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【No.381】日本外交は人権のグローバルリーダーに~ODAのあり方の提言~

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JIメールニュースNo.381  2008.12.26発行
日本外交は人権のグローバルリーダーに~ODAのあり方の提言~
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◆◇ 目 次 ◇◆
1.【日本外交は人権のグローバルリーダーに~ODAのあり方の提言~】
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2008年最後のJIメールニュースとなります。
ご愛読いただき、誠にありがとうございました。
2009年も、宜しくお願い致します。
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1.【日本外交は人権のグローバルリーダーに~ODAのあり方の提言~】
国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ
日本代表 弁護士 土井香苗
国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部 ニューヨーク)は、
30年前できた非政府団体/NGO。アムネスティ・インターナショナル
と並ぶ世界最大級の国際人権NGOで、約350人の専門スタッフが、世
界約80カ国の人権侵害をモニターしています。政府資金は受け取らず、
プライベートな寄付だけで運営されています。
隠された人権侵害を、正確に、専門性をもって調査し、世界に知らせます。
また、世界各国の政府や国連に対し、人権侵害を解決にむけた外交政策を
提案してきました。1997年には、他の団体とともにノーベル平和賞も受賞
しました。
世界から、人権危機を伝えるニュースに暇がありません。私自身、弁護
士として、日本に逃れてきた多くの難民たちを弁護してきましたが、モン
ゴル系の少数民族だというだけで捕まりコンテナに閉じ込められて死ぬほ
ど殴られたアフガン難民、マニキュアをつけて髪をベールから出して歩い
ていたために酸をかけられた暴行されたイラン女性などから、人間の基本
的な尊厳を持って生きたい、と悲痛な叫びを聞いてきました。そして、今
も、近隣アジアだけを見ても、アフガニスタンやスリランカの紛争で多く
の民間人が犠牲となり、ビルマやチベット、ウズベキスタンで、政府への
抗議行動が弾圧されています。
それでは、日本政府は、世界各地の人権危機にどう対応してきたでしょ
うか?政府開発援助(ODA)大国である日本は発言力がありますが、日
本はその持てる発言力を被害者たちのために使ったでしょうか?残念なが
ら、多くの場合、問題政府との二国間関係を重視し、被害者は二の次でし
た。
世界各国の被害者たちから、日本政府が抑圧政権を支えていて、自分たち
被害者たちのことは二の次にしている、という訴えを聞くことはまれでは
ありません。そうではなくて、日本政府には、苦しむ被害者たちをまもる
ために行動する尊敬される政府になってほしいと思います。ODA大国日
本には、世界各国(特に多額の援助をしているアジアなどの国々)で、苦
しみ続ける多くの被害者を助ける影響力を持っています。今必要なのは、
行動を起こす勇気です。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、よりよい日本
外交を目指して努力を続けて参ります。
◆ ODAのあり方の提言
キーとなるのは、日本外交の屋台骨ODAのあり方です。まず、国民の
税金が、独裁政権や人権侵害政府に渡されるべきでないことは言うまでも
ありません。日本国民は、弾圧や人権侵害を間接的にでも手助けすべきで
ないからです。しかも、ODA/開発援助が効果をあげるには、相手国に
良い統治と基本的な自由があり、投資が人びとのために使われることが必
要です。実際、ODA大綱にも、「良い統治(グッド・ガバナンス)に基
づく開発途上国の自助努力を支援する」のがODAの基本方針と書かれて
います。
しかし、お金欲しさに、統治を良くすると空約束するだけで、人権侵害を
続ける自助努力しない政府がたくさんあるのも事実です。多くの場合、日
本外交はそれでも財政支援を続けてしまっています。外交官にとっては、
相手国政府との関係を円滑に進める手段として、お金を渡すのはとても便
利ですから、汚いことには目をつぶってでも財布のひもを緩ませてしまう
傾向にあるのでしょう。
これに歯止めをかけられるのは、税金を出している日本国民であり、国会
のはずです。人道支援はニーズさえあれば条件なしに公平に行うべきです
が、人道支援ではないインフラなどの大型開発援助には、少なくとも、よ
い統治及び人権に関する基本的なベンチマークについて相手国に自助努力
(前進)を要求すべきではないでしょうか。例えば、汚職撲滅に向けて前
進している、表現の自由を弾圧していない、拉致や拷問に手を染めていな
い、などの指標が考えられます。
日本の国会も、ODA大綱が実効的に実施されるよう、EUや米国の議会
と同様、こうしたベンチマークを定める法律を作るべきときがきているの
ではないでしょうか。そして、国会が、外務行政をしっかりモニターすべ
きだと思います。
◆ 国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ
これまで、他の主要西欧諸国と異なり、日本外交に対して世界の人権情
報及び政策を提言する専門家団体はほとんどありませんでした。そこで、
私たち国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは、日本外交の「潜在的
な可能性」に注目して、昨年、日本にやってきました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界中から、精度の高い人権情報を瞬
時に入手しています。グローバルな人権監視ネットワークを持っている上
に、防弾仕様の車に乗った外交官たちが行かれないところまで行って情報
を取ってこられるからです。この情報を生かし、世界メディアに対し、人
権情報を発信していますが、今後、日本メディアに対する情報提供にも力
を入れたいと考えています。日本の新聞やテレビでは、国際ニュース、と
くに人権関係のニュースは、あまり発信されていません。この状況を改善
するとともに、日本のメディアを通じ、国民の皆様のお手元に人権情報を
届けたいと思います。
また、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界の人権を尊重する民主主義
国の政治リーダーたちと協力してきました。ODA大国日本にも、潜在的
な影響力はあります。あとは、ビジョンと、行動に移す勇気が必要なだけ
なのです。今後、日本政府が人権リーダー国のひとつとなれるよう、働き
かけていきたいと考えています。
* 土井香苗(どい かなえ)氏のプロフィール
国際NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表、弁護士
司法試験に合格後、大学4年生の時、NGOピースボートのボランティアとして、
アフリカで一番新しい独立国・エリトリアに赴き、1年間、エリトリア法務省
で法律作りのお手伝いのボランティア。
その後、1998年東京大学法学部卒。2000年司法研修所終了。
2000年から弁護士。普段の業務の傍ら、日本にいる難民の法的支援や難民認
定法の改正のロビーイングやキャンペーンにかかわる。
2006年6月米国ニューヨーク大学ロースクール修士課程終了(国際法)。
2007年、米国ニューヨーク州弁護士。
2006年から、国際NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチのニューヨーク本
部のフェロー。2007年から日本駐在員。
2008年から東京ディレクター(日本代表)。
著書に「“ようこそ”といえる日本へ」(岩波書店 2005年)、
「テキストブック 現代の人権 第3版」(日本評論社 2004年)など。
メール:doik@hrw.org

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