メールマガジン

【No.465】博物館・学芸員として伝えていくこと

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J.I.メールニュースNo.465 2010.08.19 発行
「博物館・学芸員として伝えていくこと」
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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 「博物館・学芸員として伝えていくこと」
利尻町立博物館学芸課長 西谷榮治

【2】 第158回J.I.フォーラムのご案内 9月30日開催

【3】 2010年度自治体の事業仕分け 開催スケジュールはホームページでご覧ください

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【1】 「博物館・学芸員として伝えていくこと」
利尻町立博物館学芸課長 西谷榮治
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日本列島最北端にある利尻島。ここは私が生まれた島です。この島にある利尻町立博物館設
立と同時に学芸員となり、はや30年を迎えます。この小さな利尻島について見極めたいとい
う知的衝動から、先人の歴史に触れてきました。
島に古い弁財天がありました。あるとき、福井市の普門寺に残されていた資料を読解した北
海道開拓記念館の学芸員から「利尻島弁財天」に「奉納普門品一巻」と書かれている資料が
送られてきました。1704年(宝永元年)利尻島に納経と祈願の為に渡った越前の禅僧空念の
記録から、弁財天とは漁業神であり、当時祭られていたことから、和人による漁場がすでに
開かれていたことが明らかになりました。
明治41年に鳥取から運ばれた麒麟獅子が利尻島にあることを知りました。そこは明治20年代
に鳥取からやってきた人々が鰊建網漁を営んでいた地域でした。鳥取から来た人たちだけで
舞っていた獅子舞は、引き継がれることなく途絶え、地域の人たちはすでに、獅子舞の存在
を忘れていました。私は、鳥取から初めに渡って来た人たちが、何故、20年の時間を経て麒
麟獅子を迎えたのかを調べ始めました。地元のご老人はもとより、彼らの出身地鳥取へ赴き、
いろいろ聞き取りしながら調査を進めるうちに、異境の地に来たものの、当初はいつか故郷
へ帰るかもしれないという思いを抱いていた彼らが、やがてここで永住する決意を固め、自
分たちを支える故郷の象徴として、わざわざ麒麟獅子を取り寄せたのではないのかと思いま
した。
昭和31年で終わった鰊漁。昭和20年以降に利尻島の仙法志村の鰊漁場に働きに来た人たちの
漁夫名簿が残されています。調べると移住者の故郷は、青森県が圧倒的に多く、しかも上北
郡の大三沢町、現在の三沢市、六ヶ所村、野辺地町に集中していました。上北郡が多いのは
何故だと思い、青森県で聞き取りや調査をしたところ、太平洋側は東北の冷たい風が農業に
は適さず、北海道への鰊漁場出稼ぎが重要だったと知りました。野辺地町でかつて、利尻島
仙法志村に働きに来た人たちに出会いました。彼らは、利尻島での働いた思い出は懐かしく
忘れられないと、口々に語っていました。
麒麟獅子の調査研究が終わりしばらくして、私が調査に訪れた麒麟獅子の故郷である鳥取市
秋里にある荒木三嶋神社から麒麟獅子舞の復活の依頼がありました。麒麟獅子が残っていた
集落の若い人たちに相談すると、彼らは獅子舞復活に応じてくれることになりました。平成
15年8月に鳥取から舞を教えに一団で利尻島に来てくださいました。翌年の1月には、こちら
から鳥取に舞を習得に行き、6月にほぼ百年ぶりの獅子舞を利尻島で復活することができまし
た。その後、毎年6月20日に獅子舞を舞い続け、今年で7年目。
遙か彼方の鳥取を思い浮かべながら舞う利尻麒麟獅子を見に、島人が集います。かつての利
尻島民の暮らしや歴史を知り、現代から消えた、自然や人生への驚異や敬意を抱いた暮らし
があったことを再認識することで、島民としての誇りや自信を取り戻せる。彼らの笑顔がそ
れを語っています。文化の復活と継続により新しい時代を作る創造性を培えればと、学芸活
動に勤しんでいます。

【2】 第157回J.I.フォーラムのご案内 9月30日開催
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8月のJ.I.フォーラムはお休みです。
次回は9月30日(木)に開催します。詳細は決まり次第、お知らせします。

【3】 2010年度自治体の事業仕分け 開催スケジュールはホームページでご覧ください
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大津市 2010年8月21日(土)
草津市 2010年8月21日(土)、22日(日)開催
大阪市 2010年8月21日(土)、22日(日)開催
※今回の事業仕分けはライブ中継されます

●詳しくは構想日本HPをご覧ください:http://www.kosonippon.org/shiwake/

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