【No.517】割り箸から考える、木づかいのすすめ |認定NPO法人JUON(樹恩) NETWORK理事・事務局長  鹿住 貴之氏|
2011.08.25

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J.I.メールニュースNo.517 2011.08.25発行

割り箸から考える、木づかいのすすめ

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【1】 割り箸から考える、木づかいのすすめ
認定NPO法人JUON(樹恩) NETWORK理事・事務局長 鹿住貴之

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催予定

【3】 仕分けの夏! 次回は8月27日(土)、28日(日)富岡市、大阪市です

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【1】 割り箸から考える、木づかいのすすめ
認定NPO法人JUON(樹恩) NETWORK理事・事務局長 鹿住貴之

私が所属するJUON NETWORK(樹恩ネットワーク)は1998年に大学生協の呼びかけにより設立されました。大学生協が、阪神淡路大震災を受けて
仮設の学生寮を建設した際に、徳島県三好郡(現三好市)の林業関係者
から間伐材製のミニハウスを提供してもらったことがきっかけです。都
市と農山漁村の人々をネットワークで結ぶことにより、環境の保全改良、
地方文化の発掘と普及、過疎過密の問題の解決に取り組むことを目的と
し、森林ボランティアの養成などを行ってきました。

私たちが最も力を入れているのが森林保全活動です。その一環として、
国産間伐材製「樹恩割り箸」の普及推進を行ってきました。食堂を経営
する大学生協と関係をもつ団体ならではの特徴的な取り組みで、現在は
73大学生協213店舗での使用を中心に、県庁食堂や飲食店、学園祭や市
民祭り等で年間1000万膳以上が利用されています。

「環境を守るのに割り箸?」と思われるかもしれません。しかし、日本
の森林がきちんと手入れされるようになるためには、木が適切な価格で
利用されることが大切です。また、環境負荷を考えるならば、外国から
来る外材ではなく、間伐材、地域材、国産材と呼ばれるような、なるべ
く近くの山の木を使う必要があります。

最近はマイ箸ブームであり、飲食店でも割り箸からプラスチックのリユ
ース箸への切り替えが進んでいます。ところが、リユースできる樹脂箸
は、有限な資源である石油からできた製品であり、製造はほぼ中国で行
われています。また、リユース箸の洗浄にはエネルギーやコストが相当
かかっています。そのため、大手飲食チェーンにはリユース箸から国産
割り箸に切り替え始めているところもあります。

木製のマイ箸だとしても原料はほぼ外国の材です。金属で接合する携帯
タイプのものもありますが、この金属も日本で採れるわけではありませ
ん。しかも、金属を加工するには木材を加工するのとは比較にならない
ほどのエネルギーを使います。勿論、ライフスタイルを再考するという
意味で、否定するものではありませんが、単純にマイ箸がよいとは言え
ないのです。

少し言葉の整理をしておくと、一般に、木材の収穫のために行なう伐採
を主伐、森林の保育のために行なう伐採を間伐と言いますが、間伐は森
林の保育だけでなく間伐材の利用も目的としています。つまり、間伐を
し、その材を利用しながら、さらに太い木を育てていくのです。間伐材
と言うと細い木を想像するかもしれませんが、数十年生級の木を間伐す
ることもあるのです。林業は植林に始まり、間伐し、主伐し、そしてま
た植林に戻るというサイクルです。最終的に木材を収穫する主伐がなけ
れば林業は成り立たないということや、限りある地下資源よりも再生産
可能な資源である木を使うことの方が環境によいということを伝えてい
くことが、今後の課題です。

かつての日本は、森林等の自然を育てては利用する、持続可能な社会で
した。勿論、昔に戻ることはできません。しかし、かつての日本の暮ら
しには、社会を今後持続可能にするためのヒントがあると思います。国
連が定めた「国際森林年」である今年、森林と人との関係や「木づかい」
について考えてみませんか。東日本大震災からの復興においても、国産
材・間伐材の利用を望んでいます。

鹿住 貴之(かすみ・たかゆき)
1972年生まれ。98年大学生協の呼びかけで設立された、都市と農山漁村
を結ぶNPO法人JUON(樹恩) NETWORKに事務局スタッフとして参画。99年3月より事務局長。その他、東京ボランティア・市民活動センター主催「市民社会をつくる ボランタリーフォーラム」実行委員長、NPO法人日本NPOセンター理事、NPO法人森づくりフォーラム理事等様々な市民活動に携わっている。著書に『割り箸が地域と地球を救う』(創森社・共著)等。

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催予定
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詳細は決まり次第お知らせします。

【3】 仕分けの夏! 次回は8月27日(土)、28日(日)富岡市、大阪市です
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◆富岡市(2)(群馬県)

日時: 8/27(土)9:00~17:00
会場: 富岡市生涯学習センター
お問合わせ先: 企画政策課(TEL0274-62-1511代表)
対象事業数: 9事業程度

◆大阪市(4)(大阪府)

日時: 8/27(土)10:00~16:00
会場: 港区民センター、東成区民センター

日時: 8/28 (日)10:00~17:20
会場: 大阪市職員人材開発センター

お問い合わせ先: 市政改革室行政評価担当(TEL06-6208-9758)
対象事業数: 24事業

※( )内の数字は実施回数。

*今後のスケジュールなど、詳しくは構想日本HPをご覧ください。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/contribution/index.php

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