【No.520】ポートランド訪問記(3)ポートランドが生み出す住民主体のまちづくり
2011.09.15

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J.I.メールニュースNo.520 2011.09.15発行
ポートランド訪問記(3)
ポートランドが生み出す住民主体のまちづくり

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【1】 ポートランド訪問記(3)
ポートランドが生み出す住民主体のまちづくり
八戸市役所総務部行政改革推進課
2011年度東京財団週末学校研修生 榊 亜衣理

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催

【3】 事業仕分け 次回は9月17日(土)、18日(日)三重県です

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【1】 ポートランド訪問記(3)
ポートランドが生み出す住民主体のまちづくり
八戸市役所総務部行政改革推進課
2011年度東京財団週末学校研修生 榊 亜衣理

構想日本が「事業仕分け」の講座を担当した東京財団主催の市区町村職
員研修プログラム「週末学校」。そのプログラムの一環で住民自治の先
進地域ポートランドに行った全国の基礎自治体の職員の声を、3回にわた
ってお伝えしています。

***
広大なウィラメット川と森に抱かれ、都市と自然が美しく調和する都市、
ポートランド。しかし、このまちは単に「自然に恵まれた美しい都市」
という表現には留まらない素晴らしさを秘めていた。この場をお借りし、
私がポートランドで見た「住民主体のまちづくり」の様子を報告したい。

まず、都市の中心部を実際に歩いてみると人口60万人の都市とは思えな
い静けさに驚く。その理由にしばらくして気がついた。自動車が少ない
のだ。代わりに、充実した公共交通機関が住民の足として身近にある。
住民に聞くと、公共交通が便利だから、車がなくても不自由がないのだ
そうだ。

加えて、驚いたのは、人が道路を横断しようものなら必ず自動車が先に
止まるということ。また、歩行者だけでなく、自転車に対しても決して
無理な追い抜きをしないなど配慮が感じられる。自転車で市内探索をし
た研修生の中にはそれを実感した人もおり、初めて訪れたまちを走る不
安もすぐに消えたという。このまちでは、歩行者と自転車を優先するマ
ナーが住民の中に深く浸透している。

次に印象に残ったのは人だ。住民は気さくで、何でも話をしてくれる人
が多い。住民にインタビューを行った際にそれを実感した。日本であれ
ば警戒して避けられてしまうのが大方だが、ポートランドでは様子が違
うのだ。どの人も快く対応してくれる。少しはにかみながら話してくれ
た愛犬連れの年配の男性。ネイバーフッド・アソシエーション(以下、
NA)の会合で出会った豪快に笑う顔が素敵な女性。私たちの質問に対
する賛否やその理由は三者三様だが、どの人も根底には明確な自分の考
えを持っていた。

滞在中、NAの会議を2度傍聴する機会に恵まれた。そこでは年代、性別、
人種も様々な住民が集まり、活発に意見を交わす。例えば、新路線の整
備を通して地域の活性化を図りたいとする行政に対し、バス停の設置場
所、住居建替え等に対する制限の有無から開発の費用対効果まで、積極
的な質疑応答がなされる。このやり取りを約1年間かけて行い、地域の総
意を固めるのだという。そこには、「地域のため、みんなのためにはど
うしたらよいのか」と、熱心に議論する住民の姿があった。

公共交通機関を運営するTRIMET社で聞いた言葉も印象に残る。「無料ゾ
ーンの政策変更について、もし最終的に住民の合意が得られなかったら、
TRIMETはどういう判断を下したか」という質問に対して、「合意が得ら
れなかったら政策変更はしなかった」という答えが返ってきた。利害関
係者である住民や企業と2年もかけて合意形成に取り組み、それでも、
最終的に合意が得られなければ政策変更はしないというのだ。それほど
までに、このまちにおける政策決定過程の中心には常に住民の存在があ
る。

ポートランドのまちづくりは、「公」=「官」の日本とは決定的に違う、
「公」=「民」がうまくいっている典型例だった。そこからは、「自分
たちのまちのことは、自分たちで決める」という覚悟と心意気が伝わっ
てくる。住民が地域の一員としてまちの課題を共有し、解決に向け議論
し、行動する。それを通して、まちはつくられ、住民も共に成長してい
く。これこそが持続可能な社会を実現していく大きな鍵となるに違いな
い。希望に満ちた私たちのまちをつくっていくために、地域と真正面か
ら向き合い、住民と地域の豊かさを育み、変化を起こしていくこと。そ
れが自治体職員の一人として自分に課せられた使命であると信じている。

***
東京財団週末学校の詳細はこちらをご覧ください。
http://tkfd-shumatsu-gakko.jp/schedule.html

ポートランドでの研修プログラムに関するレポートもあわせてご覧くだ
さい。
http://tkfd-shumatsu-gakko.jp/report/2011/vol06/portland1.html

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催
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「若者が実践し、考える『政治の中身』」

新内閣になり、マスコミ各社が発表する「支持率」が上がりました。今
や、政治や政治家に対する信頼感は地に落ちた状態だと思われますが、
最後の期待感の表れなのかも知れません。一方で、病気、障がい、雇用、
人権、環境、地場産業など、目の前にある難問と格闘している人は日本
中に数多くいます。プロの政治家が虚しく時間を費やしている間に、
「政治の中身」を自分たちで何とかしようという動きです。今回は、そ
の中でも、特に若者に集ってもらいました。聞き飽きたような政治制度、
政治家批判ではなく、現場を踏まえた、若者による「政治の中身」論で
す。日本の将来をここに期待したいと思います。

○日 時: 平成23年9月28日(水)

○会 場: 日本財団ビル2階・大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリテイの都合上、本案内状を会場1階で提出してください。

○開 演: 午後6時30分(開場:午後6時00分)

○ゲスト: 五十嵐 立青 (障がい者雇用農園、ごきげんファーム代表理事/つくば市議会議員)
大野 更紗  (難病患者、『困ってる人』作者)
川添 高志  (ワンコイン検診発案、ケアプロ(株)代表取締役)
土井 香苗  (弁護士/ヒューマン・ライツ・ウォッチ・東京ディレクター)※調整中

○コーディネーター: 荻上チキ (シノドスweb編集長)

○主 催: 構想日本(代表 加藤秀樹)

○定 員: 160名

○フォーラム参加費: 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会参加費: 4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
※懇親会をキャンセルされる場合は必ずご連絡くださいますようお願いいたします。
懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
(http://www.iwaen.co.jp/tameike)

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参加ご希望の方は、【9月27日まで】に出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org

お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
※懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。
——————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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【3】 事業仕分け 次回は9月17日(土)、18日(日)三重県です
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◆三重県(2)

日時: 9/17(土)、18(日)9:00~17:00
会場: 三重県総合教育センター
お問合わせ先: 総務部予算調整室(TEL059-224-2216)
対象事業数: 40事業程度

※( )内の数字は実施回数。

*今後のスケジュールなど、詳しくは構想日本HPをご覧ください。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/contribution/index.php

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