メールマガジン

【No.703】「山からの便り・美山森林学校・5」

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J.I.メールニュース No.703 2015.04.30 発行

「山からの便り・美山森林学校・5」

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【1】<巻頭寄稿文>

「山からの便り・美山森林学校・5」

美山森林学校校長  小林 直人

【2】<お知らせ>

(1) 第212回J.I.フォーラム  5月28日(木)開催予定

「地方創生 『大学習会』」

(2) 「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

【3】<ご紹介>

(1)まだまだ終わらない公開勉強会 5月11日(月)開催

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【1】「山からの便り・美山森林学校・5」

美山森林学校校長  小林 直人

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「君は歌うことができる」

サダマサシが、2拍子のバックビートで歌い上げるこの歌を、徳永君に捧げたい。

歌はこう続く。「ありきたりの愛の言葉や、使い古された励ましの言葉、そんな言葉を捨てて、君の言葉で歌う事が出来る」

彼は、あの夜(豪雪の開校日)参加してくれた、京都建築専門学校三人組の一人である。※

一人は女性、二人が男性であった。一人100本宛の植林方針を発表した時、女性は参加を保留した。「私はちょっと・・・。」

彼女は7月のうなぎとりの時、ビキニ姿で川に立って以来、来なくなった。(春に行う植林は欠席)

ルンペンストーヴを囲んだ会話は以下のようなものである。「私のダーリンは」等という彼女の話題に他の二人が二人称で入ることが無く、「何だよ、君らはアッシーなのかよ」と分かったのだが、長身でイケメンの杉浦君は、ギリシャで追い剥ぎに会った話をしてくれた。

バックパッカーの装いで路傍に座っていた時、見知らぬ人が近づいて来てクッキーを差し出した。食べた。意識が朦朧となる。やがて正気に戻ると、身ぐるみ剥がれた我に返る。

普段は物静かな印象の彼が、これだけの話を了えるためには、その場の意識が集中していなければならない。僕等は皆聞き入っていたのである。大きな声や多げさな身振りの持ち主は、他愛のないことを喋っているときでも、意識を掻き集めることができるけれど、杉浦君は静かで控えめの人である。だから、いつまでも印象が強く残っている。

専門学校がダブルスクール化していることは聞き及んでいるので、大学を終えたとき、卒業旅行を済ませてから再入学したのだろう。ギリシャを一人旅なんていいじゃない、追い剥ぎに会うことも滅多に経験出来ることではない。

徳永君の話をしているのであった。

徳永君はまったりした口調でよくしゃべる。使い古された言葉が多い。眼鏡の奥は真っ直ぐで柔和な色を帯びている。人を押し分ける様なあつかましさは感じられない。

ある日、大きなリンゴを土産に持ってきてくれたことがあった。二つに割ると芯の回りに蜜が入っている。完熟の印である。美味い。完熟の果物は栽培している人しか味わえないものだ。賞味期限が短か過ぎるので、流通にはなじまないのである。徳永君はリンゴ農家だろうか。

もち米が古いですが、とことわり付きで餅を持ってきてくれたこともある。さすがに古い味だ。けれど、米を作ったことがない人に米の味がわかるだろうか。僕の近所では、去年の米を食べて今年の米を古米にしてしまう癖がある。百姓の性というか、知恵というか。ワー新米だー、と喜んで食べる我家など知恵が足りないのかも知れない。美味さが分かることは不幸なのかも知れない。徳永君は百姓だろうか。

お母さんを連れてきた事がある。お母さんは、大鍋の前に座ると野球帽をヒョイと横向きにして、鍋蓋で野菜をかき混ぜた。その手慣れたこと。大家族を食べさせてきたに違いない。

僕は想像する。徳永君は長野県の庶民だろうかと。

専門学校を卒業して、2人とも関東に就職して行った。

「エー!、徳永君」。久しぶりの電話はそのくらいの時間が経過していた。

「八角堂に泊ってもいいですか」。「いいよ」。

翌日、森林学校の山を見たいというので、二人で見に行った。3月の声をきいてもまだ残雪は多い。杉の木は見えず、スキー場の様な斜面があるだけだった。その端っこに覗いているわづか数十センチの杉の穂先を彼と二人で見つめた。

山の斜面に積もる雪は、やがて圧雪となって地軸の方向に押し付けるのだが、斜面である以上、下に向かっても滑って行く。そのエネルギーが開放されて雪崩が発生するのだが、杉の木は、その圧力に耐えて春を待っている。その時の様子を見た人はいない。

八角堂の側には谷川が流れている。森林学校の日は大勢で楽しく話しているので、川の音は聞こえない。徳永君は一人で谷川の音を聞きながら眠るのだと言った。

「君の言葉で歌うことが出来る」と言う時、「君の身体で歌う」と言い換えてもいいのかも知れない。

※参照メルマガ NO.653、664、679、693 山からの便り・美山森林学校

http://www.kosonippon.org/mail/detail.php?id=659 他

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小林 直人(こばやし なおと)

1941年生まれ。同志社大学文学部卒業。京都府南丹市で林業を生業にする。美山森林学校校長。

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【2】(1)第212回J.I.フォーラム  5月28日(木)開催予定

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「地方創生 『大学習会』」

地方創生という言葉を頻繁に聞きます。政府は今年、初年度で1兆7,300億円の予算(26年度補正を含む)を用意しました。自治体はその受け皿のためのプラン(地方版総合戦略)作りを始めています。しかし、実はその中身がよくわかっている人は少ないようです。

今回は構想日本が地方創生のしくみや現状、効果などをわかりやすく整理し、みなさんに理解していただいた上で、ゲストに期待や課題について議論していただきます。

5年間で何兆円ものお金が使われます。税金が有効に使われ、地方が活力を取り戻せるよう私たちも「自分事」として考えたいと思います。

◯日 時:平成27年5月28日(木)18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:木下 富美子(北海道江差町顧問、地方創生人材支援制度による民間からの派遣)

清水 聖義(群馬県太田市長)                   他

◯コーディネーター : 加藤 秀樹 構想日本 代表

◯主  催:構想日本

◯定  員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は5月27日(水)18:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

必要事項等詳細は、HPを御覧ください。なお、お申し込みはHPからも出来ます。
( http://www.kosonippon.org/forum/regist.php )
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(2)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始

政策シンクタンクPHP総研と共同で本年度スタートした「現場みらい塾」。受講生の満足度が高かったこともあり、来年度は第2期、第3期を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

テーマ

「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。

人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。

特 徴

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

『第2期』スケジュール

第1回:2015年5月16日(土)13時~18時半、17日(日)9時半~16時

第2回:6月20日(土)10時~18時

第3回:7月11日(土)10時~18時

第4回:8月8日(土)13時~18時半、9日(日)9時半~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php

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(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。

代表 加藤秀樹

◇4月10日「世界が「私たちの財産」と言う建物を日本人は守れないのか」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20150410-00044704/

ディレクター 伊藤伸

◇4月8日「下宿中で住民票を移動していない学生有権者の皆さん、投票は今からでもできます。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150408-00044650/

◇4月2日「投票率低下の原因は『仕組み』にあり~統一地方選を機に公選法の抜本的な見直しを~」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150402-00044479/

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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(1)まだまだ終わらない公開勉強会 5月11日(月)開催

「戦後日本が失ったもの。景観は誰のものか」~元オランダ大使 東郷和彦氏を囲んで~

解体が進む国立競技場ですが、これで終わりではありません。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、新国立競技場だけでなく、東京のあらゆるところで開発が始まっています。同じような「ヒルズ」はもういりません。
お一人ずつじっくりとお話しを聞く場を持ちます。そして、次に活かしていきたいと思います。http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/pg200.html

◯日 時:2015年5月11日(月)19時~21時

◯講 師:東郷和彦氏 (京都産業大学教授・世界問題研究所長)

◯会 場:公益社団法人 日本建築家協会 1階建築家クラブ
東京都渋谷区神宮前2-3-18JIA館

◯会 費:500円 (飲み物つき)

◯主 催:神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会

◯問合せ:info@2020-tokyo.sakura.ne.jp

◯申 込:http://kokucheese.com/event/index/286716/ FAX:03-5214-6663

人数把握のために事前お申し込み下さい。(当日、申込なしの参加も歓迎致します)

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