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【No.67】教育改革は、各地の学校経営の見直しから

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教育改革は、各地の学校経営の見直しから
JIニュースNo.67  2002.10.4
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■■ 目次 ■■
1.《コラム》教育改革は、各地の学校経営の見直しから
――米国からの問題提起――
上山 信一(米国ジョージタウン大学研究教授、行政経営論)
2.《J.I. Action Summary》
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1.《コラム》教育改革は、各地の学校経営の見直しから
――米国からの問題提起――
上山 信一(米国ジョージタウン大学研究教授、行政経営論)
私は家族4人で米国(東海岸、ワシントンDC近郊)に暮らしています。
この2年間、慣れない英語で戸惑う2人の子供たちと一緒に教育について
ずいぶん考えさせられました。長男は私立高の1年、次男は公立小学校の
5年生です。個人の体験をもとに、教育問題を解くヒントを探ってみます。
1. 親と校長の絆が支える学校経営
まず、学校と接して感じる日本との大きな違いです。
○発見(1):校長の権限は絶大
多くの校長は毎朝、校門に立つ。小規模の私立の校長は、自ら授業も教え
る。公立でも私立でも通信簿は、校長が添削する。それを通じて先生の指導
法や個々の子供の成長ぶりをチェックする。書き直しもさせる。校長は抜き
打ちで授業にも現れる。まるで中小企業の親父さんのように精力的に動く。
○発見(2):親と教師のホットライン
ワシントンポストで、最近「子供の宿題が難しすぎる」という記事がでた。
「親にも解けない」という。宿題は、けっこう親が手伝う。ホームワークは、
家で親が教えるために出すという学校もある。理科や社会はホームページに
宿題が掲示される。電子メールを使った各科の教師と親のコミュニケーショ
ンも密だ。子供を交えた教師と親の面接をみんな気軽に頼む。
○発見(3):放課後は、親がケアする
夕方3時半以降の校庭は学校の管理を離れ、住民に開放される。子供たち
の運動部は学校の枠を越え、地域のNPOが運営する。そこが校庭を借りる。
コーチはお父さんたち。送迎も親。先生は関与しない。
○発見(4):数字による管理
次男(小5)の通信簿。科目別にチェックポイントが10項目。授業参加の
積極性、宿題の提出状況、理解力などの項目別に、AプラスからFまで12段階
の数値評価がある。しかもコメントがついてくる。これが学期に2回ずつ。
評価の網の目は細かい。まるで勤務評定だ。ちなみに、公立は24人学級。
私立は5人から15人だ。少人数教育のメリットだろう。

2. 日本へのヒント
日本の教育にはそれなりの良さがある。しかし、こと学校の経営に関して
は、米国に一日の長がある。簡単にまとめてみよう。
(1)学校を特別扱いしない。ホテルやレストランなどと同様に経営する。
(2)教師は聖職ではない。他職種との転職も多い。失敗も許される。親も子
供も、遠慮せず、おかしいことはおかしいと言う。教師もあっさり非は認
める。
(3)校長は、経営者。店長、社長ができる人材を充てる。品質管理は、個々の教
師の献身的努力だけに期待せず、校長の経営手腕で保つ。
(4)教育委員会の関与が少ない。現場の校長に権限を下ろす。校長は迷った
ら、PTAと相談する。PTAも校長を守る。
(5)PTAが株主のように経営に参加する。希望すれば、カリキュラムの改訂に
も親が参加できる。学校側も親にボランティアを要求。実習や遠足の引
率はもちろん、親に特別講義を頼む場合もある。
(6)徹底した情報公開。学力テストの平均点、落第生の数(高校の場合)か
ら予算の使い方まで、すべて情報公開される。新聞も容赦ない。よくや
った先生や生徒の表彰も盛んだ。
(7)統一学力テストは、教育成果と学校の経営評価のために不可欠とされる。
学校評価の要は偏差値ではない。学力の伸び率だ。「一年間の生徒の学
力の伸び率が、前年実績値より劣っていないかどうか」を重視する。
(8)こどもは個々に違う。だから、能力別編成は当然で、飛び級もある。しか
し子供同士の優劣比較はしない。 “Everyone is different.
We respect it. We expect it” という標語がある。「子供は百人百様。
それを理解し、尊重しよう」という意味だ。
さて、こちらからは、日本の教育論議がどうみえるか。有識者を集めた抽
象論ばかりしていていないか。現場の改善策が見えない。問題は、私たちの
子供、個々の学校をどうするかなのだ。学校教育の在り方は、地域で親と教
師が考える。各地で実験をやる。教育改革は、足元からだ。
(注)筆者は、構想日本政策・運営委員。
著作実績一覧は http://www.pm-forum.org/ueyama/
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の9月の主な活動状況■
●政策プロジェクト
(1)公益法人改革
民法34条改正を含む、非営利活動法人制度の抜本的な改革に向けた
プロモーション
・9/10:内閣府の「公益法人制度の抜本的改革に向けて(論点整理)」
に対するパブリック・コメント提出
http://www.kosonippon.org/doc/?no=155
・構想日本の提言実現に向け、全国のNPOの声を集結させるためのネット
ワークづくり
(2)国と地方(税財政改革)
国と地方の税制のあり方に関する具体的提言に向けた作業・分析
・4月以降、5県において実施した県の事業仕分けおよび、地方の事業
運営にかかる国の関与・規制を洗い出す作業結果を分析
(⇒10月中に開催予定の「国と地方の税制を考える会」第6回会合で発表)
(3)特殊法人改革(道路公団)
国民の利益にかなった道路公団改革の実現に向けたキャンペーン
・構想日本を事務局とする「シャドー・コミティー」から、”Shadow
Com Press”を発信中
http://www.kosonippon.org/prj/c/?no=999
・9/24:JIフォーラム開催「道路関係四公団民営化推進委員会中間整理を
公表、”民営化””国民負担なし””凍結”はスローガンだおれ?」
(⇒近々、ホームページ上に要約を掲載)
(4)エネルギー戦略
エネルギー政策の意志決定プロセス改革(ガバナンス改革)を中心
とする提言作成
・国の責任の明確化、市場のルールづくり、など
●ネットワークづくり
(1)教育
地域の新しい教育づくり事例集に新入荷(9/25)
・特定非営利活動法人キーパーソン21
-子供たちが夢と職業意識を持つ場を提供
http://www.kosonippon.org/prj/edu/jirei/keyperson/
上記のほか、「年金改革」、「外交機能強化」、「公職選挙法改革」
などの政策プロジェクトが進行中。
詳しくは、 http://www.kosonippon.orgまで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)

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