【No.262】職人リレーエッセー(2) 錫(すず)のうつわのもつ美
2006.08.18

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JIメールニュースNo.262  2006.8.18発行
職人リレーエッセー(2) 錫(すず)のうつわのもつ美
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【職人リレーエッセー(2) 錫(すず)のうつわのもつ美】
2.【第109回「J.I. フォーラム」のご案内】
※好評の「ポリ吉ブログ」もご覧ください。 http://blog.kosonippon.org/
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1.【職人リレーエッセー(2) 錫(すず)のうつわのもつ美】
清課堂 山中純平
江戸後期より、錫(すず)を代々得意とし、金属工芸工房を営んでいます。
私はこの工房の七代目にあたります。
日々の仕事は、酒の器の製作が大きな割合を占めています。錫は銀色の
見た目が綺麗で香りがよく、腐食に強いので、食器・酒器には非常に適し
た素材です。今、料理界でもっとも注目されているのが、錫製の酒器です。
工房は常に回転し、製作に追われています。
仕事も時代に伴い、大きく移り変りました。創業当時から変わらず作り続け
ているものは、神具。これは製法も形状もあまりかわらず、脈々と続けてい
ます。用途として廃れてしまったものには、茶道具、置物などもあります。
私共の姿勢は永く生きること。この神具は、日本で二つの工房のみが作っ
ています。二つともここ京都にあり、うち一つの工房では、作れる職人が高
齢で後継者もありません。細々とした需要ですが、私が手を止めれば日本
中のお社が困ることになります。
販売において苦労することは、金属器文化そのものが消失してしまってい
ることです。たとえば、「錆びるのでは?」「体に悪いのでは?」など、誤った
観念を払拭することに苦慮します。戦時の供出により、銀、銅、錫などが生
活の場から消えてしまい、それらを畏れる方が増えました。新しいものを良
とする西洋文化が入り、経年変化に美を見出す寂びの美意識も低下してし
まいました。錫器のもつ最大の美しさは、使い込むうちにつく傷たちでもあり
ます。
「清課堂」という名称は当工房の歴史の中ではまだ浅く、近年は金属工芸
の専門店としての認知度、品位を高めることに尽力してまいりました。情報
を常に公開し続けるとともに、希少性や高いデザイン性を常に追求していま
す。今後の目標は、海外、主に欧米への販売を強化していきたいと思って
います。日本人が固有の美意識を忘れる中、欧米では逆に日本の伝統的
美意識に興味が注がれている気がしてなりません。私たちもお客様と一緒
に、工芸品を楽しむ心を大切にしていきたいと思います。

*山中 純平(やまなか じゅんぺい)氏のプロフィール
1969年京都市生まれ。大学では情報工学を学ぶ。家業の後継難で大学を
中退し、父六代目に師事。それまでの分業を脱却し、デザイン・生産から流
通にいたるまで、全て自工房で行う。現在、若手金属アーティストの育成・
支援活動にも努める。
清課堂のホームページ : http://seikado.jp/
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2.【第109回「J.I. フォーラム」のご案内】
古武術とクオリア
丁々発止の切り結び
私たちは歩くことすら「現代の常識」にとらわれすぎているのかもしれませ
ん。最近、スポーツ、音楽、介護など様々な分野で注目されている、日本
古来の身体の動かし方を体系化している甲野善紀さん。
一方、「クオリア」をキーワードに、脳と心について次々に大胆な発言をして
いる茂木健一郎さん。
当代一流の武術家と脳科学者に体と心を通じた人間論をくり広げていただ
きます。あなたの人間力が一気にアップするかもしれませんよ。
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日 時 : 平成18年8月28日(月)
(→日程が変更となりました。ご注意ください。)
会 場 : 日本財団ビル2階・大会議室港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演 : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
ゲスト : 甲野善紀(武術家)
茂木健一郎(脳科学者)
主 催 : 構想日本
定 員 : 160名
フォーラム参加費 : 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   : 4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、8月27日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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