました。
私たちは
(1)個人の多様な選択を可能とする視点、
(2)経済合理性の視点から、公平なシステムとは何か
を考えています。例えば、
・子どもを持つことを選択しにくくならないように、「社会に
対する貢献」という視点から、子どものいる世帯には補助を
するべき。
・現在の年金制度では、サラリーマンの配偶者は、収入が
130万円を超えると保険料を支払う必要が生じるため、世帯
収入が低くなってしまう。そのため、高い付加価値を生む仕事
への対価として高い時給を受け取るよりも、低い時給で働き
年収を130万円未満におさえる方が有利になってしまう。
こうした制度は改正すべき。
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■■お知らせ■■
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『環境教育を学校から家庭、家庭から地域へ-川口青年会議所の
取組み-』をアップしました。
「学校から家庭、家庭から地域へ」を合言葉に、川口青年会議所の
メンバーがコーディネーターとなって、川口の環境教育を広げている
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