【No.695】「特ダネではないけれど(2)財政破綻の岸」 |新聞記者 松浦祐子氏|
2015.03.05

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J.I.メールニュース No.695 2015.03.05発行

「特ダネではないけれど(2) 財政破綻の崖」

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【1】<巻頭寄稿文>

「特ダネではないけれど(2)  財政破綻の崖」

新聞記者     松浦 祐子

【2】<お知らせ>

(1) 第210回J.I.フォーラム  3月25日(水)開催

「統一地方選を『自分事』に ~投票はまちづくりの第一歩~」

(2) 「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

【3】<ご紹介>

(1) 署名運動 国立競技場の壁画を新競技場に保存し再展示することを求める署名運動

(2) プレイベント 社会を変える第一歩を学ぼう!

【4】構想日本の2015年2月の主なパブリシティ

(1) 対外活動

(2) 記事掲載

(3) その他

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【1】「特ダネではないけれど(2)  財政破綻の崖」

新聞記者     松浦 祐子

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前回(2月12日)のメルマガで、日本の財政や社会保障について「様々な選択肢を知り、議論をしてみることが必要なのではないでしょうか」と書きました。

とはいえ私は、これらの分野の学者ではなく、対立する議論を解説したり、整理したりする力がないことをお許し頂きたいと思います。

その上で一記者として、一有権者として感じている日本の財政と社会保障の持続可能性への危機感について、お伝えしたいと思います。

国と地方の長期債務残高は2014年度末で1千兆円を超える見込みです。GDPの2倍以上の額に上ります。先進国では断トツの多さです。正直なところ、私には、あまりにも大きな数字過ぎて、イメージができません。現実感のない数字に「今、返済しても焼け石に水なのではないか」「将来のための財政再建よりも、今の生活をなんとかして欲しい」と思われる方も多いと思います。

そして、心の底では、経済大国の日本が財政破綻をすることはないだろうし・・・」と。

日本の財政破綻があるのか、ないのか。あったとして「いつ」なのか。これだけで、百家争鳴の議論が繰り広げられています。私も、かつて「いつか」を知りたくて、様々な方に質問をしたことがありました。

その中で一番納得できたのは、ある金融庁幹部のこのような説明でした。「今、日本は、財政破綻という崖に向かって、目隠しをして歩いている状況です。行き先にはかならず崖がある。でも、それまでの距離は分からない。最後は、市場で国債が買ってもらえなくなるかどうかです。買われなくなる理由は、一つとは限らないし、金融だけでなく、政治や社会情勢も引き金になりかねません。そして、そのときは、いきなり訪れます」

何も答えていない官僚答弁だと感じる方もいるかも知れませんが、私は誠実な答えだと感じました。市場のプロにも「いつか」が特定できないからこそ、財政破綻への対応は難しい問題なのだと思うのです。

それでも、国債が買われなくなる要因の一つが、明確に近づきつつあります。

これまで日本の国債の多くは、国民が銀行などに預けた預貯金で買い支えられてきました。しかし、豊富に預貯金ができた団塊の世代は退職の時期を迎え、預貯金を取り崩し始めます。

2025年には、医療や介護のニーズが高まる75歳となり、政府は、増加する社会保障費をまかなわなければなりません。税や保険料でまかなえれば良いのですが、足りなければ、国債を発行せざるを得ません。しかし、非正規社員が増え、賃金上昇も緩やかになっている若い世代に、団塊の世代以上の預貯金を期待するのは望み薄です。国債を買い支えられなくなるリスクは高まると予想されます。

危機を煽るつもりはありません。そのときに、市場が平穏であればラッキーです。具体的な議論を進めるための一つの目標として「2025年までに日本の財政を健全化する」ということを命題に掲げたいと思います。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1) 第210回J.I.フォーラム  3月25日(水)開催

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「統一地方選を『自分事』に ~投票はまちづくりの第一歩~」

4月には統一地方選挙があります。日本中で首長や議員が選ばれるのです。

しかし投票率は昭和26年の約9割から前回の約5割まで低下し続けています。

つまり、私たちは地方自治を60年間にわたって「他人事」にし続けてきたのです。

実は市長や町長、地方議員などの権限は大きく、国会議員よりも私たちの生活に大きい影響を持っています。「他人事」の結果は地方政治・行政の劣化。ツケは自分たちに回ってきます。

これをどうやって「自分事」にしていくか、それぞれ異なる立場でユニークな地域活動をしている方々に議論していただきます。

◯日 時:平成27年3月25日(水)18:45~20:45(開場18:15)
(※日時変更あり)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:増澤 諒 「食べる政治」代表

安丸 国勝 福岡県大刀洗 町長    他

コーディネーター : 加藤 秀樹 構想日本 代表

◯主  催:構想日本

◯定  員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は3月24日(火)18:00まで info@kosonippon.org
にお願いします。

なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、HPを御覧ください。
( https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php )
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607

*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。    TEL 03-5275-5607
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(4)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

政策シンクタンクPHP総研と共同で本年度スタートした「現場みらい塾」。受講生の満足度が高かったこともあり、来年度は第2期、第3期を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

テーマ

「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。

人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。

特 徴

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

スケジュールなど詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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(1) 署名運動 国立競技場の壁画を新競技場に保存し再展示することを求める署名運動

国立競技場の壁画、11作品はいまだに行き先が未定です。既に分割し切り出され、一時仮置き場に移されています。

1964年の東京五輪にむけて国立競技場につくられた戦後日本を代表する画家、宮本三郎、脇田和、寺田竹雄、大沢昌助の壁画計13点。

新国立競技場の敷地内に一括で保存し、再展示することを求めます。 国立競技場の壁画を守る会(代表:大沢昌史)

賛同署名される方はこちらから→https://www.change.org/ 「 壁画 」で検索 『国立競技場の壁画、保存・再展示』へ

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(2) Changemakers Academyプレイベント 社会を変える第一歩を学ぼう!

「『変えたい』気持ちを形に」をコンセプトに、一人一人の気持ちを具体的なアクションに高め、私たちの手で社会を変えるための、具体的な方法を学び、実際にキャンペーンを実行するプログラムを企画しました。

プログラムの概要をご紹介すると同時に、改めて女性に関する問題の整理をしながら、私たちが今、できることを考えるイベントを開催いたします。

日本の女性や男性を取り巻く問題に関心のある方、男女やジェンダーを問わず大歓迎です。

世の中を変えるための実践を学びたい方や、プログラムの中身を知りたい方は、ぜひご参加ください!

◇日 時: 2015年3月22日(日)

◇受 付:12時30分〜

◇講 演:13時〜(16時30分頃終了予定)

◇場 所: 六本木ヒルズ近辺(参加お申し込み後に詳しいアクセスをご連絡します)

◇定 員: 80名、先着順

◇費 用: 1000円

イベントの詳細、お申し込みはこちらのページから http://peatix.com/event/76108

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【4】構想日本 2015年2月の主なパブリシティ

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(1) 対外活動

<講演・研修等>

2月10日 京都府議会民主党会派事業仕分け 学生判定人向け研修会(総括ディレクター 伊藤伸)

2月13日 富津市議会事業仕分け説明会(総括ディレクター 伊藤伸)

<審議会>

2月7日 福岡県大刀洗町「住民協議会」(総括ディレクター伊藤伸、政策アナリスト川嶋幸夫)

2月10日 京都府議会民主党議員団「事業レビュー」(代表 加藤秀樹、総括ディレクター伊藤伸)

2月10日 三原市有志による財政勉強会(政策アナリスト川嶋幸夫)

※その他、首長や自治体との打ち合わせ15件

(2) 新聞・テレビ等メディア掲載

2月2日 東京新聞 私説・論説室から なぜ「1億人」なのか (代表 加藤秀樹コメント)

2月13日 全国農業新聞 民俗芸能、絆深め心の支えに 懸田弘訓さんが講演 (J.I.フォーラム)

2月15日 朝日新聞 施設削減 市民が仕分け 構想日本が支援

2月19日 地方行政 「目線を市民に合わせる」 市民判定人方式の事業仕分け

2月20日 日本経済新聞 千葉版 「貯金」確保に苦慮 「市民巻き込み再建策を」 (総括ディレクター伊藤伸コメント)

2月20日 東京新聞 八千代市 仕分け効果3億2000万円

2月20日 千葉日報 八千代市予算案 事業見直し歳出削減 仕分け結果など反映

2月26日 地方行政「重要な事は、住民との合意形成の仕組みづくり 公共施設の見直し手順と留意事項」 (政策アナリスト川嶋幸夫)

(3) その他

2014年10月~国立大学法人京都大学経営協議会委員(代表 加藤秀樹)

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