【No.699】「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(前編)」|アート・コーディネーター   森 桜氏|
2015.04.02

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J.I.メールニュース No.699 2015.04.02発行

「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(前編)」

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【1】<巻頭寄稿文>

「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(前編)」

アート・コーディネーター   森 桜

【2】<お知らせ>

(1) 第211回J.I.フォーラム  4月23日(木)開催

「『暴力・虐待』とどう向き合うか ~少年の殺人や子どもの虐待を繰り返さないために~」

(2) 「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

【3】<ご紹介>

(1) 署名運動 国立競技場の壁画を新競技場に保存し再展示することを求める署名運動

【4】構想日本の2015年3月の主なパブリシティ

(1) 対外活動

(2) 記事掲載

(3) その他

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【1】「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(前編)」

アート・コーディネーター   森 桜

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今、虎ノ門の「ホテル・オークラ東京」にたくさんの人々が訪れている。今年8月で本館が閉館し、建替えが始まるからだ。最後の姿を一目見ておこうということらしい。

昨年5月に計画が発表されて以来、国内外で数多くのメディアが報じてきた。『ニューヨーク・タイムズ』、『ワシントン・ポスト』、『リベラシオン』、国内主要メディアをはじめ、建築雑誌『カーサ・ブルータス』から女性誌『リシェス』まで次々と特集を組んでいる。多くが取り壊しを惜しみ再考を求める記事だ。

なぜ、日本の一ホテルにすぎないオークラの建替えが、これほど話題になるのだろうか。

ホテル・オークラ東京は、1964年の東京五輪を見据え「世界に通用する日本ならではのホテル」をつくろうと、実業家の大倉喜七郎が私財を投じて計画、谷口吉郎を中心に富本憲吉ら当時の日本を代表する建築家や工芸家たちが実現、1962年に開業した。これまでに歴代の米国大統領はじめ世界各国の首脳が宿泊、ジョン・レノンら多くの著名人が定宿にしてきた。

その魅力は「オークラ・ランターン」と呼ばれる水晶が連なるようなペンダント・ライト、梅の花びらのように配置された小さなソファと漆塗りのテーブル、麻の葉を広げたような木組みの格子など、日本の伝統工芸の粋を集めた家具や建具など隅々に見てとれるが、何といっても一番の魅力は、本館ロビーの空間そのものだ。

正面入口から入って、天井が適度に低く抑えられたエントランス・ホールを通り、ロビーに抜け出たときの独特の開放感に驚く。そこから一段低くなったロビーに降りソファに座って、雪見窓から覗く庭の緑を眺め、障子から差し込む柔らかな光に包まれると、この空間があたたかく静かにゲストを迎えてくれることを実感する。

しかもこのホテルの中心である広々としたロビーは、いつでも誰でも自由に使えるように開放されている。経済効率がきびしく求められる今の東京では、稀有な存在だ。

この空間体験は、海外の人々にも鮮烈に記憶、共有されている。

米国のホテル専門家、ショーン・マクファーソン氏は「オークラの美意識の精緻さはズバ抜けている」、英国雑誌のアジア支局長、フィオナ・ウィルソン氏は「瞬時に日本のデザインだと分かる世界で『ベスト』のロビー」、ドイツ出身のクリエイティブ・ディレクターのトーマス・マイヤー氏は、「日本の伝統とモダンが融合した唯一無二の建物。オークラは私たち外国人にとって『東京の顔』」と評す。

英国のファッション・デザイナーのマーガレット・ハウエル氏は、「ショック。オークラの独特の雰囲気は流行に左右されず大切に保持し、年月をかけて慈しんできたからこそ。1度壊してしまったら、もう2度と同じものはできない」、米国の建築家のスティーブン・ホール氏は「取り壊されるのは悲劇。他の方法を模索して、子供たちに受け継ぐべき」と警告する。

(来週、後編をお送りします)

◎ホテル・オークラ東京 http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/
〒105-0001東京都港区虎ノ門2-10-4 代表取締役社長 池田正己 / 総支配人 西村晃

◎署名サイト「save the okura/オークラを守れ」(英国雑誌『モノクル』) http://savetheokura.com

◎写真投稿サイト「My Moment At Okura/オークラでの私の時間」(「ボッテガ・ヴェネタ」)
http://www.bottegaveneta.com/jp/collection/mymomentatokura_grd16961

◎参考文献
○佐久間裕美子「海外から『ホテル・オークラを救え』の声」『アエラ』(150128)
http://dot.asahi.com/aera/2015020500084.html

○レジス・アルノー「日本の伝統美を『破壊者』から守れ」『ニューズ・ウィーク』(140701)
http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2014/07/post-866.php

○「ホテル・オークラの取壊しを惜しむ」『CNN』(140715) http://www.cnn.co.jp/travel/35050884.html

○マーガレット・ハウエルほか「MY MEMORY OF OKURA(なくならないで、私のオークラ)」『カーサ・ブルータス』(141210)

〈ホテルオークラ東京〉建て替えに、世界中から続々エールが!「なくならないで、私のオークラ」

○Anna Fifield「As Olympics loom, a landmark of Japanese modernism will be torn down」『ワシントン・ポスト』(150202)
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/as-olympics-loom-a-landmark-of-japanese-modernism-will-be-torn-down/2015/02/01/f55fc992-84fd-4095-8b2f-2034c7a837b2_story.html

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森 桜 (もり さくら)

1965年生まれ。森オフィス代表。アートや建築の展覧会やシンポジウムを企画。筑波大学を卒業後、西武百貨店美術部、東京国立博物館法隆寺宝物室(非常勤)を経て現職。多摩美術大学非常勤講師。作家の森まゆみらと国立競技場の改修活用を求める市民活動にも参加。

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<蛇足ですが…>

東京の一ホテルにすぎないホテルオークラの建替えにこれだけ多くの外国の識者、メディアが反対するのは、ホテルオークラに宿泊した外国人のノスタルジーではない。“パブリック”“公共の利益“の考えによるものだ。民間のものであっても、社会的な価値があり、多くの人に愛されるものは、”パブリック“な価値があるものなのだ。

パリやロンドンやニューヨークの街並も世界遺産登録されている建物もこうやって守られてきた。多くの日本人、メディアが文化立国と言いながら、この立替えを看過するのは世界に恥ずかしいと私は思う。

英エコノミスト誌は、「北京と違って日本人は逮捕されることがないのに何故抗議しないのか」と批判している。 (構想日本 加藤 秀樹)

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【2】(1) 第211回J.I.フォーラム  4月23日(木)開催

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『暴力・虐待』とどう向き合うか ~少年の殺人や子どもの虐待を繰り返さないために~

川崎市で起きたような中・高生の殺害、幼児虐待あるいは家庭内暴力など、日常的な環境の中で起きる暴力や虐待が絶えません。

そして常に伝えられるのが、学校、警察、児童相談所などの行政機関の対応が後手後手に回っていることです。

自ら被害者、加害者の間に入って直接話をし、これまで2万件以上の問題を解決してきた玄秀盛さんと、制度づくりを含めて子どもの虐待撲滅に奔走している後藤啓二さんのお二人に、再発を防ぐにはどうすべきか、地域の問題、行政の問題などについて具体的に議論していただきます。

◯日 時:平成27年4月23日(木)18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:玄 秀盛  公益社団法人日本駆け込み寺 代表

後藤 啓二 NPO法人シンクキッズ 代表幹事

コーディネーター : 加藤 秀樹 構想日本 代表

◯主  催:構想日本

◯定  員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は4月22日(水)18:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、HPを御覧ください。
( https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php )

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607

*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。    TEL 03-5275-5607
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(2)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

政策シンクタンクPHP総研と共同で本年度スタートした「現場みらい塾」。受講生の満足度が高かったこともあり、来年度は第2期、第3期を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

テーマ

「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。

人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。

特 徴

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

『第2期』スケジュール

第1回:2015年5月16日(土)13時~18時半、17日(日)9時半~16時

第2回:6月20日(土)10時~18時

第3回:7月11日(土)10時~18時

第4回:8月8日(土)13時~18時半、9日(日)9時半~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。

ディレクター 伊藤伸

◇3月11日 「情報共有と冷静な目で原発問題を乗り越える ~福島第一原発の中から見た現実~」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150311-00043751/

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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(1) 署名運動 国立競技場の壁画を新競技場に保存し再展示することを求める署名運動

国立競技場の壁画、11作品はいまだに行き先が未定です。既に分割し切り出され、一時仮置き場に移されています。

1964年の東京五輪にむけて国立競技場につくられた戦後日本を代表する画家、宮本三郎、脇田和、寺田竹雄、大沢昌助の壁画計13点。

新国立競技場の敷地内に一括で保存し、再展示することを求めます。 国立競技場の壁画を守る会(代表:大沢昌史)

賛同署名される方はこちらから→https://www.change.org/ 「 壁画 」で検索 『国立競技場の壁画、保存・再展示』へ

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【4】構想日本 2015年3月の主なパブリシティ

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(1) 対外活動

<講演・研修等>

3月1日 銚子市「地域医療シンポジウム ~これからの地域医療と公立病院のあり方を考える~」(代表 加藤秀樹)

3月8日 福岡県大刀洗町「住民協議会」(総括ディレクター 伊藤伸)

3月14日 屋久島町職員研修会(総括ディレクター 伊藤伸)

3月26日 銚子市職員研修会(総括ディレクター 伊藤伸)

※その他、首長や自治体との打ち合わせ9件

<審議会等>

3月16日 行方市行政評価委員会出席(総括ディレクター 伊藤伸)

3月20日 松阪市 公共・公用施設施設最適管理検討委員会(政策アナリスト 川嶋幸夫)

3月30日 銚子市行政改革推進本部出席(総括ディレクター伊藤伸)

(2) 新聞・テレビ等メディア掲載

3月5日   特集 公共施設等総合管理計画の策定(下〉
「市営住宅のあり方市民討議会」を開催 住民との合意形成、 松阪市の実践事例から 地方行政

3月18日 省庁事業のムダ公開点検 毎年秋に定期実施 日本経済新聞

3月23日 政策提言とはー政策が実現するまでー eマナビバ(早稲田大学)

3月27日 私たちは生きているか 道標 2015年春 第48号

(3) その他

3月9日 福島第一原発視察(Yahoo!オーサーとして)(総括ディレクター 伊藤伸)

2014年9月~国立大学法人京都大学経営協議会委員(代表 加藤秀樹)

2015年4月~隔週月曜日 国立大学法人京都大学経済学部 「公共経営論1」講義 (代表 加藤秀樹)

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