【No.270】知っていますか?科学技術に投入される巨額予算:「競争的研究資金」
2006.10.13

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JIメールニュースNo.270  2006.10.13発行
知っていますか? 科学技術に投入される巨額予算:「競争的研究資金」
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【知っていますか? 科学技術に投入される巨額予算:「競争的研究資金」】
2.【第111回「J.I. フォーラム」のご案内】
*構想日本ホームページで「ワンクリックアンケート」開催中。
「Q:日朝平壌宣言はどうする?」にお答えください。
〔アンケート期間:2006/10/11(水) ~2006/10/22(日)〕
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https://www.kosonippon.org/wp-manager/enquete/index.php?m_enquete_cd=31
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1.【知っていますか? 科学技術に投入される巨額予算:「競争的研究資金」】
構想日本 政策スタッフ
青木 秀晃
科学研究費補助金(科研費)、21世紀COEプログラム、科学技術振興調整
費──。これらは、国の科学技術予算のうち、「競争的研究資金」と呼ばれる
補助金等の名称だ。平成18年度の国の科学技術予算3.6兆円のうち、原
子力・宇宙開発など政府自らが実施する事業や、国立大学運営費・私学助成
金などを除いた「4,700億円」が競争的研究資金である。
この巨額の資金がどのように使われているか、ご存知だろうか。
たとえば、早稲田大学で発生した「科学技術振興調整費」の不正使用や、大
阪大学でのデータ捏造不祥事による「科研費」の支給停止が記憶に新しいが、
どちらも国の競争的研究資金の配分先である研究者に問題があった事例だ。
競争的研究資金は、広く研究者から研究提案を公募し、審査を経て採択され
た提案に支給される補助金や委託費で、国の一般歳出がほぼ横ばいの最近
5年間で44%の高い伸びを示している。全府省合せて46種類の競争的研究
資金が存在するが、最大は文部科学省の所管する「科研費」で、その規模は
1,830億円と全体の約40%を占める。
これらの資金は過去にノーベル賞の対象を含む画期的な研究を育んだ一方で、
前述のように適切でない研究者に資金が渡ってしまう事例も多い。多くの研究
者から、「科学技術立国」の旗印の下で今や科学技術予算が公共事業化して
いるとの指摘を聞く。さらに、提案審査のあり方や制度の運用面についても批
判が多い。たとえば、次のようなものがある。
・合否の結果のみが通知され、提案がどのように評価されたかが分からない
ため次回の提案の参考にできない。
・一旦名声を確立した研究者の応募提案が採択されやすい。
・採択された研究への事後評価の高低が次の応募時の審査に反映されない
ため、優れた業績を上げても次年度以降安定的に続けられるとは限らず、
逆に資金を無駄にしたような研究者でも知らぬ顔でまた申請できてしまう。
・人種という概念を脳科学・認知心理学・社会学など既存の学問分野を横断
して研究したいのに、応募提案は狭い範囲の専門家によって審査される。
・採択された研究のために助手を雇用したいが、支給される資金の使途に制
限があるため難しい。
──など
この他、競争的研究資金よりもはるかに多額の科学技術予算が、公募・審査
の手続を経ずに行政庁の施策に基づいて特定の相手先に支出されていること
を問題とする意見もある。
構想日本ではこのような科学技術予算と競争的研究資金の現状や問題点を
整理し、可能なら「事業仕分け」の手法の応用なども実施して、必要な提言を
していきたいと考えている。
*青木 秀晃(あおき ひであき) : 2006年6月より、構想日本で勤務。
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2.【第111回「J.I. フォーラム」のご案内】
医療崩壊を考える
─ 患者もマスコミも一緒に考えよう ─
医療事故の多発など日本の病院や医療制度に対する不信が募っています。
一方、病院や医師も今大変なのです。例えば、地方の公立病院では必要な
医師の確保ができなくなり、救急患者の受入れを中止したり、治療科目の削
減に迫られているのです。
原因は、勤務医の労働条件が厳しくなる一方で、すべての患者は救われるべ
きといった過剰な期待や、期待通りにいかなかった場合の訴訟の急増などで
す。今回のゲスト、小松秀樹さんの著書名でもある『医療崩壊』の原因は大学
や病院だけでなく私たちの中にもありそうです。今医療現場に何が起こってい
るか、小松さんと、医療問題を丹念に取材してこられた前村聡さんにお話しい
ただきます。
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★★今回は「開演時間」が変わっておりますのでご注意ください。★★
日 時  : 平成18年10月25日(水)
会 場  : 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演  : 午後6時45分(開場:午後6時15分)
ゲスト  : 小松 秀樹(虎の門病院 泌尿器科部長)
前村 聡(日本経済新聞社)
主 催  : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、10月24日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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