【No.70】日々の政策決定と政治改革の関係
2002.10.25

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日々の政策決定と政治改革の関係
JIニュースNo.70  2002.10.25
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■■ 目次 ■■
《日本の風景》日々の政策決定と政治改革の関係
― 小泉総理訪朝と不良債権処理に共通する問題は? ―

加藤秀樹(構想日本代表)
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《日本の風景》日々の政策決定と政治改革の関係
― 小泉総理訪朝と不良債権処理に共通する問題は? ―
加藤秀樹(構想日本代表)
●外相不在の訪朝計画
小泉総理の北朝鮮訪問と不良債権問題への対応、この2つには、共通点
があります。何だと思いますか?
実は、北朝鮮訪問は、総理、福田官房長官、そして、外務省のごく一
部の人達が準備を進めてきました。外交交渉には、重要機密に関わる問題
が多く、情報管理が大切です。しかし、担当大臣である川口外務大臣が、
このことについて何も知らされていなかったというのは、いかにもおかし
な話ではないでしょうか。
今回の総理の訪朝で、両国間交渉はやっと、スタートラインにたち、こ
れから、本格的な交渉レベルに移ろうとする時に、その責任者である外務
大臣が“蚊帳の外”に置かれていたという状況で、日本の外交はちゃんと
機能するのでしょうか。
おりしも、その直後に北朝鮮の核開発の事実が明らかになりました。拉
致問題から核開発まで、様々な問題をどう整理して、日本の国益にかなっ
た外交戦略をたてるか。それには、防衛庁や警察を含めた情報の収集、分
析が必要です。
国民に対して、機密情報が知らされないことは当然あり得ますが、内閣
の重要メンバーが情報と認識を共有していないのでは、意思決定と責任
という政治の基本がおろそかになってしまっています。

●不良債権処理案は先送り?
一方、竹中金融担当大臣は、民間の専門家を含む「金融分野緊急対応戦
略プロジェクトチーム」を発足させ、不良債権処理促進策の骨格をまとめ
ています。ところが、自民党幹部の強い反対で、10月22日に予定されてい
た中間報告公表が見送られました。プロジェクトチームの議論のし方が不
透明だという批判に対して竹中氏は、事前に議論がオープンにされていた
ら、横槍が入って適切な案をまとめることが難しくなったと言っています。
これは、その通りでしょう。しかし、「100点」の案が発表あるいは実行
の段階でつぶされて「50点」になるのでは、事前に妥協して「50点」案を
すんなり出すのと、結果的には変わらなくなります。
この問題は、政府が決定すべき問題ですから、本来何の権限もなく、ま
た責任も負わない与党の議員が、政府の意思決定に横槍を入れるのは、本
来はおかしいことです。しかし、日本の政治では、与党の幹部が内閣を構
成し、内閣と与党の意思決定が一体という状況が実現していませんから、
これを実現するために、閣僚も官僚も与党の政治家たちも、莫大なエネル
ギーを費さざるを得ないのです。

●内閣の統治能力の強化を
構想日本は、かねてから、「政」と「官」のあり方を見直し、“強い内
閣”への改革を提言してきました(くわしくは、 ホームページをどうぞ。
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=68 )。以上の2つの例で私が
感じたのは、「強い(本来の)内閣」を実現するための様々な改革を行わ
なければならないのはもちろんですが、同時に個々の政策に関する意思決
定を行う際に、本来の内閣の機能が発揮できるよう、総理や閣僚が行動で
示すことが重要だということです。
今回の例でいえば、川口外相が信頼できないのなら、総理は川口氏を罷
免する、あるいは逆に川口氏が外相の責任を果たせないとして辞任する。
また、竹中氏は、自民党が報告書を出させないというのであれば辞任す
るといったことを含めて、原則に従ったプロセス一つ一つを大切にすべき
だと思います。
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