【No.71】よい政治家を選ぶための改革を
2002.11.01

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よい政治家を選ぶための改革を
JIメールニュースNo.71  2002.11.1
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■■ 目次 ■■
1.《日本の風景》よい政治家を選ぶための改革を
― 国の制度改革とともに有権者の“選ぶ”学習を! ―
構想日本政策スタッフ 山谷 真名
2.《J.I. Action Summary》
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1.《日本の風景》よい政治家を選ぶための改革を
― 国の制度改革とともに有権者の“選ぶ”学習を! ―
構想日本政策スタッフ 山谷 真名
●投票率が低いのは、なぜ?
次の数字は何でしょう?
・山形 43.54%、神奈川 33.66%、新潟 51.86%、大阪 41.45%、
福岡 49.00%、
・千葉 24.14%、鳥取 56.35%
これらは、10月27日に行われた統一補欠選挙の投票率です。7選挙区
全てで前回の衆議院、参議院選挙を下回り、参議院千葉選挙区の場合に
は、27ポイント近くも下がりました。24.14%は、有権者4人のうち3人
以上が棄権したことを示しています。
投票率の低迷については、いろいろな原因が考えられますが、その中
でも、有権者が充分な候補者情報を得られないために、候補者ひいては
選挙に対する関心が低くなっている点が大きいと思います。
現在の選挙運動の方法は、果たして有権者の政策や人柄を本当に理解
できるようになっているでしょうか。
街宣車の連呼では、有権者には候補者の名前しか伝わりません。選挙
広報は、記載できる情報量が限られているため、“スローガン”しか伝
わりません。これでは、候補者の政策の内容や実行力といった政治家と
しての資質を見抜くための情報は、充分に得られません。
時間や場所の制約が小さいインターネットは、有権者が候補者につい
ての情報を得るための有効な手段ですが、現在の制度の下では、ホーム
ページの利用は「法定外の文書図画の頒布に該当するため禁止」(公職
選挙法第142条についての総務省の見解)されています。つまり、選挙
運動でホームページを利用すると、違法行為となります。
候補者が一堂に会し、自らの主義主張を明らかにする「公開討論会」
も、有権者が候補者を自分の目で見て、その政策・ビジョンを自分の耳
で聞くことによって、各候補者の政策・人柄の違いを知ることができる
貴重な機会です。しかし、選挙期間中には、候補者以外の有権者がこれ
を主催することができません。
選挙の公正さを保つため、選挙運動に一定のルールを設け、そのルー
ルに従って適正な選挙運動が行われるようにすることは必要です。でも、
現在のルールは、世界でも例のない細かい規制が山盛りで、候補者は画
一的で窮屈な選挙運動を強いられています。その結果、有権者は投票に
必要な候補者情報を充分に入手できません。
もちろん、現在でも、情報を得ようと努力すれば得られます。しかし、
特に関心を持った人、熱心な人しか行動できない制度はよい制度とは言
えません。(教育制度などでも同じです。)
“普通の人”が簡単な手段で必要な情報を入手できる選挙制度こそが、
民主主義の基本の「き」です。
そこで、構想日本は、選挙運動の方法の改革として、主に、以下の3
点を提言しています。

◆ 誰もが選挙期間中に、自由に「公開討論会」を開けるようにする。
◆ 選挙期間中の「公開討論会」を放映・放送してもよいことを法律に明
記する。
◆ ホームページによる選挙運動を自由化する。
(公職選挙法の改正案など、くわしくは、
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=129 でどうぞ)

●「子ども模擬投票」で、子どもの時から“選ぶ力”を身につける
選挙制度の改革を進めることによって、有権者が候補者についての情
報を充分に得られるようにするとともに、私たち有権者が子どもの時か
ら、候補者や政策について、また、地域や国の問題について、関心をも
って投票すべきだという意識を、身につける必要があります。
ただし、これは特定の政治家に加担する意味での「政治色」をもちこ
むものではありません。あくまでも、中立的な立場にたった上で、子ど
もたちの「自ら学び、考える力」を育むことが目的です。
アメリカやイギリスでは、それぞれやり方は違いますが、このような
「子ども模擬投票」が行われています。
日本でも、こうした試みが始まっています。昨年10月の川崎市長選
挙では、公立小学校6年生の2クラスが「子ども模擬投票」学習を実施
しました(くわしくは http://kodomovoting.gooside.com/index.html
でどうぞ。)。
子どもたちは「公開討論会」に参加、各候補者の主張や意見、選挙の
仕組みなどについてグループ学習し、模擬投票を行いました。「投票す
る」という明確な目標の下で、子どもたちは主体的に“選ぶ”経験を学
習しました。
また、今年2月の町田市長選挙では、10代の若者の有志が、
・「公開討論会」に聴衆として参加
・選挙事務所を訪問し、候補者と直接対話
・模擬投票
といった活動を行いました。若者達は、候補者がこれまでどんなことを
やってきたのか、現在、どんなことをやっているのか、そして、今後、
どんなことをやりたいのか、などをしっかり学習して、一票を投じまし
た。
一般に、学校現場では「政治」に関わる問題を扱うことがタブー視さ
れ、こういった試みに対する抵抗には、根強いものがあります。しかし、
将来の社会の担い手である子どもたちが、討論することや、他の人の意
見に耳を傾けること、そして、自分たちの代表者を選ぶ手続などについ
て学習することは、社会人として必要な「政治教育=健全な政治をつく
るための教育」です。
ですから、このようなまっとうな「政治教育」を、特定の「政治色」
をもちこむかのように歪んだ解釈によって批判することは、大きな心得
違いといえます。
構想日本は、このような「子ども模擬投票」を支援し、広報資料(チ
ラシ)を配布しています。ご関心のある方にはお送り致しますので、お
問い合わせ下さい。
担当:構想日本 山谷 真名(やまや まな)
tel: 03-5275-5607  fax: 03-5275-5617
E-mail: yamaya@kosonippon.org

来年の4月には、統一地方選挙が行われます。政治に不信感をもって
いるだけでは、私たちの社会は何も変わりません。選挙運動の改革はまだ、
“道なかば”ですが、私たち有権者も、子どもたちといっしょに“選ぶ力”
を身につけ、貴重な一票を投じませんか。
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の10月の主な活動状況■
●政策プロジェクト
(1)国と地方(税財政改革)
国と地方のあり方に関する提言実現に向けたキャンペーン
・10/4:地方分権改革推進会議の有識者ヒアリングにて意見陳述
「三位一体(地方交付税交付金、補助金、税財源移譲)」の改革には、
まずカネと仕事がセットで中央から地方に下りる仕組みを改める
ことが不可欠」
(2)年金制度改革
年金制度改革に関する国民的議論を起こすためのキャンペーン
・10/10:「年金制度改革3案の比較」をホームページに掲載
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=157
(3)公会計
「地方公会計研究会」第13回会合開催(10/21)
・民間業者への行政事務委託の有効性について
(群馬県太田市水道局の事例より)
(4)特殊法人改革(道路公団)
国民の利益にかなった道路公団改革の実現に向けたキャンペーン
・10/7:構想日本を事務局とするシャドー・コミティーが、
民営化推進委員会に苦言
「官僚の思惑ミエミエ 上下分離の懸念が現実のものに」
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=158
(5)公益法人改革
民法34条改正を含む、非営利法人制度の抜本的な改革に向けた
プロモーション
・構想日本の提言実現に向け、全国のNPOの声を集結させるための
ネットワークづくり
(6)エネルギー戦略
エネルギー政策の意志決定プロセス改革(ガバナンス改革)を中心
とする提言作成
・国の責任の明確化、市場のルールづくり、など
●ネットワークづくり
(1)教育
地域の新しい教育づくり事例集に新入荷(10/15)
・きてきて先生プロジェクト
-バラエティに富んだ経験を持つ社会人グループがボランティア
https://www.kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/jirei/aibo_teacher.html
上記のほか、「外交機能強化」、「政治資金制度改革」、「公職選挙法改革」
などの政策プロジェクトが進行中。
詳しくは、 https://www.kosonippon.org/wp-manager まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)

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