メールマガジン

【No.499】職人リレーエッセー(15)震災を乗り越えて

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J.I.メールニュースNo.499 2011.04.21発行
職人リレーエッセー(15)
震災を乗り越えて
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【1】 職人リレーエッセー(15) 震災を乗り越えて
(有)熊谷産業 代表取締役 熊谷秋雄

【2】  第164回J.I.フォーラム 4月26日開催予定

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【1】  職人リレーエッセー(15)震災を乗り越えて
(有)熊谷産業 代表取締役 熊谷秋雄
平成23年3月11日午後3時30分頃。茅葺屋根工事を専門にする、私たち熊谷産業の拠点
である石巻市の北上川河口に10mを超える大津波が押し寄せました。津波避難所に指定
された北上総合支所は鉄骨を残すだけの無惨な姿に、そして私たちの事務所や倉庫、
車など全て飲み込まれ、会社のあった集落もそのほとんどが津波に流されてしまいま
した。北上川河口にある中洲のヨシ原で刈り取り作業をしていた従業員は素早く避難し、
幸い全員無事でした。
北上川河口域のヨシ原は、日本でも有数のヨシ原であり、私たちはこのヨシを毎年12月
から3月にかけて刈り取りをし、茅葺屋根の葺替えや補修を行っています。震災当日の
ヨシ原は、地震と津波の影響で泥をかぶり、なぎ倒されていました。1ヶ月経過しヨ
シ原を眺めてみると、いつもの春と同じように着実に新しい芽が出ていました。災害
に負けない、自然の力強さを感じます。
私たちが仕事をさせて頂いた茅葺きの民家も、津波によって被害を受けました。宮城県
気仙沼市の海辺にある尾形家は、2009年に全面葺替をしました。茅葺きの煙出しをもち
サッシをはめ込む事もなく、200年前建築された当時の面影を残す民家でした。
当主である尾形建さんは伝統ある主屋を自分の代で絶やすことなく子孫へ残すべく、
銀行から借り入れをして工事に着手されました。葺替えは3か月を要しましたが、尾形
さんの想いに応える仕事が出来たと自負しています。しかし、完工後1年半も経たない
うちに、この震災で主屋や周りの附属屋は全壊してしまいました。
そんな状況の中、尾形さんは私に電話を下さいました。
「みんな流されてしまったけど、熊谷さんに葺いてもらった屋根は、そのまま残って
いる。ほんとに立派な屋根を葺いてもらったよ。」
大きな茅葺きの主屋は、茅葺き屋根が浮いた状態で津波に流されました。現場で調査
すると屋根はと茅葺きの煙り出しもほぼ現状の形で残っていました。
「民俗博物館から煙り出しの保存の話がある。そこだけでもなんとか残せないか…」
周りでは瓦礫の撤去と捜索が始まり、尾形家も例外ではなく、早い時期の解体を求めら
れています。建築年数、形式など重要文化財指定を受けるだけの格式ある建物でしたが、
ご先祖やご家族の意向により普通の民家として保存されていました。そのため国からの
補助も無く、尾形さんはこれ以上負担を背負うことが出来ない状況です。
しかし、尾形さんの胸の中は、この悲惨な状況を受け入れ、もうすでに前を向かれてい
ます。復興は始まっているのです。私たち職人は、仕事を完成させれば、終わりではあ
りません。方法は?費用の捻出は?どうやれば出来るだろうか…。共に考え、お手伝いを
していきたいと思います。
(構想日本 加藤より)
熊谷さんのお宅も築200年ほどのどっしりとした見事な茅葺の家だった。一軒の茅葺屋根を
葺き替えるには驚くほど大量の茅(実際には葺)が必要だが、お宅から離れた所に保管
されていた大量の葺もすべて流された。
しかし、熊谷さんたちがそれら自分たちのものよりも先に探したのは、改修中の東京駅の
屋根のスレートだった。これらは、第二次世界大戦で破壊された東京駅の屋根を葺くために、
石巻に隣接する登米、雄勝で作られたものだ。
その東京駅の屋根の改修を委託されている熊谷さんたちは、保管中に津波で流された6万
5千枚のスレートのうち、4万5千枚を拾い集めた。
JRは塩害を理由にこのスレートを再び使うことをためらっているようだが、このような
困難をくぐり抜けたスレートを使ってこそ、東京駅はより輝くのだと思う。
のみならず、足りないスレートを外国から輸入するのではなく、竣工時期を延ばしてでも、
登米、雄勝のスレートを使い、地場産業と職人の復興に手を貸してほしい。
公益事業者としてのJRに心から期待したい。
参考記事
東京駅の屋根材も津波被害 スレート、石巻で補修中に
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104160164.html

【2】  第164回J.I.フォーラム 4月26日開催予定
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「原発事故、健康への影響、本当はどうなのか」
原発事故について、新聞やテレビは朝から晩までさまざまな報道を行っています。
しかし事故の状況が改善されているのかどうか、健康にどの程度影響があるのかなど
肝心なことはよくわかりません。よくわからないから不安が募り風評被害も起こります。
さらには日本に対する国際的な信頼も揺らぎます。そこで災害・テロへの医療対応専門医と
原子力の専門家に事故の状況と健康への影響について正確な話を伺う場を設けました。
正確な情報に基づいて私達も浮き足立つことなく適切な行動をとりたいと思います。

○日 時: 平成23年4月26日(火) 18:30~20:30
○会 場: 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提示してください。
○開 演: 18時30分(開場:18時)
○ゲスト  :鈴木 達治郎(内閣府原子力委員会委員長代理)
谷口 武俊(東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻客員教授)
箱崎 幸也(自衛隊中央病院第一内科部長・1等陸佐)
○コーディネーター : 加藤秀樹(構想日本)
○定 員: 160名
○フォーラム参加費: 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
○懇親会参加費: 4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
(http://www.iwaen.co.jp/tameike/)
————————————————————–
参加ご希望の方は、4月25日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
————————————————————–

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