【No.364】首長リレーエッセー(23) チンドン太鼓の演奏を通して
2008.08.29

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JIメールニュースNo.364 2008.8.29発行
首長リレーエッセー(23)
チンドン太鼓の演奏を通して
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◆◇ 目 次 ◇◆
1.【首長リレーエッセー(23) チンドン太鼓の演奏を通して】
2.【医療再生に向けた緊急提言】
~医療システムの一体的な制度改革を!~
≪TOPICS≫
私たちは、多くの医療現場の皆さんと熱のこもった議論を重ねながら、医師不
足の現状を分析し*1、また、その背後にある制度的な問題の洗い出しを行って
きました*2。
政府は今年6月、80年代からつづく医学部定員削減政策を撤回し、定員の増員を
決定しましたが、具体的な医師不足対策の議論は緒についたばかりです。
構想日本では、来月中旬、1.医師配分、2.報酬点数、3.医療情報の三つ
の観点から、医療再生に向けた具体的な政策提言を公表する予定であり、今週
その概要をプレスリリースしました。
皆さん、ご意見、ご感想をお聞かせ下さい。(加藤秀樹)
[参考URL]
*1 https://www.kosonippon.org/wp-manager/mail/bk080411.php
https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/detail.php?m_category_cd=26&m_project_cd=575
http://db.kosonippon.org/question/data.php?id=35#cts
*2 https://www.kosonippon.org/wp-manager/temp/080606iryo_pressrelease.pdf
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1.【首長リレーエッセー(23) チンドン太鼓の演奏を通して】
島根県 川本町町長 樋口 忠三
趣味の和太鼓奏者として35年、体力の衰えをごまかすためにチンドン太鼓を
叩いています。最初のアクセントにはじまって、左手は2つの太鼓を叩き分けて
活躍。左手を自由に動かすことは右脳への刺激となります。ドラムや和太鼓と
は全く違う形態です。
人口4千人の川本町から、ドイツの街へ。パーティ会場へ飛び込みで、演奏。
はじめ、笛と太鼓が鳴っているにもかかわらず、テントの中にシーンとした静け
さのみが流れました。「しなければ良かった」と後悔の思いがおこりましたが、
しばらくの演奏の後、徐々に観客の目が輝き、笑顔とともに会場がどよめきま
した。太鼓の外国公演のなかでも、この時の思い出が一番鮮烈で楽しいもの
となっています。
チンドン太鼓は太鼓の中でも初めて目にする人たちにとっては、カルチャーシ
ョック。阿波踊りや神楽囃子のリズムは世界各地で、多くの人たちを楽しませ、
スイスのインターラーケンでは馬が踊りました。
平成14年のアセム首脳会議関連フェスティバルでの公演後、モスクワの日
本人学校で「リズムとメロディー」についての話と太鼓演奏を披露しました。校
長先生から、「日本の伝統文化を見せていただきありがとう」の言葉があり、
「地域の子供たちに地域の文化を教えるべき」との話題から「海外の日本人学
校では日本の文化をきちんと教える」ことの大切さを強調されました。
生まれたところに素晴らしいものがあると、子供たちも誇りに思い、夢を持つこ
とが出来るようになります。世界に誇れる文化を育み、次の世代へ自信をもっ
て伝えて行きたい。
地方の元気は、地域文化の再生で、また、文化を担う人たちが元気になれば
地域がグローバルに光り輝くはずです。
「限界集落」を多く抱えている中国山地にみられるように、耕作放棄地の増
加をはじめとして生き残れるかどうかの問題に直面している地域において、
人口減少と高齢化は集落の存亡にまったなしの解決策を求めています。
「都市と地方の格差」は、都市に住む人、地方に住む人の間で、現状認識に
大きな差があります。相互の交流を深くして、共に元気になる道を探らなけれ
ばなりません。
地域文化の活用が地方の自立と都市との共生に向けての大きな力となりま
す。過疎地に残っている「単純、故に感動する文化」、それは上方・江戸と、い
わば都会で洗練されたテクニックとは異質のものでしょう。かつての山陰地方
には大陸文化の入り口として、国際性にあふれ、多くの人々を感動させる文
化がありました。「今の時代」に合うように再生し、世界中の人々に楽しんで頂
きたいと願っています。
*樋口 忠三氏のプロフィール
邑智郡川本町出身
昭和44年3月 島根大学文理学部 卒業。4月山陰合同銀行入行。
浜田駅前支店長、公務部長代理、川本支店長など歴任
平成12年9月山陰合同銀行 退職。平成12年10月川本町教育委員会
教育長就任。
平成16年2月 川本町長 当選
平成20年2月 川本町長 再選
現在 島根県太鼓連盟会長、島根県文化振興財団理事など。
太鼓について
外国での公演実績。
平成14年外務省の依頼でアセム首脳会議関連フェスティバル・コペンハー
ゲン公演、モスクワ公演、平成18年パリ公演など、実績多数。
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2.【医療再生に向けた緊急提言】
~医療システムの一体的な制度改革を!~
政府は今年6月、深刻な医師不足に対して、医学部定員の増員を決定し、
また来年度予算の増額も明言しました。現在、厚生労働大臣の私的諮問機関
(「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会)において医療再生に
向けての審議がつづけられており、その政策メニューの概要も公表されました。
しかし、本質的な医療再生のためには、個々の政策の実現だけでなく、それら
の背後にある医療システムの一体的な制度改革が不可欠です。構想日本では、
1、医師配分、2、報酬点数、3、医療情報の3つのシステムについて、概要以下
のような改革プランを提言します(改革プランの具体的内容は9月中旬に公開予定)。
○構想日本医療プロジェクト・チームからの緊急提言○
1 医師配分システムの見直し
<政府主導の医師配分システム⇒第三者機関を通じた医師配分システム>
現場から乖離した政府主導の医師研修・派遣制度*1を改め、専門家から成る第三
者機関を通じた全国規模の医師研修・配分およびその成果検証システムを構築す
ることにより、医療の質向上と、地域や診療科ごとの担当人口および担当面積当
たりの医師(指導医・専門医・家庭医等)、研修医各ポストの全国的な適正配置
を促進する。
2 報酬点数システムの見直し
<全国一律、一物一価の報酬点数システム⇒現場の業務に即した報酬点数システム>
1958年からつづく中央統制の報酬点数システム*2を改め、地域や医療機関によって
異なる業務内容に即した報酬点数システムを構築することにより、労働対価の保証
と多様な雇用形態(交替勤務制や短時間労働、病院内開業など)の実現を促進する。
3 医療情報システムの見直し
<中央管理・統制型の情報システム⇒患者や医療者のアクセスしやすい情報システム>
政府が集計、管理し、公開の進まない医療情報システムを改め、個人情報を匿名化し
た上での情報公開を進める。また、地域および医療機関内の情報共有を制度化する。
これらによって、患者や医療者にもアクセスしやすい双方向の情報システムを構築する。
*1 「新医師臨床研修制度」(2004年4月発足)および「緊急臨時的医師派遣システム」
(2007年7月発足)
*2 「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(1958年厚生省告示)
構想日本は、医療崩壊を食い止め、国民に安心な生活を取り戻すため、主に以下のメン
バーの方々と共同で政策提言します。(五十音順)
網塚貴介(青森県立中央病院・新生児集中治療管理部・部長) 有賀徹(昭和大学・救
急医学・教授)海野信也(北里大学・産科婦人科・教授)太田寛(日赤医療センター・
産科)加治一毅(医師・弁護士・加治法律事務所)加部一彦(愛育病院新生児科・部長)
上昌広(東京大学・医科学研究所・探索医療ヒューマンネットワークシステム・特任准
教授)神津仁(神津内科クリニック・院長)嘉山孝正(山形大学・医学部長)
神田橋宏治(東京日立病院・内科)久保千春(九州大学病院・病院長)熊坂義裕(宮古
市長・医師)河野 博充(帝京大学医学部附属・溝口病院薬剤部長)小林一彦(JR東京総
合病院・血液内科医長) 鈴木真(亀田総合病院・産婦人科・部長)木田博隆(三重大
学・公衆衛生学・助教)木戸道子(日赤医療センター・女性診療科・副部長)小松秀樹
(虎ノ門病院・泌尿器科・部長)杉浦正俊(杏林大学・小児科・准教授・新生児医療連
絡会事務局長)土屋了介(国立がんセンター中央病院・院長)戸堂耕造(阪南市立病院
歯科口腔外科)中村利仁(北海道大学・医療システム学・助教)西田幸二(東北大学眼
科教授)野村麻実(国立病院機構名古屋医療センター・産婦人科) 樋口紘(岩手県立
病院・名誉院長) 堀江重郎(帝京大学泌尿器科・教授)堀見洋継(東京大学・医療政
策人材養成講座・特任研究員) 本田宏(済生会栗橋病院・副院長)満岡渉(満岡内科
・循環器科・院長・諫早医師会理事)森臨太郎(大阪府立母子保健総合医療センター・
企画調査室・室長) 松原要一(鶴岡市立荘内病院・院長)武藤徹一郎(癌研有明病院
名誉院長・メディカルディレクター )森田茂穂(帝京大学・麻酔科・教授)山口拓洋
(東京大学・臨床試験データ管理学・特任准教授)山田芳嗣(東京大学麻酔科教授)
和田豊郁(久留米大学病院情報部・准教授)渡辺賢治(慶応大学・漢方医学センター・
准教授)
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