【No.49】何を目指す?日本の年金制度
2002.05.31

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何を目指す?日本の年金制度
JIニュースNo.49  2002.5.31
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■■ 目次 ■■
1.《政策ラウンジ》何を目指す? 日本の年金制度
2.《5月31日第59回「JIフォーラム」の報告》
3.《お知らせ》
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1.《政策ラウンジ》何を目指す? 日本の年金制度

私たち一体、年金をもらえるの? もらえないの?。 実は、国民が一番
知りたいのはこの部分。でも、様々な立場の人がいろいろな発言をしてい
て、国民は混乱するばかり。構想日本の「年金」プロジェクト・チームが
読者のみなさんの質問に分かりやすくお答えします。
Q. 生まれたばかりのツル吉君は、おとうさんに「いずれは、おまえが私
の年金を払ってくれるようになるんだね。ありがとう。」と、お礼を言わ
れました。どういうことなんでしょう?
A. 現在の年金制度は、実質的には現役世代が支払う保険料を使って、高
齢者に年金を給付する方式。ところが、支払う側の子供の数がドンドン減
ってきているのに、給付される側の平均寿命は伸び続け、すごいスピード
で少子高齢化が進んでしまいました。そのため、保険料収入が年金給付に
追いつかなくなり、年金財政が悪化してしまったのです。それにもかかわ
らず、このままの年金給付を払い続けるためには、保険料を値上げしなけ
ればなりません。生まれたばかりのツル吉君は、膨大な借金を背負うこと
になります。
Q. 保険料がますます値上がりして、年金ももらえるかどうか分からない
なら、何だか払う気がなくなって来ました・・・。

A. 実際、国民年金を払っている人の中には、年金をもらえないのではな
いかと思う人が増えています。しかも、保険料を払う人が減り、財政が一
層、苦しくなりました。
しかし、実は年金は皆さんの保険料だけでまかなわれているのではなく、
国が全体の1/3を負担しています。つまり、皆さんの税金で補填して
いるのです。しかも、政府はこの国庫負担を2004年から1/2に引き上げ
ることを決めました。だから、私たちが、たとえ保険料を支払うのを止め
たとしても、必ず税金から年金財政にお金が回されます。

Q. なぜ、こんな深刻な事態になるまで国は放っておいたのでしょう?。

A. 公的年金は、5年に1度予測して計算された人口を基に、保険料と給
付額の見直しが行われています。これまでは、予測した人口よりも実際の
人口が少なかったため、年金の給付額を減らすとともに、保険料の負担引
き上げを繰り返してきました。しかし、このようなやり方では、根本的な
解決にはならず、ますます国民に年金不信を植えつけてしまいます。その
ためには、国民みなで支払って、誰でも年金をもらえるような方法(皆年
金)を考えた方が良いのか、あるいは、保険料を払いたい人だけが払って、
払った人だけがもらえるようにするのか(保険料)、基本から議論する必
要があります。
どういう年金制度を目指すのか、一方的に国任せにしないで、我々1人
1人が考えなければなりません。
構想日本は現在、将来の年金制度に対して負担と給付を整理するための
フレームワークを作成中です。今後、我々の年金制度のあり方について、
みなさんと共に国民的議論を巻き起こしていきたいと思っています。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/prj/c/?no=09

(文責:「年金」プロジェクト担当 大内隆美)
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2.《5月28日第59回「JIフォーラム」報告》
現在、国民の個人情報に関しては、衆議院で審議されている「個人情報
の保護に関する法律案」が注目を浴びています。みなさんは、これらの法
案を整備する前提となった「住民基本台帳ネットワークシステム」を知っ
ていますか? 住民コードと呼ばれる11桁の番号を国民一人一人に割り振
り、「氏名、生年月日、性別、住所」という4情報を、国・地方を通じて
組織の「壁」を越え、共有・活用するシステムです。システムの全国一斉
スタートは8月5日。約2ヶ月後と迫っています。
政府は、たとえば住所地以外のどこの窓口でも、住民票の写しの交付を
受けとることができるなど、行政サービスが便利になると言います。
一方、こうした個人情報のネットワーク化は、国民総背番号制につなが
るとの声もあります。4情報をもとに、個人のあらゆる情報が簡単に集め
られる「名寄せ」の危険性も指摘されています。
討論者には、システムの必要性と効率性を主張する賛成派と個人情報の
漏洩や不正利用を危惧する反対派、双方の立場を代表する方々をお迎えい
たしました。多数の方々がご参加され、多くの質問が寄せられるなど、白
熱した議論が展開されました。
<討論者>
荒井 広幸(衆議院議員)
伊藤 穰一(株式会社 ネオテニー代表取締役社長)
井上 源三(総務省自治行政局市町村課長)
熊代 昭彦(衆議院議員)
櫻井 よしこ(ジャーナリスト)
清水  勉 (弁護士)
藤井 昭夫(総務省大臣官房審議官・内閣官房内閣審議官)
<コーディネーター>
蟹瀬 誠一(ジャーナリスト)
※当日の議事録は、後日ホームページにて公開致します。当日の模様を収
録したビデオは1本3000円にて販売いたしております(お問い合わせは
info@kosonippon.org までお願いします)。
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3.《お知らせ》
6月8日(土)、NHK衛星第一放送の「インターネット・ディベート」
で、地方の税制、財政がとりあげられます。討論タイトルは、「“地方新
税”は分権の切り札か(仮)」で、片山善博鳥取県知事と神野直彦東京大
学大学院教授、構想日本の加藤秀樹が議論に参加します。
当日は、構想日本と12県の知事より構成される「国と地方の税制を考え
る会」のこれまでの取組みなどをご紹介する予定です。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/debate/

(文責:編集担当 志田 玲子)
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