メールマガジン

【No.521】求職者支援制度のトリレンマ

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J.I.メールニュースNo.521 2011.09.22発行

求職者支援制度のトリレンマ

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【1】 求職者支援制度のトリレンマ
労働政策研究・研修機構統括研究員 濱口桂一郎

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催

【3】 事業仕分け 次回は9月25日(日)加東市です

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【1】 求職者支援制度のトリレンマ
労働政策研究・研修機構統括研究員 濱口桂一郎

第二のセーフティネットという触れ込みのいわゆる「求職者支援法」が
10月1日から施行される。この制度は、雇用保険制度のセーフティネ
ットとしての不完全性(カバレッジの狭さ)が主たる動因となって創設さ
れた。施行を目前に控え、この制度自体が抱える本質的なトリレンマ
(三重の矛盾)について指摘しておきたい。

まず、そもそも労働市場のセーフティネット(=雇用保険制度)には本
質的なジレンマ(二つの目標が両立しがたいこと)がある。一方では生
活保障制度として、労働者が失業によって失う所得の補償を目標として
おり、同時に、他方では雇用政策手段として、失業者ができるだけ速や
かに再就職できるよう援助することを目標としている。この二つの目標
は必ずしも整合的ではない。なぜなら、お金がもらえる間は就職したが
らないなど、セーフティネットとしての性格が却って再就職促進を阻害
するモラルハザードとして逆機能することが多いからである。

今回の求職者支援制度の最大の特徴は、セーフティネットを広げること
によるモラルハザードの懸念を、職業訓練の受講を条件とするというア
クティベーション型政策(雇用訓練施策や制裁措置によって、給付への
依存から就労自立に向けて促進すること)によって解消しようという制
度設計になっている点である。さもなければ、この制度は、窓口が福祉
事務所から公共職業安定所に代わっただけの、第二の生活保護となって
しまうからだ。

ところが、この職業訓練の受講という条件は、制度に(生活保障と再就
職促進に加えて)職業能力の向上という三つ目の目標を持ち込むことで
もある。もちろん、アクティベーション戦略においては、職業能力の向
上が再就職の促進につながり、生活保障から脱却できることになるはず
であるが、制度には常にその裏をかこうとする者が現れる。訓練を受け
ている間は毎月10万円がもらえるのなら、お金のために受けたくもな
い訓練を受ける者が出てくる。そういう者が受講者の多くを占めるよう
になれば、そこに起こるのは一種の「学級崩壊」である。

このモラルハザードを防ごうとすれば、訓練への入口でその意欲を厳し
く判定する必要がある。しかし、それは裏返して言えば、本制度のセー
フティネットとしての役割を限定するということでもある。ここに、生
活保障と就職促進と職業能力向上という本制度の三つの目標がお互いに
矛盾し合うトリレンマが存在するのである。

このトリレンマを完全に解消することは本質的に不可能である。しかし、
あえていえば、生活保障という目標のために存在する第三のセーフティ
ネット(生活保護)がしっかりしていることで、訓練意欲のない者を生活
保障のためにこの制度で引き受ける必要性は最小限のものになるだろう。

濱口 桂一郎(はまぐち・けいいちろう)
1958年生、1983年労働省入省、東京大学客員教授、政策研究大学院大学
教授を経て現職。

*濱口氏の最新刊『日本の雇用と労働法』(日経文庫)が好評発売中、著
作や発言等は以下のサイトからご覧になれます。
<hamachanの労働法政策研究室>
http://homepage3.nifty.com/hamachan/

濱口氏のブログはこちらです。
<hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)>
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/

【2】 第169回J.I.フォーラム 9月28日(水)開催
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「若者が実践し、考える『政治の中身』」

新内閣になり、マスコミ各社が発表する「支持率」が上がりました。今
や、政治や政治家に対する信頼感は地に落ちた状態だと思われますが、
最後の期待感の表れなのかも知れません。一方で、病気、障がい、雇用、
人権、環境、地場産業など、目の前にある難問と格闘している人は日本
中に数多くいます。プロの政治家が虚しく時間を費やしている間に、
「政治の中身」を自分たちで何とかしようという動きです。今回は、そ
の中でも、特に若者に集ってもらいました。聞き飽きたような政治制度、
政治家批判ではなく、現場を踏まえた、若者による「政治の中身」論で
す。日本の将来をここに期待したいと思います。

○日時: 平成23年9月28日(水)

○会場: 日本財団ビル2階・大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提出してください。

○開演: 午後6時30分(開場:午後6時00分)

○ゲスト: 五十嵐 立青 (障がい者雇用農園、ごきげんファーム代表理事/つくば市議会議員)
大野 更紗  (難病患者、『困ってる人』作者)
川添 高志  (ワンコイン検診発案、ケアプロ(株)代表取締役)
小沼 大地  (特定非営利活動法人 クロスフィールズ 代表理事)

○コーディネーター: 荻上チキ (シノドスweb編集長)

○主催: 構想日本(代表 加藤秀樹)

○定員: 160名

○フォーラム参加費: 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会参加費: 4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
※懇親会をキャンセルされる場合は必ずご連絡くださいますようお願いいたします。
懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
(http://www.iwaen.co.jp/tameike)

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参加ご希望の方は、【9月27日まで】に出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org

お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
※懇親会直前キャンセルの場合は、キャンセル料を申し受けます。
——————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
*今後の開催予定日: 10月25日、 11月30日、12月21日

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【3】 事業仕分け 次回は9月25日(日)加東市です
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◆加東市(兵庫県)

日時: 9/25(日)9:15~17:10
会場: 滝野図書館、滝野文化会館
お問合わせ先:企画政策課(行政推進係)(TEL TEL0795-43-0388)
対象事業数: 16事業

*今後のスケジュールなど、詳しくは構想日本HPをご覧ください。
http://www.kosonippon.org/shiwake/contribution/index.php

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