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【No.54】日本には自由主義を育てる土壌があるのか?

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日本には自由主義を育てる土壌があるのか?
JIニュースNo.54  2002.7.5
窓口はこちら! news@kosonippon.org
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■■ 目次 ■■
1.《コラム》日本には自由主義を育てる土壌があるのか?
2.《J.I. Action Summary》
3.《お知らせ》
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1.《コラム》日本には自由主義を育てる土壌があるのか?

最近、ちょっと悩んでいることがある。バブルの崩壊以降、細川政権
の規制緩和を始めとして、日本は従来の「官」が統治する仕組みから、
個人の自己責任をベースとした自由主義に基づく社会へと、様々な制度
改変を進めてきている。しかし、果たしてこのような仕組みが成り立つ
土壌と心構えを現在の日本の社会や国民はもっているのだろうか。

自由主義社会とは、個々の国民がそれぞれ、自らの社会に対する責務
を認識し、その役割を果たすことではじめて成り立つものだ。そして、
その仕組みを支えるために、さまざまなルールが国民の間で共有されな
ければならない。

例えば、IPO(initial public offering:株式新規公開)とは、会
社の成長資金を株式という形で一般投資家から募り、その調達した資金
によって、会社は顧客に対するサービスを更に充実したものにするとい
うのが本来の趣旨であるはずだ。

しかし、“ITバブル”と呼ばれた時期、現実にIPOを目指した会社が、
本当に顧客に対するサービス向上のために投資する計画があったのか?
実際は、創業者のキャピタルゲインだけが目的だったケースが圧倒的に
多かったのではないか?

結局、法律に違反しなければ何をやってもよいという風潮が日本社会
で強まりつつあるのではないか? 銀行の中小企業貸付に対して政府に
よる行政指導が行われているが、これだって政府から与えられた数字さ
え達成すれば良いという考え方が圧倒的だ。

それ以外の観点から、経済に貢献するという目的で中小企業向け貸付
を実施している銀行がどれだけあるのか?
何も、むやみに不良資産を増やすようなことをしろというのではない。
でも、真剣に審査すればもっと将来性のある会社があるのではないか?

かたや、何か好ましくない結果が出ると、相当な無理をしてでもとに
かく、責任回避をしようとするのも、また日本的特徴のように思える。
桶川の女子大生殺人事件での埼玉県警の対応や東京女子医大の手術ミス
隠ぺい事件、肉骨粉ほか最近の食品関連の不正表示問題など、枚挙に暇
がない。
そして、昨年の商法改正では、株主代表訴訟の損害賠償額を、取締役
の年収の一定限度までに制限できるようになった。

取締役の過失によって会社に損害を与えた場合、何故、その損害賠償
額が制限されるのか? 最初から、責任回避を制度化するなどというの
は、どう考えてもおかしい。

自由主義は、イギリスやフランスの国民がまさに血を流して獲得して
きたものだ。そして、それを今、もっとも謳歌している国がアメリカだ
ろう。アメリカでは、これを守るためのルールづくりを、また、ルール
に違反した者の責任を追及するための仕組みを、長い歴史をかけて作り
上げてきた。
そのアメリカですら、“一流企業”ともてはやされたエンロンやワー
ルドコムのような会社で粉飾決算の問題が起こり、更に、企業組織内で
様々な監視の仕組みが必要だという議論が出ているのが現実だ。

その現実に直面した時、ルールを守ることも出来ず、ひたすら責任を
回避することが常態化している日本で、本当に自由主義に基づいた社会
の形成ができるのか、不安に思うというのが正直なところだ。

経済の閉塞状態から脱却するために、「コーポレート・ガバナンス」
とか「企業再生」とか、様々な分野でアメリカの手法が導入されつつあ
るが、これを使いこなせない日本は、アメリカよりもひどい“マネーゲ
ーム”の社会に陥ってしまうのではないか?
ひょっとすると、日本はがんじがらめの規制の方が結果として、望ま
しい国なのではないか?
この問題は、国民みなが真剣に考えるべき重要な問題だと思う。

読者のみなさん、是非、ご意見をお寄せ下さい。

(文責:構想日本政策委員 丹治幹雄)
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の6月の主な活動状況(政策プロジェクト)■

(1)外交
外交機能の強化に向けた提言作成(7月末リリース予定)
・構想日本のホームページ上に設けた掲示板で議論を展開中
http://www.kosonippon.org/bbs/index2.php3?i_forum=5
(2)官と民:公益法人改革
民法34条改正を含む、非営利活動法人制度の抜本的改革に向け
たプロモーション
・自民党行政改革推進本部・公益法人委員会に参考人として出席
(6/6)
・内閣官房行政改革推進事務局による「公益法人制度の抜本的改革」
に関する有識者ヒアリングで意見陳述(6/12、17)
(3)国と地方:税財政改革
4~5月に行った4県の国と地方の事業仕分け結果を分析
・地方交付税改革、自治体の自主財源強化など、国と地方の税制のあり
方についての提言につなげる

(4)医療制度改革
医療の質を高めるために不可欠な医療情報の開示を促す制度創設に向
けた提言づくり
・医療情報のネットワーク化を実施している医療機関へのヒアリング
など
(5)特殊法人改革
政府の第三社機関、「道路関係4公団民営化推進委員会」発足に伴い、
外部の有識者・財界人・ジャーナリストなどが参加して、委員会の議
論を監視する「シャドー・コミッティー(影の委員会)」を準備中
・「本物の民営化」を成功させるためには、腕力はあるが、少数の抵抗
力に牛耳られないよう、腕力はないが、多数の国民が声をあげること
が必要です。
今後の「道路関係4公団民営化推進委員会」の議論に対する監視と
「本物の民営化」へのサポートを続けていきましょう。

上記のほか、「年金改革」、「教育改革」、「公職選挙法制度改革」な
どの政策プロジェクトが進行中。
詳しくは、 http://www.kosonippon.orgまで。

(文責:政策ディレクター 冨永朋義)
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3.《お知らせ》

7月10日(水)から3日間、「九州発見塾 2002」佐賀大会が開催されま
す。「九州発見塾」は、九州各県の連携やネットワーク化による九州地域
の活性化を目指し、新しい社会システムにどう対応していくのか、自立し
た個人とコミュニティ創造に向けた取組みについて議論する場で、佐賀、
大分合同、西日本、長崎、熊本日日、宮崎日日、南日本新聞社の各社が共
同主催するイベントです。
総合コーディネーターは草野厚氏(慶應義塾大学教授)、講師は志賀秀
一氏(東北地域環境研究室室長)、西一浩氏(シンコーシステム代表取締
役)などが務めます。
初日は、開会式に続いて、構想日本の加藤秀樹が基調講演を行います。
講演テーマは、今、日本が直面している社会経済システムの「変革の時代」
の本質や「変革の時代に挑む」社会、コミュニティ、個人の課題と今後の
進むべき方向性について、熱く語ります。みなさんのご参加をお待ちして
います。

日 時:2002年 7月10日(水) 14時30分~15時30分
場 所:マリトピア(佐賀県佐賀市新栄東三丁目7-8
TEL.0952-23-0111)
※当日、このメルマガを読んでお越し頂いた方は、聴講券を不用とさせ
ていただきますので、受付で「構想日本のメルマガを見ました、一般
聴講です。」と、お申し出ください。尚、一般聴講は入場無料です。
詳しくは、以下の連絡先までお問い合わせください。
佐賀新聞社東京支社  古川 孝和
TEL:03-3545-1831 FAX:03-3546-1349
E-mail:furutaka@saga-s.co.jp
URL http://www.symponet.com/hakken
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