【No.27】土地の「狂牛病化」を防ぎ、有効活用を進めるには?
2001.12.20

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土地の「狂牛病化」を防ぎ、有効活用を進めるには?
JIニュースNo.27  2001.12.20
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■■ 目次 ■■
1.【政策ラウンジ】土地の「狂牛病化」を防ぎ有効活用を進めるには?
2.【フォーラム速報】ENJIN 01(エンジン・ゼロワン)大放談会
3.【JIスタッフより】一人一人が公益を担うということ(JI冨永)
4.【お知らせ】   「政策メッセ2001」盛況のうちに閉幕!!
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◆政策ラウンジ◆
汚染土壌の拡散防止は「都市再生」に不可欠!
構想日本 地質保全研究会
“あの狂牛病と似た現象が、
私たちの暮らしの基盤である土地にも起こっているとしたら?”
●汚染された土地の処理をめぐって、
環境省が来年2月の法案提出を見込んで新しい法制度を検討中です。
これは有害物質を取り扱ったことのある事業所や工場跡地など、汚染
された可能性のある土地から住民の健康被害が出ないようにするととも
に、これらの土地を有効利用する仕組みを探るものです。
この土壌汚染問題は、小泉内閣の重要政策である「都市再生」とも関
わりがあります。臨海部などにある工場跡地等を高層マンションなどへ
と利用転換する場合に避けられない問題だからです。
かつては特に問題とされずに使われていた物質が、科学的に有害物資
であることがのちに判明することがあります。それらの物質を使用して
いた工場跡地などは、汚染土壌を含んでいる、と予想しなければなりま
せん。現在マンション建設の際になされる土地調査で汚染土壌が含まれ
ると判明しても、それ自体は驚くことではないのです。
●問題は、
この汚染土壌を適切に管理しなければならない、ということです。
建設等に伴い掘削された汚染土壌が農地や水源に運び出されれば、汚
染は一気に拡散します。視覚的に「汚染された土壌」と「汚染されてい
ない土壌」とを判別することは非常に困難です。しかも、このなかから
「汚染された土壌」を取り除くことも極めて困難です。
汚染された土地をその用途に応じて厳正適切に管理するため、汚染の
可能性のある土地を調査し、これらの情報を開示する必要があります。
そうすることで「敷地がたとえ汚染されていても、マンションなどを
建設し、安全に利用できる」ということを、住民や関係者は納得できま
す。根拠のない不安を防ぎ、土地の有効活用が可能になるのです。
●しかし環境省案では、汚染の可能性があっても規制対象とはならない
部分が生じます。調査対象を工場跡地等からマンションへと用途変更す
る場合や工場自体を廃止する場合に限っている他、情報面では浄化措置
を行なった土地の汚染履歴を抹消するなど利害関係者への配慮を欠いて
いるからです。
これでは今までの「無法状態」よりもかえって悪い状態を引き起こし
かねません。新法により生じた無法状態を利用して汚染土壌を合法的に
搬出・拡散させてしまうおそれもあります。
汚染土壌の場合、いったん汚染が拡散し被害が広まってしまっては、
その病原を探しあて、根幹を絶つことは極めて困難です。
土地の「狂牛病化」をもたらさないよう、今後の動きを注視しなけれ
ばなりません。                 (文責:JI長尾)
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●JIフォーラム速報●
ENJIN 01(エンジン・ゼロワン)大放談会
日本の文化育成のために立ち上がった「ENJIN 01文化戦略会議」。
12月17日のJIフォーラムでは、そのメンバーを迎え、ビール片手に会
場の方々と語って頂きました。
●ゲスト
三枝 成彰 (作曲家、ENJIN01幹事長)
秋尾 沙戸子(ノンフィクション作家、ニュースキャスター)
浅葉 克己 (アートディレクター)
石川 好  (作家、秋田公立美術工芸短大学長)
眞木 準  (コピーライター)
●「ENJIN 01文化戦略会議」ってナニ?
三枝「広い意味での新しい文化を築き上げようと総勢150名余の人々が
参加してできたネットワーク組織。口先ばかりの“文化人”ではなく、
アクションを起こすつもり。明治以来、国のことに民が口を出して成
功したためしはないが、何とか突破したい」
【三枝成彰公式ホームページ http://www.saegusa-s.co.jp/ 】
●「ENJIN 01」のネーミングの由来は?
眞木(命名者)「“ENJIN”は、縁で知り合った人々がネットワークを
つくり(円人)、スクラムを組んで(円陣)世の中を動かす推進力
(エンジン)となろう、という意味。
“01ゼロワン”は、スタートが2001年だし、0か1の選択が迫られる今
の時代にあらゆることに白か黒の結論を出そう、ということで決めた」
●メンバーの“想い”は?
秋尾「日本のメディアを変えようと思って参加した。大きなメディアで
あればあるほど、その中で自分の考えを発信することには限界がある。
他方、知識人の“社会を変える力”は大きい。インドネシアや東欧の民
主化に力を貸したのは知識人の地道な活動だった。そんな思いが背景」
浅葉「今まで、北極圏人会(三枝氏、三宅一生氏ほか)などいろいろな
会をつくった。日頃メンバーが研究していることを自由に発表・議論で
きるような、それぞれが動きやすい団体にしたい」
【生きている象形文字What’sTOMPA
http://www.asaba-tompa.com/index.html 】
石川「私が学長を務める大学のある秋田では、全予算に占める教育関連
費は微々たるもの。教育にカネをかけないところに未来はない。さまざ
まな教育事例を研究したのち、来年4月には問題提起をし、地域をまわ
って議論したい。現場の教壇に立つ計画もある」
三枝「米国の映画産業が、売上ベースで自動車産業を抜き、航空機産業
をも抜こうとするほど成長しているのはなぜか? それは、レーガンの
時代に採られた税制改正~個人が所得税の半分を自由に諸団体に寄付で
きる~の影響が大きい。せめて日本でも所得税の10%くらいは寄付に回
せるようにしたい。」
●「文化税制の導入に向けて、その恩恵にあずかるスポーツ選手や科学
者を500万人くらい集めて圧力団体として組織することを考えている」
と三枝氏。文化税制、教育問題、まち興しの3つを柱とするENJIN 01文
化戦略会議は、2002年本格的に始動します。
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●JIスタッフより
一人一人が公益を担うということ――         JI冨永発
「邦楽の番組が放映されなくなったのは、国民が聞かなくなったから」
というJIフォーラムでの三枝さんのコメントに、文化も含めた公の利益
を支える意識の大切さを感じました。
“公の利益”とは何か? 国ではなく、国民一人一人がその中身を決め
促進できる仕組みをJIは主張してきました。そのためには“所得税の10
%は寄付に回す”文化税制の充実に加え、教育や地域コミュニティの活
動を通じて“私たち一人ひとりが、個益を超えた世の中全体の利益=公
益を担う”という意識を高める必要があると感じました。
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■お知らせ■
「政策メッセ2001」盛況のうちに閉幕!!
3日間にわたった「政策メッセ2001」が17日閉幕しました。主催は政
策分析ネットワーク http://www.policynet.gr.jp/ 場所は法政大学市
ヶ谷キャンパスのボアソナード・タワー。シンクタンク研究員、自治体
職員、企業の管理職、政策秘書、学生など数百名に上る多彩な顔ぶれが
参加。晴れ渡った青空のなか遠方に富士山を見渡しながら、熱い議論が
繰り広げられました。
JIは3つのワークショップで政策を発表しました。
1) 21世紀にどのような社会が望ましいか
-日本の雇用システムから考える-
2) シナリオ・プラニングによる日本のエネルギー政策の提言
3) 公益は誰が担うのか
雇用不安と失業が募るなか今後の雇用システムをめぐっては、
「単に雇用の維持・創出を狙ったワークシェアリング導入は、非効率な
労働力分配をもたらし企業の衰退を招く可能性があるのでは?」
環境の変化に適合したエネルギー政策には何が必要かという議題では、
「ぜひ原子力の使用済み燃料処理についてオープンに議論する場を作
って欲しい」
などなど参加した方々との活発なディスカッションが行われました。
雇用問題とエネルギー政策については、来年初めにも最終報告書をリ
リースする予定です。
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