【No.476】コンパクトシティは中小企業を振興する
2010.11.04

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J.I.メールニュースNo.476 2010.11.04 発行
コンパクトシティは中小企業を振興する
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◆◇ 目 次 ◇◆
【1】 コンパクトシティは中小企業を振興する
都市計画家(コミュニティデザイナー)西郷真理子

【2】 第160回J.I.フォーラムのご案内 11月30日開催

【3】 2010年度自治体の事業仕分け 開催スケジュールはホームページでご覧ください

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【1】 コンパクトシティは中小企業を振興する
都市計画家(コミュニティデザイナー)西郷真理子
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~数字のマジックを見抜く発想の転換~
高松市の丸亀町商店街で、食に係る連続イベントを行った際、「未来の食卓」を見た。小
学校の給食をすべてオーガニックにしていくことに取り組んでいる南仏の村を舞台にした
ドキュメンタリーで、本国では思わぬ大ヒットを記録したということだ。葡萄に農薬を散
布する農民が、散布後は鼻血がとまらなくなると語るシーンがあるが、一緒に参加してい
た、地産地消レストランを成功させた「葡萄の樹」の小役丸さんも、かつて同じ経験をし
たそうだ。
沢山の印象に遺るカットの中で、私が気になったのは、専門家が無農薬でない野菜は本当
に安いのだろうかと問いかける場面である。農薬や土地に対する被害、流通にかかるエネ
ルギーの消費などを勘案すれば、実は有機野菜より高価なのではないかいうことだ。環境
などへの外部不経済が価格に内部化されていないという問題は、ズッと前から指摘されて
いて別段新しいことではないが、ツイそんなことは忘れざるを得ないほど日常化しており、
思い出さされるとハッとするのである。
私が取り組んでいる中心商店街の再生にも、同じようなことがたくさんある。商店街は、
郊外大型店に比べて、品揃えが少なく、価格が高く、サービスが悪いと言われる。そして
しばしば従業員一人当たりの売上げが比較される。実際、大型店では従業員ひとりあたり
の年間売り上額は4000~5000万円で、商店街の1000万円程度に比べれば遥かに大きい。
これをもって効率あるいは生産性が比較されるわけだが、ちょっと待って欲しい。これを
雇用問題と捉えれば、同じ売り上げで、商店街の方は何倍もの雇用を生み出すことができ
るということだ。郊外の大型店は、その維持に、中心市街地の商店の何倍ものコストがか
かっているのである。利益も大きいが、それは現地には残らない。中小企業は集積してこ
そ効果があがる。中小企業ががんばることによって地域社会は活性化し、雇用も生み出さ
れる。コンパクトシティ(※)を実現する中心市街地は、そのような場としてきわめて重
要だ。
もっとも、こんな数字のマジックをいくら説いたところで、中心市街地商店街の魅力が顧
客となる市民の目線とズレていては意味がない。中心市街地商店街はどのような役割を果
たすべきなのか、私はここでも大きな錯覚があったと思っている。つまり、商店街が大型
店と同じ品物で競おうとしてきたことである。言い換えれば、中小企業の育成目標を大企
業に置いたところに間違いがある。商売の醍醐味は「どんなに優れた製品も、売る人、使
う人がいなければ、成り立たない」ということである。この原点に立つと、商店街には大
型店では出来ないビジネスの領域が一気に広がる。中心市街地商店街の逆襲はこれからが
本番である。
(※)コンパクトシティ:従来の都市計画を見直し持続可能な都市開発を目指す都市・ま
ちづくりの政策。具体的には「住」を含めた様々な諸活動(「職」・「学」・「遊」「憩」
など)を都市の中心部にコンパクトに集積することで、中心市街地活性化等の相乗効果を
生もうとするもの。

【2】 第160回J.I.フォーラムのご案内 11月30日開催予定
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詳細は決まり次第お知らせします。

【3】 2010年自治体の事業仕分け 11月開催スケジュール
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<2010年11月>
横浜市議     4日(木)
北栄町      5日(金)
富岡市      6日(土)、 7日(日)
深谷市      7日(日)
岡垣町      9日(火)
益田市     13日(土)、14日(日)
越谷市議(施行)14日(日)
加西市     20日(土)
小諸市     21日(日)
松戸市     27日(土)
龍ヶ崎市    27日(土)、28日(日)
●詳しくは構想日本HPをご覧ください:https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/contribution/index.php
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