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【No.399】脳死は人の死か~臓器移植法の改正案に思うこと~

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JIメールニュースNo.399  2009.05.08発行
脳死は人の死か~臓器移植法の改正案に思うこと~
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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 脳死は人の死か~臓器移植法改正案に思うこと~
東京財団 プログラム・オフィサー 大沼瑞穂
【2】 ワンクリックアンケート 実施中!
“国会議員に定年制/定“当選回数”制は必要ですか?”
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【1】 脳死は人の死か~臓器移植法の改正案に思うこと~
東京財団 プログラム・オフィサー 大沼瑞穂
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1997年に成立した臓器移植法の改正案が、ここにきて急に紙面を
にぎわせている。5月に開催されるWHO総会で臓器移植に関するガイドラインが
改正されることを受け、海外で移植できなくなるのではないかとの不安が
移植希望者の間に広がったことが、改正への機運を高めている。
メディアでは、臓器移植を望む子供の親たちの声が大々的に取り上げられ、
国内で臓器移植ができるよう改正を訴える。医学の進展により、臓器移植を
すれば救える命が、国内法の制限によって救えないという状況を打破したいとの
思いも、海外でできることがなぜ日本ではできないかとのもどかしさも理解できる。
しかし、だからといって、「脳死=人の死」という医師の判定によって、
まだ呼吸をして、温かい人間から、心臓や肝臓を家族の同意を得ただけで、
本人の受諾なしに、勝手に取り出していいのだろうか。

移植を望む人に治療を受ける権利が認められるのなら、死にゆく人にも
最善の救命治療や終末期ケアを受ける権利は求められるべきであろう。
人間の死は、法律で定義されるものではない。見送る側の人は、体が冷たくなり、
呼吸をしていないことを実感して初めて死を受容する。本来、死とはそういうもの
ではないだろうか。

現行法では、臓器提供に対する「意思」(ドナーカード)を尊重するとの
基本理念に立ち、生前、臓器提供を望んでいた人だけが、脳死状態で
死との判定を受ける。そこには、自分の体に対する自己決定の尊重がある。
それを、一律に「脳死=死」と定義を変更することは、脳死状態の人間からの
臓器摘出を容易にし、臓器摘出を同意しない家族は、あたかも、「臓器移植を
望む、生きている人間に協力しない非道な人間」とのレッテルを貼られる危険性
さえある。
活動的で動くことができる生身の人間だけが、人間としての尊厳を守られれば
いいのではない。脳死状態の人間であっても、呼吸をし、血が通っている限り、
生きたい、家族の傍でともにいたいとの思いがあるかもしれない。声を
発することができない彼ら(彼女ら)のために、誰かが彼らの声を代弁して、
声を上げなければならないのではないだろうか。
また、人の死とは、見送る側の人間が、一定の時間をかけて死を納得し、
受容する過程であるように思う。そのことが軽んじられ、その場は臓器摘出を
承諾したものの後々、後悔する家族の事例も聞く。人の死とは、見送る側に
とっても、かけがえのない出来事なのである。
脳死は人の死か。そのことをもう一度考え直さなければ、脳死状態に
置かれた弱者は守られず、人の命そのものが軽んじられることに
なっていくのではないだろうか。
<大沼 瑞穂氏 プロフィール>
慶應義塾大学法学部卒。慶應義塾大学法学研究科修了(法学修士)後、
NHKに報道記者として入社。仙台放送局へ赴任。NHK退社後、外務省・
専門調査員を経て、2008年7月より東京財団にて、「生命倫理の土台づくり」
研究および「税と社会保障の一体化」研究を担当。
【2】 ワンクリックアンケート 実施中!
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Q:“国会議員に定年制や定“当選回数”制は必要ですか?”
⇒http://www.kosonippon.org/enquete/index.php?m_enquete_cd=62
企業では年金の受給年齢が引き上げられることに合わせ、定年の65歳までの
引き上げや、定年後の継続雇用などの対策に迫られています。
一方、国会議員は憲法43条で「全国民を代表する選挙された議員」と
されており、定年制はありません。

あなたは、国会議員に定年制やそれに類する制度が必要だと思いますか?
ワンクリックアンケートに答えて、ご意見をお聞かせください。

⇒http://www.kosonippon.org/enquete/index.php?m_enquete_cd=62
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