【No.33】「意識改革」なくして「構造改革」なし ~「地方分権改革」編~
2002.02.08

「意識改革」なくして「構造改革」なし ~「地方分権改革」編~
JIニュースNo.33  2002.2.8
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■■ 目次 ■■
1.《コラム蒼天日本》「意識改革」なくして「構造改革」なし
~「地方分権改革」編 ~
2.《JIニュース》健康ホームページ リニューアル公開しました!
3.《JIスタッフより》
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《コラム蒼天日本》
「意識改革」なくして「構造改革」なし ~「地方分権改革」編~
【JI政策担当ディレクター 冨永朋義】
いきなりですが、クイズです。
次の中で、都道府県(もしくは市区町村)が、独自に決めることが
できるのはどれでしょう?
① 法律に定めのない地方税の新設
② 県道など地方自治体が管理する道路の幅
③ 県立高校の校舎床面積
④ 地方警察職員の数
どれも、皆さんの身のまわりの生活に関わるものです。答えは…
■1■地方の”手かせ””足かせ”となる国の”おせっかい”
国による中味のない”ハコモノ”公共事業に、地方がつきあわされる
(または、つきあう)ことによる問題は、以前より指摘されてきまし
た(例えば、福島市の福島飯坂などにつくられた”農道空港”。農産物
の輸送用だったはずが、利用が少なく、今や”ラジコン競技場”になっ
ているところも。赤字は県や市町が負担)。
加えて、国は、自治体の仕事の細かいところまで決めています。
例えば、国は、以下の数値を決めています。
●県道などの幅:道路構造令-種別により3~3.75m
●県立高校の校舎床面積:高校基準-生徒1人当り10平方m
●地方警察職員の数:警察法施行令で最低基準を明示-私の住む千葉
県では7,852人
(ということで、クイズの答えは①の法定外目的税のみ。)
国の基準により、例えば県道でいえば、必要以上の幅をもった県道
をつくらなければいけないのです。つまり、皆さんの税金がムダに使
われるのです。どれも、地元の生活に密着しているものだけに、地域
の実情をよく知っている自治体が、費用対効果の点も考えてサービス
のあり方を決めるのが適切です。この構造を変えるには、まず国と地
方の役割分担を明らかにすることが必要です。
■2■ 国と地方の役割分担を具体的に明らかにする
小泉内閣は、国と地方の財源のあり方について、本格的に議論をス
タートさせました。地方分権推進会議では、所得税や消費税の一部を
地方にまわす案が出ています。しかし、その前に、国と地方の仕事の
分担を具体的に明らかにしなければ、そもそも財源のあり方を議論す
る意味がありません。今のところ、分権会議では、”地方の事務事業
の執行に対する枠付けの撤廃・緩和が必要”という抽象的な提言にと
どまっています。
構想日本では、「国と地方の税制を考える会」において、自治体の
具体的な業務を、”国がやるべきもの”と”地方がやるべきもの”に振り
分け、もって自治体に必要な財源を試算したいと考えています。そし
て、現在の歳入とのギャップを出し、交付税制度の問題点を踏まえた
提言をする予定です。
■3■役割分担の見直しは、政治の「構造改革」につながる
国と地方の役割分担を見直すことは、すなわち、「国会議員がやる
べきことは何か」そして「知事などの首長や地方議会議員がやるべき
ことは何か」を問うことです。国が地方の仕事の中味を決め、その財
布を握る仕組みは、国会議員が、公共事業や補助金を通して地方に予
算をまわす「仲介人」となる素地をつくってきました。地方からの陳
情攻めに合うのも、政治家の”顔”が”カネ”をもたらすからです。
国会議員は、日本の「国としてのあり方」-安全保障体制、社会保
障制度など-についての抜本的な議論をし、その方向性を「国民」に
示す。首長・地方議員は、「住民」が日々の生活を安全快適に送るう
えで必要なサービスを提供する。それぞれが本来の仕事をするために
は、現在の国と地方の関係のあり方を変えなければいけません。
■4■政治の「構造改革」を仕上げるのは、私たちの「意識改革」
しかし、「制度」の変更は、あくまで「構造改革」の必要条件でし
かありません。国会議員や首長・地方議員に、本来の仕事をしてもら
うためには、私たちの「意識改革」が不可欠です。つまるところ、
この国を動かしているのは「政治家」ではなく、彼らを選んでいる
「私たち一人一人」です。選ぶ側の私たちの考えや意思が、すなわち
選ばれた側の考えや意思に反映されるわけです。
したがって、国会議員を選ぶ時は、私たちは「日本国民」という
意識をもって、だれが日本のリーダーとしてふさわしいかという視点
で選ぶ。首長や地方議員を選ぶ時は、今度は「○○県の住民」の視点
で、自分達の生活を具体的によくしてくれる人を選ぶ。例えばそのよ
うに、選挙に対する私たちの意識を変えることがあって始めて、政治
の「構造改革」が可能となるのではないでしょうか。
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★JIニュース★
健康ホームページ リニューアル公開しました!
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●JIスタッフより
先号のコラム〈教育改革のカギは『民』のイニシアティブ〉に応援メー
ルをいただきました。どうもありがとうございます。
読者の方のご意見:「文部科学省→都道府県教育委員会→地方教育事務
所→市町村教育委員会→小中学校長→教頭→教師 というしくみが個々
の教師の活動を監視しているので、教育を「民」に取り戻すためには、
教育管理を出来るだけ簡素化しなければならないのでは」
おっしゃる通りです。多様な考え方や方法に基づく「新しい類型」の
公立学校」を設立できる制度を作るべきだと、私たちが考えている理由
の一つでもあります。
「自分たちで教育のありかたを決め、責任を負う」という「民」からの
教育改革の動きを、私は身近かに感じています。でも、そのような考え
方の人は日本ではまだまだ少数派?・・・いかがでしょうか。(JI山谷)
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