【No.692】「特ダネではないけれど(1) 予算のあり方」 |新聞記者 松浦祐子氏|
2015.02.12

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J.I.メールニュース No.692 2015.02.12発行

「特ダネではないけれど(1) 予算のあり方」

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【1】<巻頭寄稿文>

「特ダネではないけれど(1) 予算のあり方」

新聞記者     松浦 祐子

【2】<お知らせ>

(1) 第209回J.I.フォーラム  2015年2月18日(水)開催

「日本の財政、本当はどうなのか ~金融とあわせて考える~ 」

(2) シンポジウム「地域での自然資本経営」 in 学士会館

(3) 地域医療シンポジウム
~これからの地域医療と公立病院のあり方を考える~ in 銚子市

(4) 「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

【3】<ご紹介>

(1) 展覧会 尾形光琳300年忌 記念特別展 「光琳アート 光琳と現代美術」

(2) 展覧会 東京駅開業百年記念 「東京駅100年の記憶」

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【1】「特ダネではないけれど(1) 予算のあり方」

新聞記者     松浦 祐子
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2015年度政府予算案の国会審議が始まります。

一般会計の総額は過去最大の96兆3420億円。企業の業績改善などで税収が増え、新たな借金である新規国債の発行額は、前年度より減らすことができたものの36兆円超で、4割近くを借金に頼らなければ成り立たない予算案です。

マスコミは、通常は年末(今回は昨年末に解散・総選挙があったため年明けまでずれ込みました)の予算案をまとめる時期になって集中的に報じます。その場合、最終段階までもめている案件の予算の増減額について、政治と財務省と各省庁の闘争の「勝敗」を追うことに注目しがちです。

私は、これまで15年余り新聞記者という仕事をしてきました。社会保障の分野を中心に予算の取材をしてきた中で、いつも感じるのは「もっと早い段階から、様々な政策の選択肢を比較しながら議論し、国民の間で一定の合意を得ながら、予算を作れないものか」ということでした。

もちろん、各省庁、各自治体では、解決していかなければならない政策課題について、審議会などで議論が行われています。ただ、そこでは「新しくこういう政策が必要だ」という内容は話し合われますが、「そのためにかかる費用はどれくらいで、どのようにお金を調達するのか」ということは、ほとんど議論されません。

一方で、「どれだけ、どのように国民に拠出をしてもらうか」を議論する税制改正では、法人税や消費税といった個別の税目の増減税が主に話し合われ、「増税すれば、何ができ。減税をすれば、何ができなくなるのか」といった政策とリンクした検討は乏しいのが現実です。

そういう意味では、近年の消費増税を巡る議論は、社会保障のあり方とセットで議論をされた稀有なものでした。それでも、まだまだ、国民の負担増への嫌悪感は強く、安倍政権も消費増税の先送りを決めました。

けれど、未来永劫、毎年度、数十兆円という借金を続けていくことができないのは明らかです。やらなければならないことは、シンプルです。国の収入を増やすのか、支出を減らすのか。現実的には、その両方を平行してやっていくことが必要なのでしょう。

そのやり方については、私は、たくさんの選択肢があると思っています。消費増税に限らず、国民が、所得増税や保険料の値上げの方が納得感があるのならば、それでも良いと思います。国が信用できないので、医療や介護は民間の保険に頼り、国の支出を減らすという手も、国民が納得して選ぶのならば、否定できないと思います。まずは、様々な選択肢を知り、議論をしてみることが必要なのではないでしょうか。

ニュースでは、そのときに議論があることを中心に取り上げざるを得ません。あえて、このコラムでは、「今、議論になっていないこと」を、皆さんに投げかけ、一緒に考えていければと思っています。(松浦祐子さんには月1回程度の割合で連載していただく予定です)

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1)  第209回J.I.フォーラム

「日本の財政、本当はどうなのか ~金融とあわせて考える~」

27年度の政府予算案は史上最高の96.3兆円、債務残高は27年度末に1035兆円(地方含む)になる見込みです。一方、税収は2年前に比べて11兆円増の54兆円、公債費(新たな借金)は平成20年度以来の40兆円切れ(37兆円)など、明るい材料も見え、財政については、 「破綻リスクが高い」 、「改善する」と意見が二分しています。

財政と金融双方のエキスパートにお越しいただき、この先の財政を考えるうえで重要なポイントとなる金利の上昇リスクや、世界の経済状況から見た日本経済の見通し、いわゆる破綻とはどういう状況を言うのかなどについて議論していただきます。

◯日 時: 平成27年2月18日(水)18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場: 日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト: 池尾 和人  慶應義塾大学経済学部 教授

小黒 一正  法政大学経済学部 准教授   他

コーディネーター : 加藤 秀樹 構想日本 代表

◯主 催: 構想日本

◯定 員: 160名

◯参加費: 一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費: 4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は2月17日(火)18:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、HPを御覧ください。
(https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php)

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607

*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。    TEL 03-5275-5607

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(2) シンポジウム「地域での自然資本経営」 in 学士会館

パネルディスカッションに、代表の加藤が登壇致します。

「京都大学 自然資本経営論講座 シンポジウム『地域での自然資本経営』」

◯日 時: 平成27年3月3日(火)17:00~19:40

◯会 場: 学士会館 210号室  千代田区神田錦町3-28

◯登壇者: 谷口正次(京都大学経済学研究科特任教授)
畠山重篤(NPO法人森は海の恋人理事長)
加藤秀樹(構想日本代表)
吉澤保幸(【一社】場所文化フォーラム名誉理事)
田中克(京都大学名誉教授)
谷口正次、植田和弘(京都大学経済学研究科教授)

◯申 込: 京都大学 経済学研究科自然資本経営論講座HPより(先着順)
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/natural_capital/detail

◯参加費: 無料

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(3) 地域医療シンポジウム ~これからの地域医療と公立病院のあり方を考える~

生活習慣病の急増など、過去数十年で患者のニーズや行動は大きく変化しています。一方それに対する医療制度や病院の対応はまだまだです。高齢化に伴う医療、介護を一貫してみていくことの必要性、膨大かつ急増する医療費など、日本の医療制度の抜本改革はまったなしの状況です。

銚子市は、高齢化率が約41%で全国平均の約27%を大きく上回り(※1)、平均寿命は千葉県内でワースト1です。また市立病院への赤字補填が市財政を赤字に転落するほどの悪化の大きな要因となりました。

その”医療課題先端地域”である銚子市で、構想日本が協力し、シンポジウムを開催します。

第一部は財政破綻のため病院がなくなり診療所のみとなった夕張市で、むしろ寝たきりの老人がいなくなったなど、禍を転じて福とした例を元夕張市立診療所長の森田洋之さんに講演していただき、第二部は市長を始めとする銚子市の方たちと市立病院の今後のあり方などについて議論します。

地域の医療現場で奮闘している方、日本の医療問題を考えている方など、大いに参考となると思います。インターネット中継も実施予定です。

ぜひご覧ください。

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地域医療シンポジウム  ~これからの地域医療と公立病院のあり方を考える~

◯主 催 : 銚子市

◯後 援 : 千葉県、銚子市医師会、銚子市歯科医師会、銚子市薬剤師会

◯協 力 : 構想日本

◯日 時 : 平成27年3月1日(日)13:00~16:00

◯場 所 : 銚子市保健福祉センター(銚子市役所南側)

◯対 象 : 100名程度(事前申込み不要、入場無料)

詳細はこちらから
http://www.city.choshi.chiba.jp/sisei/siritubyouin/chiikiiryou_symposium.html
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(※1 銚子市は住民基本台帳(平成27年2月)より。全国平均は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」より平成27年度の推計を抜粋。)

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(4)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

政策シンクタンクPHP総研と共同で本年度スタートした「現場みらい塾」。受講生の満足度が高かったこともあり、来年度は第2期、第3期を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

テーマ

「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。

人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。

特 徴

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

スケジュールなど詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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(1)「尾形光琳300年忌 記念特別展 光琳アート 光琳と現代美術」

本年平成27年は尾形光琳没後300年にあたり、当館では光琳の二大傑作である国宝「燕子花図屏風」と国宝「紅白梅図屏風」を同時に展観する尾形光琳300年忌特別展を開催します。二大国宝が一堂に会するのは56年ぶりのこととなります。

この機会にMOA美術館で、一日ごゆっくりとお過ごしください。

◇会 期:2015年2月4日(水)-3月3日(火)

◇場 所:MOA美術館 静岡県熱海市桃山町26-2 TEL:0557-84-2511

◇開 館:午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)

◇休 館:会期中はなし

◇展示観覧料:大人1,600円/高大生800円(要学生証)/中学生以下 無料

65才以上 1200円(要証明書) http://www.moaart.or.jp

(2)展覧会 東京駅開業百年記念 「東京駅100年の記憶」
(第199回J.I.フォーラム ゲスト 松隈洋様より)

3つの大学(鹿児島、日本、京都工芸繊維)の100名を越える学生たちが、東京駅と丸の内地区のジオラマ模型を制作しました。

ジオラマは、3つの時代(開業当時の1914年、50年後の1964年、100年後の現在)からできており、この街と私たちにとって、いつの時代が最も調和がとれていたのかを観客自ら見比べて考えてもらいたい、という願いが込められています。

移り変わる街の様子が、俯瞰できます。是非足をお運び下さい。

◇会 期:2014年12月13日(土)-2015年3月1日(日)※休館日ご注意下さい

◇会 場:東京丸の内・東京ステーションギャラリー

◇入館料:一般900円 高校・大学生700円 中学生以下無料
詳細はこちらから
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201412_TOKYO_100.html

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