【No.632】地方は、『わが事』として地方税財源制度を考えよう |草加市副市長 中村 卓氏|
2013.12.05

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J.I.メールニュース No.632 2013.12.05発行

「地方は、『わが事』として地方税財源制度を考えよう」

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【1】<巻頭寄稿文>
「地方は、『わが事』として地方税財源制度を考えよう」
草加市副市長 中村 卓

【2】<お知らせ>

(1) 第196回J.I.フォーラム  12月15日(日)開催
「『オープンガバメント』最先進地域からの報告」

(2) 【12月の仕分け】
12/21(土)、22(日)、23(月・祝) 銚子市事業仕分け

(3) 国民総仕分け人サイト「JUDGIT!」本格稼働!
http://judgit.net/

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【1】 「地方は、『わが事』として地方税財源制度を考えよう」
草加市副市長 中村 卓
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消費税増税後もさらに進むと予想される地方税収の偏りを是正する
ため、財務省と総務省が地方税制見直しの検討を始めたと聞く。事実、
地方税収の著しい偏りは、国、地方双方の安定的で均衡のとれた行財
政運営の妨げにもなっており、今後の動きに注目したい。同時に、地
方はこれを国に任せる「よそ事」でなく「わが事」として、正面から
向き合っていく必要があると感じている。

この件に関連して、私は、かつて地方消費税導入時に、新聞紙上等
で問題提起をしたことがある。それは、地方消費税の配分方式が住民
の生活エリアよりも業務・商業エリアに手厚い配分方式で、しかも地
方消費税の創設と住民税減税が同時に行われるため、生活中心の都市
では大幅減収、業務・商業拠点都市では大幅増収という形で偏りが進
むことが予測されたからだ。わが国の地方税制は「煙突が増えれば税
収も増える」とされた戦後高度成長時代以降、生活エリアよりも業務
・商業エリアに税源が集中しやすい仕組みが続いてきたが、地方消費
税創設時も見直しはされなかった。結果として税収の偏りは進み、特
に市区町村間では著しいものになっている。

グローバル経済下、わが国が国際競争力を維持していく過程で、業
務・商業機能が大都市、特に東京になお一層集中することは避けがた
いのかも知れない。「国家戦略特区」や2度目のオリンピック誘致は、
それが国策でもあることを示している。問題は、そうした経済活動の
果実である税収までが過度に集中することにより、一部の大都市の栄
華の陰で多くの地方が疲弊し、疲弊した地方の公共サービスを維持す
るために、さらに巨額の国費が必要となるということである。

実際、この構図は既に深刻なものとなっている。分権・地方財政自
立を共通目標に地方が主体的に取り組んだ「三位一体改革」で、地方
は、3兆円の税源移譲と引き換えに4.7兆円の国庫補助金削減を受容し
た。その時点(2007年度)で、国が地方に配分する地方交付税や補助
金等の総額は26兆円程度だったが、わずか4年後の2011年度には37兆
円に膨らんでいる。地方は、一部大都市等の財源余剰の陰で、全体と
して国への財源依存度を高め、国は巨額の負債を積み上げて対応して
いる。この構造が持続可能とは思えず、国の負債のツケは、早晩、地
方財政を直撃するおそれが強い。

わが国では、社会保障分野を含む主要な公共サービスを地方が担う。
従って、偏りが少なく、国への依存度の低い地方税財源制度の構築は、
国と地方双方の行財政の安定のみならず、高齢社会下の国民生活の安
定のためにも不可欠と私は考える。消費税の配分に限らず、地方税制
全体、また地方交付税のそもそものあり方など、地方税財源問題につ
いて、地方とそこに住んでいる国民すべてがわが事として正面から向
き合っていく時期にきているのではないだろうか。

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中村 卓(なかむら たかし)

1949年京都府生。1974年から2010年まで草加市勤務。2009年10月~2010
年3月、内閣府行政刷新会議事務局政策企画調査官。2010年4月~2011年
3月、構想日本政策担当ディレクター、東京財団研究員。
現在、草加市副市長。
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【2】 (1) 第196回J.I.フォーラム  12月15日(日)開催
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「オープンガバメント」最先進地域からの報告

政府や自治体の情報を極力公開する。そして住民、国民と一緒に政治、
行政を考える。この「オープンガバメント」が世界の潮流です!
茨城県内では6市町で14回も事業仕分けが実施されており、しかも
すべての仕分けで市民が判定に参加(市民判定人)しています。
これは全国で茨城県だけ。つまり、茨城県は「オープンガバメント」の
最先進地域なのです。
そこで、事業仕分けの実際の効果や先進「オープンガバメント」の状
況について、3市長が一堂に会し、住民と双方向の議論をすると同時に、
全国にひろく発信していきます。

○日時:12月15日(日)14時00分~16時00分(開場13時30分)

○会場:千代田公民館講堂(茨城県かすみがうら市上佐谷991-5)

○ゲスト:海野 徹 (那珂市長)
片庭 正雄(つくばみらい市長)
宮嶋 光昭(かすみがうら市長)
加藤 秀樹(構想日本 代表)

コーディネーター:伊藤 伸(構想日本 総括ディレクター)

○フォーラム参加費:無料

※ フォーラムへの参加はHPのフォームから、もしくはこのメール
に【12月13日(金)】までにご返信をお願いします。
(J.I.フォーラムへのお申込み:
https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php?m_forum_cd=296)

※ 12月のフォーラムは、初の“地方開催”です。ご注意ください。
尚、12月のフォーラムでは、懇親会はございません。

※ 12月の第196回フォーラムは入場無料で行います。
したがって、フォーラム開催にかかる交通費などの諸経費は全て
構想日本の負担です。そこで、オンライン寄付を集める「Just
Giving Japan」で、このフォーラムの開催に関する寄付を募集
することにしました。少しでも応援して頂けると大変嬉しいです。
http://justgiving.jp/c/9337

構想日本は、12月のフォーラムのように政治や行政を「自分事」
として考えるための取り組みを今後も継続して行っていきたい
と考えています。そして、費用をまかなうため12月のような工
夫も考えます。どうかよろしくお願いします。

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【2】 (2) 【12月の仕分け】
12/21(土)、22(日)、23(月・祝)銚子市事業仕分け
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現在、銚子市は、何の対策も打たなければ25年度決算が赤字に
なる恐れがあるほど危機的な財政状況にあります。 構想日本で
は銚子市行財政改革審議会にオブザーバー参加するなど全面的に
協力することになりました。今回の事業仕分けは、市民とともに
財政再建とその後の銚子市の発展の方向性を打ち出すための大き
な柱と位置付けられています。3班体制で3日間という、近年では
最大規模の仕分け作業です。既にメディア等で大きく取り上げら
れています。是非ご参加ください。

○銚子市事業仕分け

【日程】12月21日(土)、22日(日)、23(月・祝)

【構成】1班6名(コーディネーター+構想日本選定仕分け人5名)×3班体制
市民判定人:無作為抽出で2500名に送付。応募のあった市民により
構成

【お問い合わせ】
銚子市 行政改革推進室 行政改革推進班 TEL:0479-24-8912

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【2】 (3) 国民総仕分け人サイト「JUDGIT!」本格稼働!
http://judgit.net/
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誰でも自宅からスタンプを押したりコメントを書いたりして国の事業
に対して意思を表明できるウェブサービス「JUDGIT!(ジャジット)」が
ついに本格稼働。11月19日に記者発表し、約30名の記者にお集まりいた
だきました。

まずは試してみてください。そして、ご家族、お知り合いに是非すす
めて下さい。コメントする人が多いほど、政治家や官僚を動かすことが
できます。トップページに登録画面があります(もちろん無料)。
わかりにくいところがあれば、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。

担当:伊藤・田中 TEL:03-5275-5607
E-mail:shiwake@kosonippon.org

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