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【No.272】国際機関から見た日本

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JIメールニュースNo.272  2006.10.27発行
国際機関から見た日本
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【国際機関から見た日本】
*構想日本ホームページで「ワンクリックアンケート」開催中。
「Q:教育基本法の改正は必要ですか?」にお答えください。
〔アンケート期間:2006/10/25(水) ~2006/11/12(日)〕
↓     ↓     ↓
http://www.kosonippon.org/enquete/index.php?m_enquete_cd=32
*前回の「ワンクリックアンケート」の投票結果が出ました。
質問は「Q:日朝平壌宣言はどうする?」です。
↓     ↓     ↓
http://www.kosonippon.org/enquete/result.php?m_enquete_cd=31
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1.【国際機関から見た日本】
世界銀行研究所シニアアドヴァイザー
柴 田  勉
私の国際機関勤務も、世界銀行とジュネーヴの国連をあわせて12年半となり
ました。その経験を通じ、これらの国際機関では日本人の存在感が希薄であ
るという事実について、2つの問題点を指摘したいと思います。
1つめは英語力の問題です。
以心伝心などという言葉は日本人以外には理解困難で、達意の表現がコミュ
ニケーションの前提というのは国際社会の常識です。日本人には母国語にな
い発音や言語構造のハンディがあるわけですから、努力の必要性の度合いは
高くなります。たしかに、帰国子女や留学生の増加で日本社会も変わりつつあ
るかもしれませんが、まだまだ多岐にわたる改革が必要でしょう。
この点に関し、数年前、朝日新聞の船橋洋一さんの書かれた『あえて英語公
用語論』が議論を呼びました。反論も多くありましたが、そうした反論はあまり
説得的ではなかった印象があります。もし反論が、国民の大半には英語は必
要ないということであれば、これは機会の平等に反していますし、もし高度の
英語力は一部の人だけでいいと割り切るなら、そのために特別の進路を公的
教育で確保し強化するということを認めなければならないでしょう。島国で世界
の動きから取り残されやすい日本にとっては、単なる翻訳文化を超えて世界と
交流するために英語力の強化は必要不可欠です。
2つめは日本社会で育つ人材の競争力の限界という問題です。
この背景には「日本社会の人事制度」と「学校教育」の両方に問題があると思
います。
人事制度についていえば、実力主義・成果主義の導入を名実ともに、幹部自身
も含めて、きちんと行なうことが必要です。若い人が権限を与えられなかったり、
幹部候補がリスクの少ないポストを重ねていたら実力はつかないでしょう。人事
制度による適切なインセンティブの欠如は、日本人の国際競争力のなさにも反
映していると思います。
もちろん企業で収益に貢献する能力とは少し違うかもしれませんが、国際機関
で望まれる資質で、日本人に意識的に努力が必要だと私が実感していることは、
以下の点です。
自分で考え抜いた意見を持ちかつ発表すること、優れた人とよく会い議論するこ
と、良書を批判的に読むこと、リスクを計算した上で積極的にそれをとること、仕
事を部下にまる投げしないこと、さらに人間への暖かい心を持つことです。
学校教育についても、改善すべきことは多々あります。
典型例は、私自身も日本の大学での講演で経験したのですが、再三「いつでも
質問してください」と言ったにもかかわらず、学生から何の質問もないこと、ある
いは講演後に個別に質問にくることです。これらは、40年前ほどの私の学生時
代となんら変わりない状況で、知識を他の学生と共有するという意識のないこと
には失望します。知人の学者は「学生の心に火をつけられない学者が問題だ」
と指摘していました。そうだとすれば、問題ある学者のすみやかな交代を期待す
るほかありません。いずれにしても、なんとか大学教育が、学生・教員の質を高
める方向に働いて欲しいものです。
国際機関における日本人の存在感を高めることは、日本の政治力、外交力の
強化につながります。そのためにも、これらの課題が出来るだけ短期で解消す
ることを願っています。
* 柴田 勉(しばた つとむ)氏のプロフィール
1947年生まれ。日本開発銀行に長く勤務しその間、海外経済協力基金、世銀
東アジアプロジェクト局、国連アフガニスタン援助調整官オフィスなどに出向。
現在は、世界銀行研究所シニアアドヴァイザー。
共著に『Japan: Moving Toward More Advanced Knowledge Economy』 (世銀)
などがある。
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