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【No.700】「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(後編)」

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J.I.メールニュース No.700 2015.04.09 J.I.誕生日 発行

「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(後編)」

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【1】<巻頭寄稿文>

「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(後編)」

アート・コーディネーター   森 桜

【2】<お知らせ>

(1) 第211回J.I.フォーラム  4月23日(木)開催

「『暴力・虐待』とどう向き合うか ~少年の殺人や子どもの虐待を繰り返さないために~」

(2) 構想日本新スタッフ2名のご紹介

(3)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

(4) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

【3】<ご紹介>

(1)第208回J.I.フォーラムゲスト懸田弘訓氏の団体に支援の輪(助成金決定)

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【1】「『ホテル・オークラ東京』というかけがえのない場所を失う前に(後編)」

アート・コーディネーター   森 桜

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海外だけではなく国内、とりわけ東京で暮らす多くの人々にとっても、オークラは特別な場所だ。何世代にもわたって別邸のように使うゲストも多い。私は同窓会や送別会など重要な会合で何度もここを訪れた。料理の美味しさやサービスの良さもさることながら、「大切な日は、オークラのあの空間でゆっくり過ごしたい」という思いが強い。

こうした声に耳を傾ければ、オークラはもはや単なるホテルではなく、日本を代表し世界中から愛されるパブリック・スペースであることがわかる。

報道によると「ホテル間競争の激化、施設の老朽化、敷地の有効活用」などを理由に建替えて高層化するという。

だが、外資系ホテルの多くが高層タワーにあるのだから、オークラはむしろ今の建物を売りにした方が個性と魅力が際立つのではないだろうか。

施設の老朽化は専門家によれば、同じように話題になった六本木の国際文化会館同様、改修でじゅうぶん対応できる。また、敷地の有効活用といっても、客室数は現在の796室から938室と17%しか増えない(別館含む)。「高層化した方が今よりも緑地が増える」というが、もともと広くない敷地にそびえ立つ高さ200mのタワーの下で、人々はくつろげるのだろうか。

本館ロビーについても「今の雰囲気をできるだけ継承して、同じコンセプトでつくる」というが、50年という年月が蓄積されたからこそ醸し出される成熟した雰囲気を、新たにつくり直して継承できるのだろうか。

パリ市長助役、クリストフ・ジラール氏は、本館ロビーをいじったら「もう2度と泊まらない」。トーマス・マイヤー氏も今のオークラがなくなったら「東京へ旅する理由がなくなる」とまで言う。建替えによって常連客とオークラの間に築かれてきた信頼関係は崩れてしまうだろう。

2020年の東京五輪にむけて日本の優れた文化を世界に発信しようとするさなかに、最高のシンボルを自ら壊すことによるイメージ・ダウンは計り知れない。

半世紀にわたりこの建物を維持活用しながら、この空間ならではの素晴らしいホスピタリティを発揮し続けてきたオークラ。今こそ、その矜持をみせてほしい。

ハーバード大学・建築学部長の森俊子氏は「オークラのような公共の建物には人々の楽しい思い出が詰まっている。過去と未来をつなぐことに市民も参加すべき」という。

取り壊しまであと5ヶ月。私たちにできることはないだろうか?

英国のインテリア雑誌『モノクル』は、webで保存を求める署名を集めている。イタリアのブランド「ボッテガ・ヴェネタ」は、SNS「インスタグラム」でオークラの写真を投稿することを呼びかけ、記憶と価値を共有し拡散している。

日本の署名サイトも開かれた。ぜひ下記を見ていだきたい。

なによりもまず、オークラを訪れてみてほしい。本館のロビーはじめ、中2階の回廊や洗面所まで、1つ1つに触れてほしい。そして、もし「これは残した方がいい」と思ったなら、ホテルのスタッフに話しかけたり、支配人に手紙を書いてみてはどうだろう。

私たちがオークラを訪ねる姿を、必ずスタッフたちは見ている。「本館ロビーがなくなるのはあまりにもったいない」と嘆くスタッフもいる。

私たちの小さな声が少しずつ積み重なり、現場にいる彼らの背中を後押しできたとき、わずかだが光は見えてくる。「ホテル・オークラ東京」というかけがえのない場所を失う前に。

◎ホテル・オークラ東京 http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/
〒105-0001東京都港区虎ノ門2-10-4 代表取締役社長 池田正己 / 総支配人 西村晃

◎署名サイト「ホテルオークラ東京建て替え中止を求めます」(チェンジ・オルグ)
※「チェンジオルグ ホテルオークラ」で検察すると当該サイトが見つかります。

◎署名サイト「save the okura/オークラを守れ」(英国雑誌『モノクル』) http://savetheokura.com

◎写真投稿サイト「My Moment At Okura/オークラでの私の時間」(「ボッテガ・ヴェネタ」)
http://www.bottegaveneta.com/jp/collection/mymomentatokura_grd16961

◎参考文献
○佐久間裕美子「海外から『ホテル・オークラを救え』の声」『アエラ』(150128)
http://dot.asahi.com/aera/2015020500084.html

○レジス・アルノー「日本の伝統美を『破壊者』から守れ」『ニューズ・ウィーク』(140701)
http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2014/07/post-866.php

○「ホテル・オークラの取壊しを惜しむ」『CNN』(140715) http://www.cnn.co.jp/travel/35050884.html

○マーガレット・ハウエルほか「MY MEMORY OF OKURA(なくならないで、私のオークラ)」『カーサ・ブルータス』(141210)

〈ホテルオークラ東京〉建て替えに、世界中から続々エールが!「なくならないで、私のオークラ」

○Anna Fifield「As Olympics loom, a landmark of Japanese modernism will be torn down」『ワシントン・ポスト』(150202)
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/as-olympics-loom-a-landmark-of-japanese-modernism-will-be-torn-down/2015/02/01/f55fc992-84fd-4095-8b2f-2034c7a837b2_story.html

◯DISCOVER MODERN ARCHITECTURE IN JAPAN 「カーサ ブルータス」主催、モダニズム建築講演会リポート http://casabrutus.com/special/japanese-modern-architecture/report
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森 桜 (もり さくら)

1965年生まれ。森オフィス代表。アートや建築の展覧会やシンポジウムを企画。筑波大学を卒業後、西武百貨店美術部、東京国立博物館法隆寺宝物室(非常勤)を経て現職。多摩美術大学非常勤講師。作家の森まゆみらと国立競技場の改修活用を求める市民活動にも参加。

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<前回とほぼ同じの 蛇足ですが…>

東京の一ホテルにすぎないホテルオークラの建替えにこれだけ多くの外国の識者、メディアが反対するのは、ホテルオークラに宿泊した外国人のノスタルジーではない。“パブリック”“公共の利益“の考えによるものだ。民間のものであっても、社会的な価値があり、多くの人に愛されるものは、”パブリック“な価値があるものなのだ。

パリやロンドンやニューヨークの街並も、世界遺産登録されている建物もこうやって守られてきた。

世界から価値を認められているということは「世界の公共財」だということだ。

多くの日本人、メディアが文化立国と言いながら、この建て替えを看過するのは世界に恥ずかしい。

これをどうするかで日本人の知性と品性と誇りが問われていると私は思う。

英エコノミスト誌は昨年7月「資本犯罪」と題するコラムで、「北京と違って日本人は逮捕されることがないのに何故抗議しないのか」と批判している。この批判を賞賛に変えたいと思う。(構想日本 加藤 秀樹)

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【2】(1) 第211回J.I.フォーラム  4月23日(木)開催

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『暴力・虐待』とどう向き合うか ~少年の殺人や子どもの虐待を繰り返さないために~

川崎市で起きたような中・高生の殺害、幼児虐待あるいは家庭内暴力など、日常的な環境の中で起きる暴力や虐待が絶えません。

そして常に伝えられるのが、学校、警察、児童相談所などの行政機関の対応が後手後手に回っていることです。

自ら被害者、加害者の間に入って直接話をし、これまで2万件以上の問題を解決してきた玄秀盛さんと、制度づくりを含めて子どもの虐待撲滅に奔走している後藤啓二さんのお二人に、再発を防ぐにはどうすべきか、地域の問題、行政の問題などについて具体的に議論していただきます。

◯日 時:平成27年4月23日(木)18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:玄 秀盛  公益社団法人日本駆け込み寺 代表

後藤 啓二 NPO法人シンクキッズ 代表幹事

コーディネーター : 加藤 秀樹 構想日本 代表

◯主  催:構想日本

◯定  員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は4月22日(水)18:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、HPを御覧ください。
( http://www.kosonippon.org/forum/index.php )

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607

*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。    TEL 03-5275-5607
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(2)構想日本新スタッフ2名のご紹介

4月よりスタッフが2名増えました。2人とも地方自治体職員(浜松市、淡路市)で、研修派遣として1年間勤務します。

J.I.フォーラムや地方自治体への出張等で皆さんとお会いする機会もあると思いますので、お気軽にお声掛けください!

「浜松市」 山本 記子(やまもと のりこ) 仕事面ではたくさんのことを学ばせていただき、劇団四季を始め東京ならではの芸術や古典芸能を堪能できたらと思います。

「淡路市」 原田 将大(はらだ まさひろ)「阪神タイガースの試合が観れない!」という驚愕の事実から始まった東京生活ですが、それ以上に構想日本で働ける時間を大切にし、地方から社会を変えられるよう日々学んでいければと思っております。

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(3)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

政策シンクタンクPHP総研と共同で本年度スタートした「現場みらい塾」。受講生の満足度が高かったこともあり、来年度は第2期、第3期を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

テーマ

「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。

人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。

特 徴

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

『第2期』スケジュール

第1回:2015年5月16日(土)13時~18時半、17日(日)9時半~16時

第2回:6月20日(土)10時~18時

第3回:7月11日(土)10時~18時

第4回:8月8日(土)13時~18時半、9日(日)9時半~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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(4) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。

ディレクター 伊藤伸

◇4月2日「投票率低下の原因は『仕組み』にあり~統一地方選を機に公選法の抜本的な見直しを~」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150402-00044479/

◇3月11日 「情報共有と冷静な目で原発問題を乗り越える ~福島第一原発の中から見た現実~」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150311-00043751/

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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(1)懸田弘訓氏の団体に支援の輪(助成金決定)

第208回J.I.フォーラム「無形文化財にかけた生涯」ゲスト懸田弘訓氏の団体に支援の輪が広がっている。

公益財団法人東日本鉄道文化財団の地方文化事業支援として、福島の無形文化財を保護している懸田弘訓氏の団体が助成事業の対象となり、支援金が交付される運びとなった。

公益財団法人東日本鉄道文化財団は、JR東日本管内の貴重な文化遺産や伝統芸能などの保全と継承、地域の発展のために、資金援助を行う形で地方文化事業の支援を行っている。(HPより抜粋)http://www.ejrcf.or.jp/culture/index.html

今月4月24日、福島県内で「福島県域無形民俗文化財助成事業」承認書贈呈式が行われる。

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