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【No.68】 私たちは、どのような年金制度を目指すのか

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私たちは、どのような年金制度を目指すのか
JIニュースNo.68  2002.10.11
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■■ 目次 ■■
《政策ラウンジ》私たちは、どのような年金制度を目指すのか
― 年金制度改革3案の比較 ―
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《政策ラウンジ》私たちは、どのような年金制度を目指すのか
― 年金制度改革3案の比較 ―
私たちの老後を支える年金制度。この制度は、5年に1度、国が見直
しをする仕組みになっています。次の制度改正は2004年度に予定されて
おり、あと1年半後に迫っています。
デフレによる景気低迷が続いていることもあり、年金制度に対する国
民の不信感は、つのる一方です。高齢者は、将来不安から消費を手控え、
中高年者は保険料負担の高さを嘆き、若者は損をすることが確実な保険
料の支払いを拒否、制度からドロップアウトしています。
このまま、国民の年金制度に対する不信感が広がれば、世代間の信頼
関係に基づいた助け合いシステムである年金制度は、崩壊してしまいま
す。そうなる前に、私たちが一体、どのような年金制度を目指すのかに
ついてきちんと議論した上で、選択した制度を実現するための改革を進
めなければなりません。
●現在の年金制度の問題点
日本の年金制度に対する不信感が強まっている原因は、急速な高齢化
や景気低迷だけにあるのではありません。制度自体に次のような問題が
あるのです。
第1に、年金制度が、給付と負担の仕組みが異なる3制度(国民年金、
厚生年金、共済年金)で構成されていることです。国民年金は自営業者
や無職者等(第1号被保険者)が加入し、定額負担となっています。厚
生年金・共済年金は、民間サラリーマン・公務員(第2号被保険者)
がそれぞれ加入し、所得に比例した負担システムとなっています。
また、配偶者の扱いも各制度で違います。第1号被保険者の配偶者は、
定額の保険料を支払い、第1号被保険者として年金を受け取りますが、
第2号被保険者の配偶者は、保険料を負担しなくても第3号被保険者と
して、年金を受け取ることができます。
こうした給付と負担の仕組みが異なる制度であるのにも関わらず、
厚生年金・共済年金の給付の定額部分を国民年金と同額とし、国民年金
の財源が不足している分を他の制度から補填しています。つまり、定額
部分(基礎年金)だけは皆で支える制度にしているのです。
そうであるならば、本来は、自営業者もサラリーマンも公務員も、所
得に応じて同じ基準で負担すべきでしょう。
第2に、日本の基礎年金は「国民皆年金」(誰でも平等に一定の金額
を老後に保障する制度)と言われていますが、実際には皆年金になって
いません。日本の基礎年金には税金(一般財源)が投入されていますが
(給付の3分の1)、制度としては、保険料を負担している者のみに給
付する方式(社会保険方式、ただし、第3号被保険者は保険料を負担し
なくても給付を受けられる)をとっているからです。つまり、元来、趣
旨の違う税方式と社会保険方式が混合しており、皆年金も達成できてい
ない上、社会保険方式のメリットである「給付と負担のリンク」も活か
せていません。
●どのような制度を目指すのか
年金制度の改革に当たって、私たちは、まず、どのような制度を目指
すのかを考えなければなりません。
誰でも均等に負担し、一定の金額を老後に保障する「国民皆年金」を
目指すのか、それとも自己責任を原則とし、保険料を負担しない者には
給付しないことを公平と考えるか、です。どこの国もこの選択を行って
います。現在のような曖昧な制度では、今の年金制度が抱える問題は永
遠に解決できません。
改革には痛みを伴います。日本は世界に例を見ないスピードで高齢化
が進んでいるので、いずれにしても、厳しい選択をせざるを得ません。
どちらの方法がいいのかを選択するためには、改革の選択肢を示し、そ
のメリット・デメリットをよく議論することが必要です。
どれを選ぶのか、最後に決めるのは国民です。しかし、現在は、判断
するための情報が不足しています。そこで、構想日本では、本質的な議
論のための材料として、次のような年金改革3案を整理しました。
●年金改革3案
・(1)案
本来の「社会保険」に戻す改革です。自営業者もサラリーマンも同一
の制度に加入し、所得比例の負担をします。この場合、「国民皆年金」
にはなりません。保険料を払えない者には、生活保護で対応します。
(1)案を実施するためには、各年金制度を1つに統合し、自営業者
の所得をサラリーマンと同様に把握し、所得に応じて保険料を徴収する
しくみを作らなければなりません。
・(2)案
「国民皆年金」を目指す改革です。この場合、財源は税金です。税
目としては、所得税か消費税かという選択になります。この案では、高
所得者への年金も税金で賄うため、それが適切かどうかという疑問があ
ります。
・(3)案
スウェーデンが1999年の改革で導入した「国民皆年金」型の仕組みで
す。スウェーデンは、もともと、(2)案のような年金制度でした。しかし、
1990年代の深刻な経済危機を契機に抜本改革を実施、「社会保険方式」
に移行しました。ただし、「国民皆年金」を維持するため、低所得者につ
いては、保険料を支払っていなくても一定期間、居住していれば給付(40
年居住で満額)が受けられる最低保障年金制度が導入されました。
この仕組みは、日本とは違い、「国民皆年金」を達成し、しかも、給付
と負担の関係がはっきりしています。また、保険料率を固定しているので、
「負担はもう増えない」という安心感があります。
しかし、この案では、現在の日本のように年金制度から抜け落ちてしま
う人が増大すると、最低保障年金の受給者の割合が高まり、保険料を払う
者と払わない者の間で不公平感が増大してしまいます。
今後、この3案を材料として、議論を深めていきたいと考えています。
ご意見をよろしくお願いします。
詳細は、 http://www.kosonippon.org/doc/?no=157
をご覧下さい。
(文責:「年金」プロジェクト担当 松永 誠一)
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