【No.548】“国民に呼びかける国政”への期待
2012.04.05

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J.I.メールニュース No.548 2012.04.05発行

“国民に呼びかける国政”への期待

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【1】 “国民に呼びかける国政”への期待
草加市副市長(前:構想日本政策担当ディレクタ-) 中村 卓

【2】 第176回J.I.フォーラム 4月25日(水)開催予定

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【1】 “国民に呼びかける国政”への期待
草加市副市長(前:構想日本政策担当ディレクタ-) 中村 卓
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構想日本を離れ、草加市の副市長となって1年が過ぎた。あっと言
う間だったが、振り返って思うことは、地域での市民の意識や行動
の大きな、また急速な変化である。草加市では、福祉から安全・安
心なまちづくりまで、様々な分野の市民活動が活発だが、最近では、
分野を超えた連携が広がり、地域に元気を与えている。特に東日本
大震災以降、市民が地域でつながりあうことの大事さが再認識され、
活動が一層活発になってきた。「自分たちのまちのために、自分た
ちが何をできるか」を考え、行動しようとする人が増えてきたと感
じる。

市もこうした動きに元気づけられ、今年の市長の施政方針演説では、
市民どうし、また市民・市議会・行政の連携、結束こそが「つよい
まち」をつくるというメッセージを届けた。「行政だけでできるこ
とには限界がある。つながり合って、一緒に頑張りましょう」とい
う呼びかけである。以前なら行政の責任転嫁などと批判されかねな
い呼びかけだが、議会も含めて、かなり共感が得られたようだ。そ
れは、これから先の時代に待ち受ける試練は、市民どうしの支えあ
い、市民ぐるみの地域社会づくりがなければ乗り越えて行けないと
いう危機意識が広がりつつあるからであろう。

この危機意識の広がりは、多くの自治体に共通する。危機への対応
として、首長による快刀乱麻に期待を集める自治体もあるが、多く
の自治体では、職員の頑張りと住民の主体的活動を呼びかけ、自分
たちのまちの公共分野を地域の総力で支えることで、この先の試練
を乗り越えようとする努力が続けられている。

一方、国はどうだろう。地方にいて感じるのは、国と国民との間に
大きな隔たりがあることだ。我が国では、敗戦後、国民は新たな憲
法下で主権者となったが、それからも国民の多くは、国と距離を置
き続けている。国民にとって、国とは対岸から何かを要求する対象
であり、貧困者に限らず、財界人までもがお金を引き出そうとする
標的となってきた。国の政治は、ひたすらこれに応えることを使命
とし、そのためか、為政者から国民に向け、「この国をみんなで支
えよう」と呼びかける言葉を聞いたことがない。この戦後型請負政
治が行き着いた果ての危機的状況に、国は喘ぎ、窒息しつつあるの
ではないか。

今や、国民の多くは国の危機を知り、政府があらゆる公共的要求を
請け負い続けることの限界を知っている。国との距離も、事業仕分
けなどを通じて国政の実態が明らかになるにつれ、少しずつ近づき
つつあるように思える。しかし、国が危機に直面していても、それ
を自分たちの問題と捉え、行動する国民の動きは見えにくい。為政
者からの呼びかけがないことで、国民は、これまで通り対岸に居続
けたままでよいと思っているのではないだろうか。

国の危機は、すでに進行しつつある。できもしないことを安請け合
いし、かえって国民の不信を買う政治・行政スタイルから脱しなけ
ればならない。そのためには、地方同様、国も国民にもっと近づき、
政府の限界を語って、主権者としての自覚的な意識、行動に訴える
必要があるのではないか。国民との隔たりを越えて、「一緒にこの
国を支えましょう」というメッセージを為政者が発するとき、国民
の多くは、それをしっかりと受け止めてくれると私は思う。

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【2】 第176回J.I.フォーラム 4月25日(水)開催予定
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