【No.572】東北の織
2012.09.27

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J.I.メールニュース No.572 2012.09.27発行

東北の織

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【1】 東北の織
暮らしのクラフトゆずりは店主 田中 陽子

【2】 10月4日(木)「山本美香さんを偲ぶ会」のご案内

【3】 第182回J.I.フォーラム 10月30日(火)開催予定

【4】 継続は力! 事業仕分け 今週末は那珂市と大田原市で開催

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【1】 東北の織
暮らしのクラフトゆずりは店主 田中 陽子
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東北の手仕事を紹介して24年になりました。職人を訪ねる旅を繰り
返すうち、各地に静かに響く機音に、強く心ひかれました。厳しい
気候風土と、都から遠く離れていたことでの近代化の遅れにより、
苦しい生活を強いられた反面、東北各地で木、土、布もの…など、
様々な手仕事が続いてきたのです。

日本にまだ綿や絹が入ってくる前、木や草から作った布があります。
かつて森に生活の糧を求めた縄文時代から東北に伝わる「シナ布」
や「からむし」です。

「シナ布(ふ)」は、シナの木の皮を剥ぎ、内側の整った繊維だけ
を薄く削ぎ、何十もの工程を繰り返して糸を作り、さらに丁寧に手
織りして作られた布です。かつて魚の網や荷縄などの生活の道具と
して用いられ、暮らしの中で無くてはならないものでした。自然の
木の香り、織りの美しさを備えたまさに“木の布”です。

「からむし」はイラクサという丈の高い草の茎の皮から繊維をとり、
糸にし、織り上げます。本州で唯一の産地である福島県昭和村では、
600年にわたる間、ほぼ変わらぬ糸作り方法が受け継がれ、日本の
夏の最高級織物「越後上布」の原材料の供給地になってきました。

身の回りにある動物の毛や植物までも使った織もあります。山菜の
ぜんまいのわずかな綿毛を糸にし、水鳥の毛を織り込んだ「天鷺ぜ
んまい紬」です。ふんわりと暖かく、虫が食わず、撥水性がありま
す。ところどころに見えるぜんまいの茶色の綿毛が優しい雰囲気を
醸し出しています。暮らしの中で必要なものを、身近な自然の素材
を手に自ら生み出だしてきた先人の深い智恵です。

また、寒さゆえに綿花が育たなかった東北北部では麻しか着ること
ができませんでした。かつて布は食べ物同様に貴重で、生死を分け
るもの。ぼろぼろになった布きれ一枚捨てなかったのです。そんな
布に、貴重な綿糸で防寒と耐久性と、そして装飾性を求めて、一針
一針刺した女性たちの手仕事が、有名な「刺し子」です。同じく、
使い古した布や端切れを裂いて織り上げる「裂織」も、女性たちが
厳しい暮らしの中、布をいつくしみ暮らしを陰で支えた家族への愛
情から生まれたものでした。

紙の原料となる“こうぞ”も岩手県南部までしか育たなかったため、
大変貴重でした。使い終わった丈夫な紙(大福帳)を細く切り、そ
れをよって織り上げた布「紙布(しふ)」は丈夫な帯になりました。
厳しい気候風土と暮らしの中で、ものを大切に使う文化が素晴らし
い東北の布を生み出しました。

この他にも色々あります。これらの糸や布が、命ある動物や草木な
どの植物から、人の手によって生まれたものだったことを現代の私
たちに思い起こさせてくれます。

東北の布、織の控えめな美しさは、厳しい気候風土を受け入れて生
き抜き、労を惜しまず自然から育んだ智恵が与えてくれた、かけが
えのない輝きではないでしょうか。

縦糸(たていと)は女の建前。緯糸(よこいと)は女の気持ち―。

古くから東北に伝わる織を、現代にも使っていただけるように提案
し活かすことで、職人と共になお努力して次世代に繋いでいきたい
と思います。

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「東北の織 ~先人たちの知恵の布~」展
○日時: 2012年 9月26日(水) ~ 10月 7日(日) 11:00-19:00
○会場: 蔦サロン 表参道駅より5分 (B3青山学院大学方面出口)
〒107-0062 東京都港区南青山5-11-20 TEL 03-3409-8645(会場)
○作家による実演と店主のお話会
10月1日(月)・2日(火) 各13:00~ 約90分
玉虫正直氏(古代紙布作家)による糸作りの実演を行います。(無料)

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【2】 10月4日(木)「山本美香さんを偲ぶ会」のご案内
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「美香さんのメッセージを未来へ
~故 山本美香さんを偲ぶ会~」

この会は山本さんの同級生を中心とした会です。そこに参加しない
かと声を掛けて頂き、大変光栄に思います。山本さんの真骨頂はど
んな危険があっても現場を大事にし、リアリティに基づいて行動す
ることにあったと思います。とても難しいことですが、構想日本も
常にそのことを心がけています。そして、それこそが今の日本に最
も欠けていることです。私にとっての「美香さんのメッセージ」と
は、紛争地域に関することにとどまらず、「現実に基づいて当事者
意識を持って行動する」ことです。自らへの戒めの気持ちも込めて、
私もこの会に参加します。この会はどなたでも参加できるオープン
な会です。どうぞご参加下さい。(構想日本代表 加藤 秀樹)

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○日時:10月4日(木)18:00開場、18:30~20:00
○場所:都の杜うぐいすホール 大ホール(山梨県都留市)
○主催:山本美香さんを偲ぶ会実行委員会
*詳細、お問い合わせ先は以下のURLをご覧ください(都留市HP)。
http://www.city.tsuru.yamanashi.jp/forms/info/info.aspx?info_id=27360

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【3】 第182回J.I.フォーラム 10月30日(火)開催予定
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詳細は近日中にお知らせします。

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
*今後のスケジュール等、詳細はHPをご覧下さい。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php
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【4】 継続は力! 事業仕分け 今週末は那珂市と大田原市で開催
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○那珂市(茨城県)◇

【日程】 平成24年 9月29日(土) 9:00~16:45(予定)
※入退室自由。

【会場】 那珂市中央公民館(那珂市福田1819番地)

【対象事業】 16事業

【参加者】 事業説明者:那珂市職員
コーディネーター、仕分け人:構想日本事業仕分けチーム
市民判定人:那珂市民

【連絡先】 那珂市行政経営課 電話:029-298-1111(内線572)

○大田原市(栃木県)
【日程】 平成24年 9月29日(土) 9:00~16:00
30日(日) 9:00~16:00
※入退室自由。

【会場】 大田原市役所 南別館2階会議室

【対象事業】 20事業

【参加者】 事業説明者:大田原市職員
コーディネーター・仕分け人:
構想日本事業仕分けチーム、大田原市民(公募他)

【連絡先】 大田原市総務課行政改革係
電話:0287-23-1111/FAX:0287-22-4485

※◇印がついている自治体は「市民判定員方式」での実施となります。

*詳細は構想日本の事業仕分けサイトよりご覧下さい!
https://www.kosonippon.org/wp-manager/shiwake/contribution/index.php

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