【No.61】「抜本的な選挙制度改革を実施すべき
2002.08.23

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抜本的な選挙制度改革を実施すべき
JIニュースNo.61  2002.8.23
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《コラム》抜本的な選挙制度改革を実施すべき
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《コラム》抜本的な選挙制度改革を実施すべき

わが国で政治不信が根強い大きな原因は、選挙制度にある。1993年に、
衆議院が中選挙区制から小選挙区制に改正された際にも、選挙区の定数
の是正は中途半端にしかおこなわれず、地方と都会との1票の格差は当
初から最大で2倍以上であった。その後、衆議院でも参議院でも定数是
正が行われたが、それでも選挙区間での不均衡は抜本的に改善されてい
ない。
有権者の選好を正確に反映すべき衆議院では、比例区を廃止して、定
数が完全に是正され、かつ、有権者のタイプ別に区分けされた小選挙区
制度を早急に確立すべきである。小選挙区が意味を持つのは、タイプ別
にきちんと区割りがなされるケースである。有権者は時間とともに変化
するので、小選挙区制度は選挙のたびごとに区割りを見直して、はじめ
て、そのメリットが発揮できる。

有権者のタイプは、基本的に地域と年齢で分類することができる。実
際に選挙では、選挙権、被選挙権の要件は年齢である。すでに年齢が選
挙の重要な資格要件として利用されており、かつ、有権者のタイプを区
分する際の有益な指標である以上、年齢をより活用した選挙制度を構築
すべきであろう。

たとえば、20歳代と30歳代の有権者を母集団とする選挙区を青年
区、40歳代と50歳代を中年区、また、60歳代以上を老年区と呼ん
で、これら3つの年齢別選挙区を導入する。地域と年齢の2つの指標で、
選挙区を作成するのである。
したがって、多くの青年層が棄権しても、青年区の定数が青年有権者
の人口に対応しているので、青年世代の利害を代表する政治家が量的に
きちんと選出される。

地域割りで定数是正を完全にすると、また、年齢別の選挙区も加味す
ると、事実上、3,4年の選挙ごとに、全国すべての選挙区の区割りを
再調整する必要がある。わが国のこれまでの経緯では、選挙区の区割り
の見直しが後手後手に回って、最高裁の違憲判決を待ってはじめて、選
挙区の区割りが部分的に調整されてきた。現職議員個別の利害のために、
選挙区の区割りが後手後手に回ってきた。
選挙区の区割りは、議員の手ではなくて、第3者機関が機械的に、し
かも、選挙のたびごとに決定するシステムを構築すべきである。そうす
れば、地域と年齢を組み合わせる選挙区の策定は、容易である。
たとえば、毎年1月1日時点での有権者の年齢と住所が4月1日に判
別できるとすると、4月から向こう1年間の小選挙区の区割りを、かり
に議員数300,有権者9000万人とすれば、1選挙区あたり30万
人になるように、各年齢選挙区ごとに北海道から順に機械的に区割りし
ていけばよい。
毎年4月1日に自動的に選挙区の調整が行われる。言い換えると、選
挙のたびに、有権者の母集団が変化するとともに具体的な選挙区も変化
する。

これら3世代の有権者の人口が同一地域で同じであるとは限らないか
ら、選挙区の地域的な範囲は年齢別に異なる。しかし、それぞれの選挙
区は、現行の小選挙区のほぼ3倍の地域に相当する。
したがって、現行の選挙区の区割りよりは、地域が細かく限定されな
いから、地元優先の政治活動の弊害は是正される。また、同一有権者の
年齢が時間とともに高くなるので、年齢別の選挙区では母集団が固定化
せず、現職の政治家の選挙基盤が小選挙区のもとで固定化しないという
メリットもある。
(文責:東京大学大学院教授、構想日本政策委員 井堀利宏)

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