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【No.427】「農業ビジネスに関する小論」(後編)

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J.I.メールニュースNo.427 2009.11.19発行
「農業ビジネスに関する小論」(後編)
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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 「農業ビジネスに関する小論」(後編)三菱商事(株) 吉田 誠
【2】 新発田JCによる模擬事業仕分け、11月20日実施
【3】 奈良市の事業仕分け、11月22日、23日実施
【4】 第148回J.I.フォーラムのご案内 11月26日
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【1】 「農業ビジネスに関する小論」(後編)
三菱商事(株) 生活産業グループ次世代事業開発ユニット
シニアアドバイザー
行政刷新会議第三ワーキンググループ 評価者 吉田 誠
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先週の前編では、農業ビジネスの定義と方向性について述べた。後編は、
農業経営がビジネスとして成立するためのポイントを、6点述べたいと思う。
まず、一点目は、価格決定。生産コストを管理し、再生産コストをベースに
製造者が商品の価格決定に主体的に関与することは、製造業分野では
きわめて当たり前のことだ。だが、農業経営においては、長らく「委託販売
方式」(生産者、JAともに価格形成に関与せず、実需に基づかない系統
市場相場で価格が形成される)に依存して来た結果、生産コスト管理、
生産コスト削減に対する意識はきわめて低い水準にある。産業界において、
生産コスト削減が長い間、重要視されて来なかった分野は、農業分野だけ
である。これは、食管制度に代表される市場価格支持制度、関税障壁に
よる保護主義を続けて来た政策的背景に基づくものだ。
二点目は、マーケットイン。マーケティングにより需要を把握(販路を
確保)し、販売計画と整合性のある製造計画を立てた上で製造に着手する
ことである。これもまた基本中の基本であるが、農業経営では、完全な
プロダクトアウトとなっている。
三点目は、販路の多様化・複数化である。これも製造業では、価格変動や
需要量変動のリスクを小さくするために複数の販路を確保しようとする努力は
当たり前のことだ。農産物の実需者は、小売だけでなく、外食、中食、食品
加工、加工卸、飲食、化学素材など他分野にわたっている。当然、生産者は、
価格変動や需要量変動のリスク回避やいわゆる規格品・規格外品の選別に
よるロス(商品化できない生産物の率)を低減するため、複数の販路を確保
しなければならないのだが、これまでのJA、系統市場への過度な依存の
ため、遅れていると言わざるを得ない。
四点目は、流通・加工分野への進出である。生産者が、収益性(粗利率)を
上げるためには、付加価値の高い、流通(直販、飲食)、加工分野に進出する
ことが最も身近な解決策であることは明らかだ。こうした分野への進出は
年間労働時間の増大(労働対価累計の増加)と平準化、いわゆる規格外品の
商品化を可能とし、生産者(従業員含む)の所得と経営体の収益の拡大に
つながる。
留意したいのは、収益拡大のためには、他に多品目作物の生産という手法
もあるのだが、これらの対策を講じない、単一作物の年一作という従来型の
農業ビジネスモデルでは、収益拡大はきわめて困難だということである。その
理由は、時間当たり賃金の水準が高いのに、年間労働時間がサラリーマン
の平均労働時間の約半分以下になってしまう点にある。米作りは儲から
ないと愚痴を言う生産者に出会ったら、「あなたの労働時間は?」と聞いて
みることだ。年間労働時間が1000時間以下なら、当然、一家を養う、
あるいは法人を維持するだけの収益があがるはずがないということになる。
だからこそ、米生産者の多くが兼業農家という現実があるのだが。
五点目は、経営規模の拡大(適正規模への移行)である。生産コストの
最小化と収益の最大化を実現する経営規模への拡大は、どのような分野に
おいても経営体の明確な目標である。農業の場合、それは耕作面積の拡大
ということであるが、実は、この農地の流動化による耕作者への優良農地の
集約化こそ、日本の農業政策の最大の課題となっている。
六点目は、流通・加工分野への進出や経営規模の拡大にともなう、経営
スキルの獲得と人材育成である。経営規模の拡大が一定規模を超えると
当然ながら従業員雇用が必要となり、法人化も必要となる。また、流通業
や加工業への進出は、マーケティングや施設整備が必要となる。その結果、
企画・財務経理、営業、労務管理、圃場管理、施設管理、在庫管理安全
管理、衛生管理などのマネジメント・スキルの向上が求められ、当然それら
を担う人材の育成、確保が不可欠となる。
実は、90年代以降、この六つのポイントをクリアし、農業経営の企業化、
ビジネス化に成功した生産法人が増加している。売上高で50億円超の経営
規模の法人も生まれている。
しかし、日本の農業経営体数から見れば、ほんの少数に過ぎない。
いまブームとなっている「企業の農業参入」の意義は、まさしく、こうした
ポイントを克服しようとする意識と志の高い農業生産者と連携し、農業経営体
の企業化を支援・促進する点にあるのではないだろうか。

【2】 新発田青年会議所による模擬事業仕分け、11月20日(金)開催
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新発田青年会議所は、「自分たちのまちは自ら治める」という住民自治
意識の向上を目的として、今回の模擬事業仕分けを実施します。住民、
行政ともに事業仕分けの意義を体感してもらい、今後の本格実施につなげて
いきたいと考えています。
行政でも議会でもなく、市民の団体が主導で実施する事業仕分け。市民が
行政に参画する具体的な試みとして、一つのモデルとなるでしょう。どなたでも
傍聴できます、是非ご参加ください。
≪開催概要≫
【日時】 2009年11月20日(金) 18:30~21:10(18:00開場)
【会場】 新発田市生涯学習センター講堂
(新発田市中央町5-8-47)
【主催】 社団法人 新発田青年会議所
【協力】 構想日本

●詳細はこちらをご覧ください:
http://www.kosonippon.org/shiwake/municipality_sort/detail.php?m_project_cd=807

【3】 奈良市事業仕分け、11月22日、23日開催
――――――――――――――――――――――――――――――――
奈良市では、仲川新市長の強いリーダーシップのもと、60事業を対象に
実施します。行政資源の有効活用を図るとともに、事業に対する行政の説明
責任の徹底と職員のさらなる意識改革を推進することを今回の事業仕分けの
目的としています。
≪開催概要≫
【日時】 2009年11月22日(日)・23日(祝)9:30~17:00
※入退室自由、ご都合の良い時間帯にお越しください。
【会場】 奈良市役所中央棟6階正庁、第1研修室、第2研修室
(奈良市二条大路南1-1-1 )
※会場に関するお問い合わせは、
奈良市役所 行政経営課(電話)0742-34-5609
【主催】 奈良市
【協力】 構想日本
【対象事業】 60事業

●詳しくは構想日本ホームページをご覧ください:
http://www.kosonippon.org/shiwake/municipality_sort/detail.php?m_project_cd=795
————————————————————–
参観ご希望の方は、11月20日(金)までに下記のメールアドレスに
お申込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
————————————————————–
*お問い合わせ:構想日本 西田/塩野 03-5275-5607
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【4】 第148回J.I.フォーラムのご案内
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事業仕分けの先駆者 大いに語る
―「当事者意識」が、地域そして国を変える―
国の事業仕分けが11月11日から始まりました。2002年から60回以上を数える
事業仕分け。その先駆者である市長、町長に集って頂き、仕分けの経験、
そこから得た実績をふまえて、これからの国の方向性を「現場」の視点で熱く
語って頂きます。
事業仕分けの成果は単なる歳出削減ではありません。激論を通しての
職員の意識、住民とのコミュニケーションの深まりこそが大事なのです。国の
事業仕分けとあいまって、日本中で政治や行政サービスに対する当事者意識が
広まることが、変革につながるのではないでしょうか。参加者のみなさまも
是非議論に加わって下さい。

≪開催概要≫
○日 時: 平成21年11月26日(木) 18:30~20:30
○会 場: 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提示してください。
○開 演: 18時30分 (開場:18時00分)
○ゲスト: 石阪 丈一(町田市長)
大西 秀人(高松市長)
大豆生田 実(足利市長)
加藤 憲一(小田原市長)
金丸 謙一(館山市長)
小林 常良(厚木市長)
鈴木 康友(浜松市長)
中川 暢三(加西市長)
星野 信吾(富士見市長)
松本 昭夫(北栄町長)
三好 正則(大磯町長)
山田 啓二(京都府知事)
○コーディネータ(予定): 加藤 秀樹(構想日本代表)
○主 催:  構想日本
○定 員:  160名
○フォーラム参加費: 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
○懇親会参加費:   4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/
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参加ご希望の方は、11月25日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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