【No.451】指導重視の本質に立ち返った教育行政
2010.05.13

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J.I.メールニュースNo.451 2010.05.13 発行
「指導重視の本質に立ち返った教育行政」

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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 「指導重視の本質に立ち返った教育行政」
(株)PHP総合研究所 教育マネジメント研究センター長 亀田徹
【2】 事業仕分け担当者(補佐)を急募します
【3】 第154回J.I.フォーラムのご案内 5月27日開催(予定)

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【1】 「指導重視の本質に立ち返った教育行政」
(株)PHP総合研究所 教育マネジメント研究センター長 亀田徹
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かつて文部科学省で仕事をしていたとき、ある会議を開催した。教育委員会担当
者に集まってもらった会場を見て、あることに気づいた。誰がどの県の担当者か、
名前と顔がほとんど一致しないのだ。同僚に聞いてもやはりわからないという。
都道府県教育委員会への指導が職務であるにもかかわらず、文書でのやりとりし
かしていないからだ。
教育行政は、「指導重視」の行政といわれる。戦前、教育は国の事務であり、国
から地方への指揮監督が行われていた。戦後は地方自治の考えのもと、非権力的
な指導助言が教育行政の中心となる。指導助言を通じて自治体や学校の主体的な
活動を促し、教育水準の向上を目指す趣旨である。
教育の質の向上には、地域や学校の実情をよく把握し、個々の状況に応じたアド
バイスが求められる。たとえば、不登校への対応のために行政とNPOとの連携
を推進するとしても、すでにNPOとの意見交換を行っている地域もあれば、こ
れまでまったく連携実績がない地域もある。地域ごとにアドバイスすべき内容は
異なるはずだ。
しかし実態は、一律に通知文書を送ることが指導助言の手段となっている。
地域や学校の状況を把握するには、現地を訪問して話を聴くなどのコストがかか
る。通知文書の送付であれば時間も手間もかからない。したがって、国だけでな
く都道府県も市町村も、指導の必要があるとすぐさま通知文書を送付する。通知
文書の量産により、ひとつの学校に年間200件以上もの通知が届くとの調査もある。
指導助言には拘束力がないため、通知文書に書かれている内容に従うかどうかは、
指導を受ける側が適宜判断すればよいというのが指導する側のスタンスだ。いき
おい指導内容は網羅的になる。その方が「あれもこれも指導しています」と主張
できる。通知文書の送付にどういう効果があったかのフォローもない。
教育行政は「指導重視」の趣旨に立ち返るべきだ。
一方通行の“文書送りっぱなし”ではなく、現場で意見交換・情報交換を行い、
地域や学校のそれぞれの実情に適した自主的な改善を促す。それにかかる時間と
経費は、国や自治体がいま行っている事務・事業のうち優先度の低いものを廃止
してその分をあてる。あわせて、改善を促したことの効果を検証し、検証結果を
公表することも必要と考える。

【2】 事業仕分け担当者(補佐)を急募します
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構想日本では、業務拡大につき事業仕分け担当者(補佐)を急募します。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/municipality_sort/detail.php?m_project_cd=825

【3】 第154回J.I.フォーラムのご案内 5月27日開催(予定)
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次回J.I.フォーラムは5月27日を予定しております。

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