【No.277】教育基本法案の本当の大問題 ─ 7条分の増加(全11条→全18条)の中に何が隠されているか ─
2006.12.01

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JIメールニュースNo.277  2006.12.1発行
教育基本法案の本当の大問題
─ 7条分の増加(全11条→全18条)の中に何が隠されているか ─
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【教育基本法案の本当の大問題
─ 7条分の増加(全11条→全18条)の中に何が隠されているか ─】
2.【J.I.Action Summary】
*構想日本ホームページで「ワンクリックアンケート」開催中。
「Q:首長の多選禁止 法律?条例?それとも有権者が判断?」に
お答えください。
〔アンケート期間:2006/11/24(金) ~2006/12/3(日)〕
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https://www.kosonippon.org/wp-manager/enquete/index.php?m_enquete_cd=35
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1.【教育基本法案の本当の大問題
─ 7条分の増加(全11条→全18条)の中に何が隠されているか ─】
構想日本 代表 加藤 秀樹
みなさん、教育基本法を実際にお読みになったことがありますか。
現在の教育基本法は全11条という短い法律で、教育の目的、機会均等、義
務教育、男女共学、学校教育などについての基本的な理念を定めたものです。
現在、政府の改正案に対して国会やマスコミでもっぱら議論になっているのが、
「愛国心」です。しかし、実は「敵は本能寺」なのです。マスメディアは話題にな
ることしか取り上げませんが、私は今回の改正の本当の問題は教育に対する
文部科学省のコントロールの強化と一層の中央集権化にあると思っています。
改正法案には「生涯学習」「家庭教育」「幼児期の教育」「教育振興基本計画」
などの新しい条項が追加され、全18条へと7条分増えていて、その中に大問
題が隠されています。
最大の問題は「教育振興基本計画(第17条)」です。問題点は大きく2つありま
す。
まず1点目は、「文部科学省のコントロール強化」が進むことです。これが、「小
さな政府」をめざす流れに真っ向から逆行するのは明らかです。一旦法律がで
きるとその運用は文部科学省の手に委ねられてしまい、その手の中でどんどん
膨らみ、私たちの生活の隅々にまで入ってきます。(文末の〔注1〕参照)
さらに、新設される「家庭教育」「幼児期の教育」などの条項とあいまって、生涯
をとおして家庭にまで教育行政が介してくる恐れがあります。
2点目は、「地方分権」の流れに逆行していることです。第17条の第2項は、地
方公共団体は国に従う旨を指示しています。(文末の〔注2〕参照)
地方分権と小さな政府は、政府・与党が進めてきた政策です。それらの実現が
国民のほぼ総意になっている時に、政府が基本計画を策定し、家庭教育にまで
口をはさむべきなのでしょうか?
要するに、教育への文部科学省の関与が増大し、一層の中央集権化が進む恐
れが大いにあるということです。法案の中には政治家や官僚の思惑が盛り込ま
れ、きちんとした議論を経ないまま法律となってしまうことが多いのです。
教育基本法改正が将来に禍根を残すことがないよう、参議院での審議の中でき
ちんとした議論が行われるよう私たちも声を出していきましょう。
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(注1) 教育基本法改正案 第17条
「政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教
育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要
な事項について、基本的な計画を定め・・・」
(注2) 教育基本法改正案 第17条第2項
「地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共
団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう・・・」
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【ご参考】
●緊急提言:教育基本法案の本当の大問題
─7条分の増加(全11条→全18条)の中に何が隠されているか─
https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/detail.php?m_project_cd=474&m_category_cd=19
→ 教育振興基本計画の問題点をわかりやすくまとめています。
●教育基本法に関するアンケート「教育基本法の改正は必要ですか?」(10/25
~11/12)
https://www.kosonippon.org/wp-manager/enquete/result.php?m_enquete_cd=32
→ やはり、意見が割れています。
●教育に関しての過去の国会議員アンケート「国庫補助負担金などに関する改
革案について」
http://db.kosonippon.org/question/data.php?id=25#cts
→ 三位一体改革の中で義務教育国庫負担金の移譲に関する議論は、国と
地方の間で大きな隔たりがありました。
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2.【J.I.Action Summary】
■構想日本の11月の主な活動■

1.教育行政改革
【緊急提言】教育基本法改正案の本当の大問題
●「教育振興基本計画」(改正案第17条)が問題
・文部科学省のコントロール強化、地方分権の流れに逆行
https://www.kosonippon.org/wp-manager/temp/061128teigen.pdf

2.事業仕分け
(1)自治体の作業
・滋賀県高島市で第2回目を実施(11/11)
https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/detail.php?m_project_cd=467&m_category_cd=16
(2)講演
・奈良県町村会(11/7)、桜有交会(11/10)、等

★「事業仕分け」、いよいよ本になります!(来年早々刊行予定)
・さまざま寄せられる、みなさんからのご質問にお答えする一冊です(ぎょうせい刊)。

(文責:政策担当ディレクター 冨永)
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