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【No.392】今、なぜ、介護を考えることが必要なのか -前編-

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JIメールニュースNo.392  2009.3.19発行
今、なぜ、介護を考えることが必要なのか -前編-
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◆◇ 目 次 ◇◆
1.【今、なぜ、介護を考えることが必要なのか -前編-】
2.【第140回「J.I. フォーラム」のご案内】
≪TOPICS≫───────────────────────────
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事業仕分けは、官と民、国と地方の役割分担を明確にし、
行政の無駄を省くための有益なツールとして定着しつつ
あります。
構想日本では、事業仕分けをすべての省庁、自治体で
実施できるよう、ますます精力的に取り組んでいきます。
新サイトを通じて情報を共有していきたいと思いますので、
ご意見をお寄せください、お待ちしています。
≪新サイトの主な特徴≫
1. 注目度が高まっている事業仕分けの情報を、
構想日本の本体サイトから切り離し、仕組みや
効果をより分かりやすく解説。
2. 事業仕分けの更なる普及を目指して「仕分け基金」を設立、
”戦後60年目の大掃除”へのご協力を広く呼びかけます。
3. 自治体、省庁別に情報を整理。準備→当日の議論→
仕分け結果→結果の反映と、一連の流れが確認できます。
4. 「事業仕分けメーリングリスト」を設置、意見交換や
情報共有の場として活用していきます。
5. 「最新のお知らせ」では、仕分け人養成講座や、事業
仕分けに関する各種セミナー、講演のご案内を掲載。
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1.【今、なぜ、介護を考えることが必要なのか -前編-】
特別養護老人ホーム・介護職員 M・K
■はじめに
現在、私は特別養護老人ホーム(以下、「特養」)でケアワーカー(介護
職員)として働いている。特に昨年は、介護の現場で働きつつ、講演や各種
審議会等を少なからずウォッチし、機会があれば、現場の立場から発言をし
てきた。そうした中で、いま考えていることの一端を示し、議論に供したい。
なお、ここで述べていることは、特養、それも新型(ユニット型)特養から
の視点に基づく。私は、高齢者介護を大雑把に分類し、①特養等をはじめと
した「施設系」、②デイサービス等の「通所系」、③訪問介護に代表される
「訪問系」、の三つに分けて考えている。ここでは詳しく触れないが、「高
齢者介護」と一括りにいっても、特養(施設系)は、他の通所系や訪問系と
は事情が異なる。更にいえば、同じ特養でも、「従来型の特養」と「新型特
養」に分かれる。新型特養とは、全室個室で、かつ生活単位を10名前後の少
人数としたものであり、私はこの新型特養で働いている。それゆえ、以下に
述べる現状認識や考え方も、他の分野とは異なりうることをご承知おき頂き
たい。
■「今、なぜ、介護を考えることが必要なのか?」
いまや介護保険制度を含む日本の介護システムは、巨大で複雑なブラッ
クボックスと化してしまった感がある。深刻な問題を抱えているにもかかわ
らず、外からはそれが見えない。あるいは、見えたとしても、「全体」を把
握している者は誰もおらず、「部分」しか見えていない。現状は、そのブラ
ックボックスが暴走した末、機能不全となっており、SOSを出しているとい
えるのではないだろうか。
しかし、このSOSは電波が微弱であり、ほとんど社会に感知されていない。
一方、社会も、このSOSに対してほぼ無関心である。その状況は今も変わらな
い。
この事態に対して有効な手立てはあるのか。経済学者のカール・ポラン
ニーに倣っていえば、私は、「介護を社会に埋め戻す」ことだと考えている。
■現状認識
昨年辺りから本格的に介護の問題が表面化してきた。テレビや新聞等でも、
関連する報道を目にすることが多くなったという印象がある。人手不足のニュ
ースに始まり、認知症をテーマとした番組が反響を呼んだり、時折、虐待や介
護疲れによる殺人のニュースを耳にすることもある。一方、同じく昨年表面化
した貧困問題、雇用危機等の関連で、雇用の受け皿として期待する声もある。
今年の1月末からは、日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)により来日し
た、インドネシアからの介護福祉士候補者が実際に介護現場で働き始めた。
今後、フィリピンからも同様の受け入れを予定している。
介護現場の苦境に対して(それとも来たる総選挙や地方選挙を意識してか)、
政府・与党もようやく重い腰を上げ、昨年紆余曲折を経て、介護報酬の3%ア
ップが決定した。暗闇に光が差し込んできたようにも見える。
しかし、実際のところはどうだろうか。メディアで報じられるのは氷山の
一角にすぎない。介護現場の最前線にいる者としては、この一年、何一つ状況
は改善しておらず、悪化の一途だった。いくら政策決定がなされたところで、
実際の現場が何も変わらなければ、我々にとっては無為無策=後退と同じこと
である。この間、どれだけの数のケアワーカーが現場から離れたか。また、今
いるワーカーの過重労働状態も一向に改善の兆しが見えない。支え手がこのよ
うな状況で、要介護状態の高齢者が影響を受けないはずがない。
システムも人間も(利用者、ワーカー共に)、既に限界は超えており、こ
れ以上もたないというのが率直な気持ちである。更にいえば、今後どうなって
いくのか全く見通しが立たない、展望が見えないことも、不安感が一向に晴れ
ない要因となっている。
昨年、厚相経験のある自民党代議士がテレビ番組において、「世界に冠た
る介護保険」と言い、一方では同じく厚労相経験者である尾辻秀久・自民党参
院議員会長が、社会保障費の毎年2200億円削減(07~11年度の5年間で総計1兆
1000億円)に反対し、「乾いたタオルを絞っても水は出ない」と言った。この
好対照が介護、ひいては社会保障を巡る混乱を象徴的に示している。
この社会保障費削減に関して、小泉元首相の在任中、これを決定した経済
財政諮問会議(骨太の方針2006)において、ほとんど議論されることはなく、
大半の時間を費やしたのは「郵政民営化」についてだった、という話を聞いた
ことがある。直近の2005年「郵政選挙」において自民党を大勝させたのは他な
らぬ有権者である。我々はその代価を払い続けている。余談だが、小泉元首相
は厚相を通算四度務めた。
■人員配置の問題
現場の当事者としては、介護を巡る言説において「臨床」の視点が抜け落
ちてしまっていることに危機感を抱いている。そのことについて述べる前提と
して、まずは人員配置の話をしなければならない。単純に言ってしまうと、従
来型の特養において、人員に関する基準は、入居者3名に対して、介護・看護
職員1名となっている。よく「3対1」という言い方をする。これに対し、新型
特養は、一般に「2対1」必要と言われる。例えば、9名の入居者を1グループ(
ユニット)として、2ユニット18名で考えた場合、常勤職員は9名となる。
しかし、これは単に数字上のことであって、まやかしという他ない。デイサー
ビス等と違って、特養は24時間365日稼働している。公休も当然必要である。
それらを考えると、実際は、私が働くユニットでは、入居者9名に対して、日
中ケアワーカーは基本的に1名しかいない。夜間はこれが18対1になる。午後か
ら遅番職員が出勤してくるが、特養では、入居者は週2回入浴することになって
おり、そのための人手を考えると、やはりユニットにいる職員は常時1名という
ことになる。
こうした状況で何が起こるか。入居者としては、用事があっても延々と待
たされるのが日常茶飯事となる。コンビニやスーパー、ファミレス等で、私た
ちはどれだけ待つことができるだろうか。それはいまや容易に非難の対象とな
るように感じる。次からはそこを利用しないという選択肢もあるかもしれない。
しかし、特養の入居者はどうか。特養の絶対数が不足する中、待機者は一自治
体で何千名単位に上る。ようやく入居した人々に選択の余地が残されているの
だろうか。
ましてや、特養に入るからには、些細なことでも人の手を借りなければな
らないことが多い。食事や排泄以外にも、痒いところをかく、喉が渇いたから
何か飲むものがほしい、寝返りをうつ、姿勢を直す。意思を表示できる人もい
れば、できない人もいる。そうした「待たされる」気持ち、立場は当事者にな
ってみないと分からないのが現実だし、当事者になるまでは知る由もない。
一方、ケアワーカーの側には、「待たせる」ことに対する抜き難い罪悪感
が付きまとう。よく言われるように介護がサービス業であるならば、これ程の
「悪」はないだろう。他方、「動作が貫徹できない」という苦痛も日常的に味
わうことである。新型特養の「全室個室」は、言いかえれば死角だらけという
ことに他ならない。1ユニットという空間に自分一人しかいない状況であるとい
うことは、自分がある人の居室で介助に入った場合、他の8名の見守りができな
いということである。そうした中で、事故やトラブルをどうやって防げという
のか。いまだに納得のいく解決策が提示された例を知らない。現実的には、居
室で介助をしながら、度々リビングに出て、他氏の様子を伺うため、口腔ケア
や排泄介助、就寝介助等を細切れに行わざるを得なくなる。しかし、そこまで
しても見守りをしきれるものではない。
こうした状況に、入居者もケアワーカーも耐えられると思う人がどれだけ
いるのか。しかし、現実は何も変わっていないということは、誰もがこの状況
を黙認しているということではないだろうか。
ケアワーカーの休憩や食事、トイレといった基本的な労働環境の貧困さも
ここに主因がある。先に述べた、労働法のことと共に、この人員配置の基準を
見直さない限り、いくら他の施策を実施したところで、全く意味がない。これ
は、視点を変えれば、誰も問題の所在を把握、理解していないことの証左とい
える。行政当局も議会も、研究者もメディアも、決定的に臨床の視点が欠けて
いる。だから、どんな立派に見える施策を打ち出しても、議論を提示してみて
も、そこにはリアリティがない。
「今、なぜ、介護を考えることが必要なのか」-後編-に続く
※本レポートは、「αシノドス」に掲載した文章を再構成したものです。
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2.【第140回「J.I. フォーラム」のご案内】
社会基盤を壊してはならない
~「貧困」「セーフティネット」「働き方」を考える~

今年三月末までに、製造業で働く派遣・請負労働者の失業者が
40万人に達すると言われています。この人達が住む所にも食べるも
のにも事欠く状況が目前です。まずはこの人達への緊急な支援が必
要です。次に、現在のような雇用関係、社会情勢を想定していない
雇用保険や、生活保護などのセーフティネットの再構築をしなけれ
ばなりません。さらに長い眼でみた企業と雇用のあり方を考えな
ければなりません。
放置すれば社会の根底を崩すこれらの問題について、最前線に立
っている方に議論して頂き、私たち全員が自分たちのこととして考
えたいと思います。
★今回は会場が変わります。ご注意ください★
日 時  : 平成21年3月23日(月)
会 場  : グランドアーク半蔵門  3F 光の間
千代田区隼町1番1号 TEL 03-3288-0111 (代)
(http://www.grandarc.com/access/access.htm)
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時)
ゲスト  : 宇都宮健児氏(弁護士)
河添誠氏(首都圏青年ユニオン書記長)
清水直子氏(フリーター全般労働組合執行委員長)
湯浅誠氏(派遣村村長/NPO法人自立サポートセンターもやい事務局長)
コーディネーター:加藤秀樹(構想日本代表)
主 催  : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「アイニンファンファン」 Tel 03-5210-3587
千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビルB1F(グランドアーク向かいのビル)
————————————————————–
参加ご希望の方は、3月22日午前中までに出欠の是非を、下記の
メールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会に     参加する      参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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