【No.518】ポートランド訪問記(1)公(Public)という庭の志高き庭師を目指して
2011.09.01

■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

J.I.メールニュースNo.518 2011.09.01発行
ポートランド訪問記(1)
公(Public)という庭の志高き庭師を目指して

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■

【1】 ポートランド訪問記(1)
公(Public)という庭の志高き庭師を目指して
山形市役所まちづくり推進部都市政策課
2011年度東京財団週末学校研修生 後藤好邦

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催
「若者にとって政治とは」(仮)

【3】 自治体の「事業仕分け」 9月は2県、2市で実施

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

【1】 公(Public)という庭の志高き庭師を目指して

山形市役所まちづくり推進部都市政策課
2011年度東京財団週末学校研修生 後藤好邦

構想日本が「事業仕分け」の講座を担当した東京財団主催の市区町村職員研修
プログラム「週末学校」。そのプログラムの一環で住民自治の先進地域
ポートランドに行った全国の基礎自治体の職員の声を、これから3回にわたって
お伝えします。

***
バラの都、オレゴン州ポートランド。人口58万8千人の緑あふれるこのまち
は、住民自らが地域のことを考え、話し合い、行動する、そんな住民自治が
息づく活気ある魅力的な場所だった。
ポートランドには、地域住民に身近な問題(公園の管理や土地利用のあり方
など)の検討や住民と行政とのさまざまな調整を行うネイバーフッド・アソシ
エーション(以下、「NA」)という地域住民団体が存在している。日本で
いえば差し詰め自治会、町内会といった感じであろうか。しかし、NAで下さ
れた最終決断が地域を代表する意見となり、多方面にわたり拘束力を持つと
いう点では日本の自治会とは大きく異なっていた。このようにNAが強力な
権限を有している理由は、投票により選ばれたリーダーが中心となり、住民
とのミーティングを重ねながら地域が抱える課題に対応しているので、NAの
決断=住民の意思という構図が出来上がっているためである。この仕組みこそ
が、ポートランドが住民自治の先進地といわれる所以だと感じた。

このような状況のなか、我々と同じ自治体職員はどのような役割を果たして
いるのだろうか。そのことを理解するうえで、大変興味深いお話をポートラン
ド市の職員であるDaniel G Vizzini氏からお聞きすることができた。
彼によれば、「公(Public)を庭に例えると、庭の主役である木
や草花、苔や昆虫は住民と喩えることができるだろう。つまり、公
(Public)の主役は行政でも議会でもなく、あくまでも住民である。
そして、この庭の主役である動植物たちが生き生きと生息してこそ良き庭とい
える。われわれ自治体職員は、この公(Public)という庭の中で、木や
草花に喩えられる住民たちが生き生きと活動できるように環境を整える庭師で
なければならない。」

この話から、ポートランドでは公(Public)の主役は住民であり、自治
体職員は住民が活動しやすいように環境を整える黒子の役割に徹していると
感じることができた。一方で、日本はどうだろうか。もしかすると日本の自治
体職員の多くが、自らを公(Public)の主役と感じているのではないだ
ろうか。もちろん、ポートランドを訪問するまでは、私自身もそのような自治
体職員の一人だったに違いない。
日本とポートランドを比較すると、確かに文化や制度の違いはある。しかし、
一方で共通している部分もたくさんあるように感じた。例えば、日本にも自治
会が中心となった、住民同士の協議の場は現状でもある。しかし、公
(Public)の主役と勘違いした我々自治体職員は、もしかしたら、その
ような状況を知ろうとしていないのではないか。あるいは、知っていたとし
ても、それを公(Public)ではないと勝手に決め付け、自分たちの活動
の邪魔になる阻害要素だと決めつけているのではないか。このような状況を
Vizzini氏の比喩に当てはめると、庭に関する知識がない無知な庭師、
あるいは大切な庭の木を切ってしまい、花びらを散らしてしまうような駄目な
庭師ということになるのであろう。
ポートランド視察を終えいま感じること、それは、公(Public)という
庭の主役である住民たちが生き生きと活動できるように、環境を整える志高き
庭師になりたいということである。そのためには、もっと地域に出て住民の声
に耳を傾け、「公(Public)とは何か」という答えを探し続けなければ
ならない。いつか多くの自治体職員が素直な気持ちで住民の声に耳を傾けるこ
とができる庭師となった時こそ、住民が生き生きと活動できる、住民自治が
息づくまちが日本各地にあらわれるのではないだろうか。

***
東京財団週末学校の詳細はこちらをご覧ください。
http://tkfd-shumatsu-gakko.jp/schedule.html

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「若者にとって政治とは」(仮)
ゲスト:荻上チキ
他、社会の問題解決にチャレンジしている若者達複数

【3】 自治体の「事業仕分け」 9月は2県、2市で実施します!
――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆長野県(2)
日時: 9/3(土)、4(日)、5(月)9:30~16:45
会場: 3日、伊那会場  4日、5日、長野会場
お問い合わせ先: 総務部行政改革課(TEL026-235-7028)
対象事業数: 50事業

◆鹿沼市(2)(栃木県)
日時: 9/3(土)9:00~17:00
会場: 市民情報センター
お問い合わせ先: 総務部総務課行政経営係(TEL 0289-63-2159)
対象事業数: 16事業

三重県(2)
日時: 9/17(土)、18(日)9:00~17:00
会場: 三重県総合教育センター
お問合わせ先: 総務部予算調整室(TEL059-224-2216)
対象事業数: 40事業程度

加東市(兵庫県)
日時: 9/25(日)9:15~17:10
会場: 滝野図書館、滝野文化会館
お問合わせ先:企画政策課(行政推進係)(TEL TEL0795-43-0388)
対象事業数: 16事業

※ ◆の付いている自治体は、仕分け人の議論に基づいて市民が判定を
する「市民判定人方式」での実施。
( )の中の数字は実施回数。

*お問い合わせ:構想日本 西田/田中/森山03-5275-5607
*今後のスケジュールなど、詳しくは構想日本HPをご覧ください。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/contribution/index.php

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●JIメールニュースは、政策シンクタンク「構想日本」の活動情報などをお
届けする無料のメールマガジンです。1.代表及びスタッフが名刺交換さ
せていただいた方、2.ホームページで直接購読を申し込まれた方にお
送 りしています。配信停止をご希望の方は、「配信停止希望」と明記の
上、このメールマガジンにご返信ください。

●登録・配信停止・アドレス変更は、news@kosonippon.org へご連絡いた
だくか、https://www.kosonippon.org/wp-manager/mail/regist.php で手続きしてくださ
い。

●みなさんの個人情報は、構想日本が厳重に管理し、構想日本の活動
に関わるご案内をお送りする以外、使用することはありません。

●転載は大歓迎ですが、「構想日本 JIメールニュースno.xxxより引用」の
ように、一言添えていただければ幸いです。また、info@kosonippon.org
宛てに転載の旨、ご一報いただければ幸いです。

●みなさんのご意見をお待ちしています(800字以内でお願いします)。
info@kosonippon.org
いただいたご意見などは、バックナンバーと共に「読者の声」として以下
に掲載しています。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/mail/index.php
不掲載をご希望の場合は、必ずその旨を明記して下さい。また、氏名、肩
書きは、特にご指示がなければそのまま掲載します。イニシャル、匿名、
ハンドルネーム使用の場合は必ず明記して下さい。なお、盗作、名誉毀損、
人権侵害、差別的な記述などの投稿は禁止いたします。

●好評の「ポリ吉ブログ」もご覧下さい。 http://blog.kosonippon.org/

●過去の「ワンクリックアンケート」の投票結果をご覧いただけます。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/enquete/backnumber.php

●書籍『入門 行政の「事業仕分け」』、『構想日本』シリーズの第1~4巻
など、好評発売中です。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/books/index.php
●構想日本提供の「政治家・政策データベース」もご覧下さい。
http://db.kosonippon.org/

□■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
発行 : 構想日本、発行責任者 : 加藤秀樹
info@kosonippon.org
https://www.kosonippon.org/wp-manager/
Copyright(C) 1999-2011 -構想日本- All rights reserved.
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□