【No.551】長野県入試問題騒動について思う
2012.04.26

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J.I.メールニュース No.551 2012.04.26発行

長野県入試問題騒動について思う

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【1】 長野県入試問題騒動について思う
――教育とは「想定内」のことだけを教えることなのか
作家 たくき よしみつ

【2】 本日です! 第176回J.I.フォーラム 4月26日(木)開催
※日付・会場が変更になりましたのでご注意下さい!※

【3】 第177回J.I.フォーラム 5月30日(水)開催予定

【4】 ホームページ更新情報
「事業仕分け」、ついに海外へ!

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【1】 長野県入試問題騒動について思う
――教育とは「想定内」のことだけを教えることなのか
作家 たくき よしみつ
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最近、興味深い記事を読んだ。長野県の県立高校入試問題の数学で、
とてつもない難問が出題され、解けない生徒が続出し、試験中に泣
きだしてしまったり、その後の科目に身が入らず自暴自棄になる受
験生がたくさんいたというのだ。県教職員組合が県教委に抗議する
事態にまで発展しているらしい。その問題というのはネットで公開
されているので、どんな難問なのだろうと思って見てみた。

僕は数学で落ちこぼれて、大学受験は入試科目に数学のない私立文
系だけを選んだ。今では一次方程式も解けるかどうか怪しい。当然、
僕にはちんぷんかんぷんの問題なのだろうと思ったら、そうではな
かった。

内容は小学校でも習う(今はやっていないのかもしれないが、僕ら
の時代はやらされた)旅人算、時計算の応用編。数学を使わなくて
も算数でも解ける(算数で解くほうがはるかに難しいが)。言い換
えれば、「数学とはこういうものなんだよ」というエッセンスを教
えるような、「よくできた」問題だった。

これができなくて受験生が泣き出すとか、中学の教師や塾の講師が
怒り出すというのが理解できない。そもそも試験なのだから、でき
ない生徒がいるのはあたりまえで、みんなができたら試験にはなら
ない。内容が間違っていたというなら事件だが、なぜこれが大騒ぎ
になるのか?

どうやら「教科書にはこんな例題は出ていない。そんな問題を出題
するのはいじめだ」ということらしい。それを知って驚いた。受験
生がこの問題を解けなかったことよりも、教育現場にいる大人がそ
ういう発言をすることのほうが、僕には恐ろしいことだと思える。
彼らは「教育」の意味を取り違えていないか?

僕が中学に入って初めて数学というものに接したとき、ヤマゲンと
いうあだ名の数学教師は「算数と数学の違い」についてたっぷり話
をしてくれた。そのおかげで、その後、ヤマゲンに教えてもらった
中学2年までの間は数学の勉強に興味が持てた。

今回、騒ぎになっているという長野県の入試問題を解いてみて、あ
のときの記憶が甦った。受験生いじめどころか、問題作成者の「愛」
を感じたのだ。ところが、そうした教育者の愛が、教育現場やお役
所には通じない。黙ってお手本どおりに行動する人間だけを選別し
たいのだろうか。

マニュアル通り、「想定内」の問題に対する模範解答を丸暗記した
だけで出世していける社会は恐ろしい。その結果が、あの唖然とさ
せられる保安院や東電の、まるで人ごとのような会見ではないのだ
ろうか。

自分の頭で考える。違う発想で問題に向き合ってみる。そのための
努力をする。そうした能力、精神を養うことこそが教育の基本だと
思う。長野県の高校入試数学問題で大騒ぎしている大人たちには、
自分たちが何を勘違いしているのか、早く気がついてほしい。

☆この問題を解いてみた感想などを詳しく書いていますので、興味の
あるかたはどうぞ。
http://gabasaku.asablo.jp/blog/2012/03/30/6394965

たくき よしみつ
1955年、福島市出身。エネルギーとエントロピーの問題を隠しテー
マとした小説『マリアの父親』で第四回「小説すばる新人賞」受賞。
その20年後、福島県川内村の自宅で実際に原発震災を体験。近著に
『裸のフクシマ』(講談社)、『3.11後を生きるきみたちへ 福島
からのメッセージ』(岩波ジュニア新書)。

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【2】 本日です! 第176回J.I.フォーラム 4月26日(木)開催
※日付・会場が変更になりましたのでご注意下さい!※
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『医療改革の突破口』
~家庭医・総合医の確立へ~

わが国で「医療改革」というと、医療財政あるいは病院改革が論点
の中心です。しかし、本来医療とは患者と医療者の「協働」作業で
す。また、我々の日常における医療や健康問題の8割はいわゆるプ
ライマリケアの分野です。にもかかわらずこの分野を受け持つ家庭
医(GP)の仕組みが日本にはありません。さらに家庭医の確立が
病院改革・医療・財政の改革にもつながるのです。これからの日本
の医療制度における家庭医療の役割に着目しながら、今一度患者、
病院、財政 など医療全体のあるべき姿を考え、その突破口を探り
ます。

○日時: 平成24年4月26日(木)※日時・会場を変更しました。

○会場: アルカディア市ヶ谷6F 阿蘇
千代田区九段北4-2-25 TEL 03-3261-9921
http://www.arcadia-jp.org/access.htm

○開演: 午後6時30分(開場:午後6時00分)

○ゲスト: 井伊 雅子(一橋大学 国際公共政策大学院教授)
菅家 智史(福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座)
武内 和久(前・厚生労働省医政局総務課)

コーディネーター: 加藤 秀樹(構想日本 代表)

○主催: 構想日本

○定員: 160名

○フォーラム参加費: 2000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会参加費: 4000円
ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「花びし(はなびし)」
千代田区九段北4-2-11 第2星光ビル1F TEL 03-3239-3040
http://www.ichigaya-hanabishi.com

※懇親会をキャンセルされる場合は必ずご連絡下さい。
直前のキャンセルの場合、キャンセル料を申し受けます。

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【当日参加も可能】です。
参加ご希望の方は、直接受付までお越し下さい。

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
*今後のスケジュール等、詳細はHPをご覧下さい。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php
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【3】 第177回J.I.フォーラム 5月30日(水)開催予定
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詳細は近日中にご案内いたします。

【4】 ホームページ更新情報
「事業仕分け」、ついに海外へ!
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○インドネシア国会で「事業仕分け」研修会実施

事業仕分けの核である「公開性」や「外部性」がインドネシア議
会の議員の関心を強く惹き、インドネシア議会で財務省の官僚な
ども交えた事業仕分けの研修会が開かれることになりました。

https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/municipality_sort/detail.php?m_project_cd=1050

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来週5/3(木・祝)は配信をお休みさせていただきます。
次回の配信は5/10(木)となります。
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