【No.299】各地域で道州の夢を描こう |構想日本政策・運営委員  上山 信一氏|
2007.05.11

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JIメールニュースNo.299  2007.5.11発行
各地域で道州の夢を描こう
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【各地域で道州の夢を描こう】
2.【第118回「J.I. フォーラム」のご案内】
3.【「事業仕分け」に関する専門講座のお知らせ】
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1.【各地域で道州の夢を描こう】

慶應義塾大学総合政策学部教授
構想日本政策・運営委員  上山 信一

最近の筆者の持論は「関西=EU(欧州連合)説」である。経済の中心大阪はドイツだ。文化の町京都はフランス。海洋都市の神戸はイギリス。和歌山(紀伊半島)はスペイン(イベリア半島)。三重はイタリア、伊勢はバチカンだ。

商才にたけた滋賀(近江)はベルギー。山がちの奈良はスイス。琵琶湖の向こうの福井は勤勉で女性の社会参加が多い。これはスカンジナビアだ。かくして関西は個性豊かな国々が集まるEUに似ている。
だが個性豊かだからこそ、まとまらない。関西への道州制の導入は無理だという人もいる。

EUの場合、東西ドイツの統合を機に統合が一気に進んだ。実は似た現象が大阪で起きている。「まるでソ連」とまでいわれた大阪市役所で職員厚遇問題を機に情報公開(グラスノスチ)と大改革(ペレストロイカ)が始まった。地下鉄の民営化も間近い。その勢いで水道事業の統合など大阪府との協議も始まった。これは東西ドイツの宥和(ゆうわ)にあたる現象ではないか。

次の課題は大阪・京都の「二府宥和」だ。これは独仏宥和に相当する。両者は何事につけ争ってきたが宥和しなければ共倒れになる。米国一極集中(東京一極集中)が嫌なら独仏が手を結ぶしかないのだ。

道州の形成は経済性や合理性だけでは進まない。関西の場合、「アンチ東
京」の旗印のもとならば統合できる。その試金石が京都・大阪の二府宥和なのである。

さて「関西道州政府」で何をやるか。例えば歴史と豊かな食文化を生かした観光・集客戦略。あるいは琵琶湖から淀川、大阪湾に至る環境政策。さらに中京圏に後れを取る高速道路網の整備、代替首都機能の整備などだ。個別プロジェクトもいくつか手がける。例えば宮内庁傘下にある奈良の正倉院。これを関西道が譲り受けて管理する。
道都はどこにするのか。大阪・京都・神戸の3都以外、例えば大津はどうか。
ちなみにEU本部もブリュッセルにある。

道州制の議論は行政機関の権限や業務の振り分け論に終始しがちだ。だ
が道州制の目的は行政改革ではない。各地域が個性を主張し、経済・文化
面で再生するための「地域独立運動」のはずだ。明るい夢を描く議論を各地で展開すべきだ。今回の私の関西道の物語はまだ思いつきの域を越えない。
だが郷里の大阪でこの話をすると誰しもが目を輝かせる。全国各地で子供
たちも参加する道州制の議論の喚起を提唱したい。

*上山信一(うえやま しんいち)氏のプロフィール
慶應義塾大学総合政策学部教授。1957年大阪市生まれ。京都大学(法)、
米プリンストン大学大学院(公共経営学修士)卒。旧運輸省、マッキンゼー
(共同経営者)、米ジョージタウン大学研究教授を経て現職。専門は企業・行政機関の改革および地域開発。
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2.【第118回「J.I. フォーラム」のご案内】
教科書検定を検証する
~生徒と教育にとって「良い」教科書とは?~
今回も、前回に続いて教育シリーズです。
教育関連3法案など文科省のコントロール強化が続く中で逆に、現場の自由
度と責任を大きくすべきことは多い。その筆頭格が教科書です。検定の実態
はほとんど非公開ですが、実際に検定を経験した人は、まるで昔の「検閲」の
ようだといいます。検定がいかに恣意的か。説明もなく反論できないか。その
結果、教科書がいかにつまらなくなっているか、非科学的になっているか。実
際に『高校生物 I 』を執筆した長谷川さんや高校の先生など数名の方に教科
書検定の問題点を整理していただき、文科省の都合ではなく、生徒と教育に
とって「良い」教科書とは何か、一緒に考えていきたいと思います。
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日 時  : 平成19年5月23日(水)
会 場  : 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時)
ゲスト   : 板山 裕(都立国立高校教諭)
嶋田 正和(東京大学・大学院総合文化研究科
広域システム科学系(生物)教授)
長谷川眞理子(総合研究大学院大学教授)
早崎博之(都立江北高校教諭)
主 催  : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 : 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   : 4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、5月22日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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3.【「事業仕分け」に関する専門講座のお知らせ】
「事業仕分け」について、構想日本のスタッフが「横浜市立大学の専門講座」
でお話します。
日時は、「【第2回】5月18日(金):午後6時半から8時」です。
場所は、「横浜市立大学エクステンションセンター」(横浜ランドマークタワー
13F)です。
詳しくは下記のとおりです。
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《横浜市立大学の専門講座》
行政評価システムの検証
~効果的手法の事例紹介(4回シリーズ)~
自治体における「行政評価」の取り組みが本格化して10年ほどが経ちます
が、この行政評価に関する「評価」は高くはないというのが実感ではないで
しょうか。当初は、さまざまな分析・評価手法の学習と全庁的なシステム構
築を模索してきましたが、近年では個別の部局や事業に的を絞り、効果的
な評価のあり方・手法を客観的に研究し適用する事例も多くなってきていま
す。本講座では、これまでの「手法・システム」優先の取り組みの流れを振
り返るとともに、効果をあげた事例をもとにこれからの行政評価の方向を検
討します。
日 時 : 5月11日(金)より毎週金曜日(全4回)
午後6時半から8時
場 所 : 横浜市立大学エクステンションセンター(TEL 045-224-5650)
〔横浜ランドマークタワー「A」エレベーターで13階〕
※みなとみらい線 みなとみらい駅から 徒歩5分
JR・市営地下鉄 桜木町駅から    徒歩5分
講座内容 :
(1)5月11日(金) 機械的な評価システムから効果的な評価実践と導入
講師 : 南 学(公立大学法人横浜市立大学理事)
★(2)5月18日(金) 「事業仕分け」による「官」の意識変革
講師 : 伊藤 伸(構想日本政策スタッフ)
(3)5月25日(金) 自治体の適用事例にみる効果的行政評価手法
講師 : 田淵雪子(三菱総合研究所主席研究員)
(4)6月1日(金) コスト分析から業務改革へ
講師 : 小島卓也(フューチャー・アーキテクト)
定 員 : 50名
受講料 : 全4回 8,000円
お申込み方法 : 下記のホームページからお申込みいただけます。
https://ycupr.yokohama-cu.ac.jp/webmaker/view_page.asp?page_id=935
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