【No.404】今回のインフルエンザ騒動について思うこと
2009.06.11

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JIメールニュースNo.404  2009.06.11発行
『今回のインフルエンザ騒動について思うこと』
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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 『今回のインフルエンザ騒動について思うこと』
医師/厚生労働医系技官 木村 盛世
【2】 文科省所管 独立行政法人/公益法人 政策棚卸し 結果報告
【3】 次回6/24(水) JIフォーラムのご案内
【4】 地域主権の医療を考えるシンクタンク「医療構想・千葉」
6/13(土)設立シンポジウムのご案内
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【1】 今回のインフルエンザ騒動について思うこと
医師/厚生労働医系技官 木村 盛世
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2009年4月25日、豚由来のインフルエンザAH1N1の症例が初めて米国で
報告された。我が国はこのインフルエンザを「新型インフルエンザ」と命名し、
同時に「新型インフルエンザ対策行動計画(以下「行動計画」)に沿って全てが
動き出した。
「行動計画」の基本は、水際作戦(検疫)で国内に患者を発生しないように
食い止める、もし不幸にも入ってしまったら、学校閉鎖、コンサートなどの
集会自粛などの国内封じ込めを行い患者が増えるのを防ぐ、である。
これらの基本路線は、WHO(世界保健機関)や米国CDC(疾病予防管理
センター)の基本姿勢と大きくずれている。世界のコンセンサスは、1.検疫は
ほとんど意味をなさない、2.学校閉鎖などの初期封じ込めは病気の広がりを
止めることはできない、というものである。
世界中に広がったインフルエンザを国内に一人も入れないという考えは
ナンセンスだ。インフルエンザの日本名は「流行性感冒」、すなわち流行しや
すいカゼである。検疫偏重は、今年の冬、日本国内で一人のカゼの患者も
出さないという目標をかかげるくらい無意味なものである。
当然のことながら、水際作戦をはじめてほどなく、渡航歴のない患者が国内で
発生したが、そこで行われたのは学校閉鎖、集会の自粛であった。こうした
初期封じ込めについては人類がインフルエンザの大流行を経験する中で何度も
議論が繰り返され、効果はあまり期待できない、との結論に至った。国内の
初期封じ込めは効果薄どころか経済に影響を来すことが大きな問題である。
そのためにWHOも学校閉鎖等をしてはならない、と強い声明を出している。
以上からいえることは、日本のインフルエンザ対策は誤っていたということだ。
ではその誤りの元はといえば、「行動計画」である。行動計画は健康局長を
はじめとする医系技官が強く関与して作られた。その結果が弱毒性インフル
エンザ患者に対する差別や偏見、また旅行や集会の過度な自粛をはじめと
する国民的パニック、そして1千億円超ともいわれる経済的ダメージである。
この誤った”バイブル”を直さない限りは、より毒性が高いと予想される第2波に
ついても全く同じ対応が繰り返され、感染拡大は止められないだろう。しかし
その際の経済損失は5兆円ともいわれるのである。
間違った感染症対策を繰り返し、経済的にも大きな傷を負ってゆく日本は
反社会勢力のターゲットにもなりかねない。「行動計画」を作った医系技官は
自分たちの責任の重さを自覚し早急に軌道修正することが必要である。

<木村 盛世(きむら もりよ)氏 プロフィール>
医師/厚生労働医系技官。筑波大学医学群卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学
公衆衛生大学院疫学部修士課程修了(MPH[公衆衛生学修士号])。優れた研究者
に贈られる、ジョンズ・ホプキンス大学デルタオメガスカラーシップを受賞する。
内科医として勤務後、米国CDC多施設研究プロジェクトコーディネイターを経て、
財団法人結核予防会に勤務。その後、厚生労働省大臣官房統計情報部を経て、
厚労省検疫官。専門は感染症疫学。

【2】 文科省所管 独立行政法人/公益法人 政策棚卸し 結果報告
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6月8日(月)、自民党無駄撲滅プロジェクトチーム 文科省所管 独立行政
法人/公益法人 政策棚卸しが開催されました。傍聴者300名以上が来場し、
白熱した議論が繰り広げられました。
○対象事業:9法人(13項目)
○対象となった国費投入額:約4,021億円
○結果概要:不要 5項目(約136億円)
民間 1項目(約747億円)
統合 4項目(約3044億円)
要改善 3項目(約101億円)
継続 0項目
★詳しい結果や当日の配布資料は、構想日本HPをご覧ください:
https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/municipality_sort/detail.php?m_project_cd=741
★多数の傍聴者がブログで、また新聞等多くのメディアも取り上げています:
http://blog.kosonippon.org/

【3】 次回6/24(水) JIフォーラムのご案内
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「政党ガバナンス」(仮)
今月のJIフォーラムは、構想日本から近々発表予定の「政党ガバナンス」
に関する提言をもとに、国民に蔓延する政治不信を払拭するために、今、
政党、政治に求められることを、大いに議論したいと思います。
○日 時  :平成21年6月24日(水)
○会 場  :日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
○開 演  :18時30分 (開場18時00分)
○ゲスト   :飯尾潤(政策研究大学院大学教授、『日本の統治構造』他著者)
野中尚人(学習院大学教授)
※ほか調整中
○コーディネーター: 加藤秀樹(構想日本代表)
○定 員  :160名
○フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
○懇親会参加費   :4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/
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参加ご希望の方は、6月23日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会に     参加する      参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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【4】 地域主権の医療を考えるシンクタンク「医療構想・千葉」
6/13(土) 設立シンポジウムのご案内
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銚子市立総合病院の閉鎖や都市部でも始まった医師不足など、医療崩壊の
危機に瀕する千葉県。これを阻止するため、構想日本医療提言の共同提案者
である竜崇正・千葉県がんセンター前センター長が政策シンクタンク「医療
構想・千葉」 を立ち上げ、設立シンポジウムを6/13(土)に開催します。
★詳細は医療構想・千葉のHPをご覧ください:
http://iryokoso-chiba.org/osirase%20nor.html

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